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11話 俺とゾンビと喘息

「ま、まさか、息を発症するとは……っ!」

喘息は確かアレルギーが原因で発症することが多い症状のはずだが、俺は自慢じゃないが病弱ではあるがアレルギーこそもっていない。

なのに、なんで喘息なんだよ!もしやと思いスキル、病弱に意識を向けてみる


病弱

あらゆる病気、症状に発症する条件がそろっていなくても発症しやすくなる。呪いでは無いため消えることは無い。


はぁ?

このスキル、俺の持っている他のスキルが無いと完全にデメリットだけのスキルじゃないか。というかこれ、技能(スキル)と言ってもいいのだろうか。

しかし、本当に息をするのも結構つらいな……

だが依頼を受けた以上断るのは忍びない。目的の廃村までの道のりをパムルさんに借りた地図で確認しながら歩を進めた。



ハァ……ハァ……や、やっと着いた。

途中で何度も息苦しくなり休憩をはさみ、その度に時間が食われる。

すっかり日が沈み周りがもう真っ暗で、頼りになるのは空に輝く月光のみだ。

月光がボロボロの家屋を照らし、不気味な雰囲気を醸し出して、お化け屋敷感がある。


あ、色んな家から人影が出てきた……いや、正確には人じゃないよなアレ。

腐乱臭がここまで匂ってくる……間違いない。ゾンビだ。

このゾンビ達は、村人のなれの果てなのか、はたまた、ただの自然発生した魔物なのか。

割とどうでもいいな。さっさと依頼を達成しよう。


「行くぞ、ヨーヨー!」


迫りくるゾンビ達に、ヨーヨーは物怖じすることなく触手でゾンビの首を狙い頭と胴体をサヨナラバイバイさせる。

……ヨーヨー、首狙うの好きだよね。確実ではあるんだけど。

俺も頼っているばかりじゃない。木に背中を預け反動への対策をしたところで、風弾をゾンビにぶつける。

1体当てたら後ろにいる数体も巻き込み、吹っ飛んでいく。ゾンビはゴブリンと違って倒れると光の粒子となって消えていった。


次々とゾンビを葬り去り、順調かと思ったその時。

「ッ!?カハッ!」

胸を締め付けられるような感覚がすると思った途端、今まで以上に息をすることが辛く……駄目、だ。

体が思うように動けず地面に倒れてしまう。

見えないが、肉を切り裂く音が耳に届くからヨーヨーはまだ闘っているようだな。


す、すまん。ヨーヨー、意識が途切れ……



……ん、感覚があるな。どうやら生きてるみたいだ、良かった。

痛みを感じないからゾンビに攻撃されたという事もないだろう。ヨーヨーが守っていてくれたのか。

額のあたりが涼しい。これはあれか、ヨーヨーがまた俺の額の上に乗って看病してくれているようだな、ありがたい。

さて、目を開け……あれ、目の前が赤い。


あれ?俺に乗ってるのってヨーヨーのはずだよな?

あの水色のボディをしたスライム、ヨーヨーだよな?

あれ?じゃあ俺の目の前にいる……


この赤いスライム、何だ?

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