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2話 俺とゴブリンと接触感染

さて、この状況どうするかなぁ

只今、俺こと藤間健……いやこの世界だとケン・フジマか。は、今相棒のスライム、ヨーヨーと一緒に

「グギャギャギャギャ!!!」


ゴブリンに囲まれています。


鑑定スキルを使ってみるとやはりゴブリンと表示される。

いたって普通のゴブリンの様だな、ロードとかキングではないだけまだましだな。

囲まれてさえいなければなぁ


ゴブリンはじりじりと俺たちとの距離を詰めていく。

まさか村目指しているうちにゴブリンの群れに遭遇するなんてついてない。

頭痛がさらに痛くなる気分だよ……

だが俺が病気だという事は奴らに全く関係ない。むしろ絶好のチャンスだよね。


「……ゴフッ!」

「ギギッ!?」

もう喀血するのもいくらか慣れてきました。

いきなり血を吐き出した俺にゴブリンは一瞬簸るんだが、すぐに建て直し、俺の喀血が合図か何かと勘違いしたのか、襲い掛かって来た。


ふっふっふ、俺だけならば瞬殺されて美味しくいただかれていただろう。

だが、しかし!俺には強力な味方がいるのだ。

……まぁ頼りすぎるのもよくないと思うが、今の俺は本当に雑魚だ。戦う手段が全くない。


「ヨーヨー頼む!」


俺の声を待っていたとばかりに頭からポヨンと弾み宙を舞う。

頼んでおいて何だが、大人数相手にどう戦うつもりなんだろう。

あの時、俺が体験したヨーヨーの突進じゃこの数を対処するのは不可能だ。

とか思っていた束の間


「ギィッ!?」


ヨーヨーが地面に着くまでの間、そのぷよぷよした体から水の刃が飛び出したではないか。

水の刃は正確にゴブリン達の首を狙い、見事胴体とおさらばした。

うわ、緑色の血が断面から噴出しているよ……スプラッター気持ち悪い。

少しえずいてしまったが、吐くまではいかなかった。

もしかしてあれがヨーヨーの水魔法か……おっかねぇな。

ヨーヨーが俺と出会った時にあれを使っていたとなるとゾッとしてしまう。


「ギギャーーー!!」


うわっ、そうだ囲まれていたんだよな、後ろにもいたのを忘れてた!

しかも奴ら仲間を殺されたから怒ってるよ……ん?待て何か寒くないか?

上に冷気を感じそっちに視線を移すと一杯浮いている。

何がって……でっかい氷柱?

氷柱は角度を変え、ゴブリンに狙いを定め――貫いた。

ビクンビクンと痙攣するゴブリンの体。貫かれたところから滲み出る血液。

アカン、グロいグロい。

でもこの世界じゃ当たり前の光景なんだろうな。


これを平然とやってのけるヨーヨーさんマジ容赦ねぇ。レベル10だけありますわ。


「ギギィ!!!」

「え?えぇっ!?」


ゴブリンの死体の中から肩に穴をあけたゴブリンが立ち上がり俺に飛びかかって来た。

は!?ちょ、ヨーヨーさん撃ち漏らしてる!

逃げようにもそんな一瞬で距離を取れるような力は俺にはない。

ヨーヨーですら、撃ち漏らしていたとは思ってなかったようで間に合いそうにない。


ゴブリンは武器も持たず飛びかかり大きな口を開け、噛みつくつもりだ。


「や、やめろぉ!!」


俺は恐怖からの反射で飛びかかって来たゴブリンを突き飛ばした。

つもりだったんだけどなぁ!?

俺の力はゴブリンを突き飛ばすにはこれっぽっちも足りなかったようで、噛みつかれはしなかったもののゴブリンに押し倒されてしまった。


だが、それだけで十分だ。

俺に馬乗りになり得意げに顔を歪ませたゴブリンは呆気なく、ヨーヨーの突進を喰らい木に激突した。

しかし、それでは殺傷性は薄いようで、ゴブリンにはまだ意識はあった。


唸り声を上げて起き上がるゴブリン。

だが次第にその顔が段々と異常な色へと変化し始めたではないか。

緑色の肌を赤く変えたゴブリンは――苦し気に白目をむき、大量の血を吐き出して地面に突っ伏し動かなくなった。


……え?何、ゴブリン死んだ?

今の異常なゴブリンの死に方、もしかしてヨーヨーが?

俺の視線に気付いたのか、ヨーヨーはぶるぶると体を横に振動させる。

違うのか。


じゃあ一体何が起こったんだ?

あの一連の行動の中で誰かが何かをしたと言えば……あれ、俺が突き飛ばそうとしてゴブリンに触れたことが何か関係あるのか?


いや待て、そう言えば俺のスキルの中に心当たりがあるぞ?

そう、確か――接触感染だ!

この名前からするに俺が触れた生物に病気をうつすことが出来るっていうスキルか?

それでゴブリンに触れたことで俺の喀血症がゴブリンにうつったと……


他に情報はないものかとステータスを表示し、接触感染に意識を向けてみると接触感染の下に新たに文字が浮かび上がった。


接触感染(タッチ・インフェクト)

自分が敵対する相手に触れたとき、自分が発症している病気をうつすことが出来る。

病名を思い浮かべば、その病気が。何も思い浮かべなければ、ランダムに発症させる。

病気をうつしたところで自分の病気はなくならない。


成程、ステータスのスキルに集中するとそのスキルの説明が浮かんでくるのか。

そして接触感染の無いような大体あっているみたいだな。

しかし、俺の病気はうつしても治らないのか……悲しい。


「しかしこの惨状、どうしたものか。放置しててもいいのか?」


辺りにゴブリンの血の臭いが充満しており滅茶苦茶臭くて最悪だ。

さっさとここから離れるべきだな。

それにしても、ヨーヨーは吸血スキル持ってるのにゴブリンの血は吸わないのか?

それを聞いてみるとぶるぶると否定の震えをしたので好き嫌いでもあるのだろう。グルメなスライムだな。


「じゃヨーヨー。ここ臭いし、さっさと行こうか。」

ここが移動の時の定位置だと言わんばかりにぴょんと頭の上にヨーヨーが乗る。あぁ涼しい。

さて、臭いところとおさらばしてさっさと街を探しましょっと


重い体に鞭打ち、ゆっくりと移動を始めると背面からガサガサと音がする。

えぇっ!?まだゴブリンいるのか!?

うんざりしながら後ろに視線をやると――


「な、何よこれ!?」


▼いかにも冒険者って風貌の女が現れた!


ゴフッ

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