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 戻って見れば寺田は病棟長の尋問が終わり警備に引き取られて行ったらしい。病院内はバリアフリー!椅子にくくり付けられたまま車椅子のように連行されたそうだ。

 寺田の処遇は明日以降相談されるようだが、もうこちらの病棟に戻って来ることはないだろう。


 明日の朝いちで心優の両親に連絡して説明謝罪しなければならないし、カウンセラーの手配も必要だ。

 看護師長には夜中だったが連絡だけは済ませやはり明日朝いちで色々動いてもらうことになる。

 病棟長と今後の対応について相談し今夜はこのまま泊まり待機することにした。


 篤と柾は休憩室のベッドに座り、やっと一息ついた。

 が、まだ里英に何も知らせていない。妊婦だし体調を慮り明日朝いちで連絡することにしたが………


「怒るよな?」

「怒るね。確実に、絶対。朝まで知らせなかったことも含めてね。まあ、それは僕が叱られるから良いとして……

 問題は『殴らないと気がすまない』って言いそう……」

「妊婦を興奮させると出てくる奴の方が問題だ!」

「終わったな、アイツ……」

「嬉しいでしょう?」

「……………」

「自覚した?」

「……………」

「認めたら?」

「……………」

「素直だな」

「何が?」

「直ぐ否定しないところ」

「……………」

「お前、よく殴らなかったな」

「……彼女の前だったしな。それに、殴る価値もない」

「色々考え過ぎてるだろ。考えても仕方ないぞ。

 年齢差は埋まらない」

「わかってる。何もしないよ」

「はあ?お前馬鹿か?馬鹿だろ!」


 呆れる柾を前に篤は力なく笑った。仕方ないと………

 篤の背負うものを考えるとその気持ちはわからないでもない。

 実家のこと。あれだけの病院の後継者だ。病院長ともなればその夫人の役割だって並大抵のものではないだろうが……


「それで、将来は政略結婚でもするつもりか?」

「……………」

「お前こそ、里英姉に殴られて来い。気持ちいいくらい、バチーンとやってくれるぞ」

「そうかもな……」

「経営なら兄貴がプロだぞ。自分で背負い込むことはないし、守るものは守って他は甘えろ。逆にお前が前面に出れば隠し通すことも可能だ。嫉妬深い旦那は妻を誰にも見せたくないってな」

「考えてみるよ」

「いや、だからそこは考えるな!突っ走れ!」

「で、僕に犯罪者になれと?」

「あ、いや、まあ、そうか……ここは忍耐か……」




 そして早朝、凄い勢いで里英がやって来た。もちろん余計な影も引き連れて。

 篤が里英に説明している間に柾も棗に連行された。医者の守秘義務はどうなると言ったところで無駄だろう。


 そうしてとんでもなく大変な一日が再開された。


 心優の両親は急な呼び出しに病状の急変かと驚かせてしまったが、愛娘の無事な姿にどうにか落ち着いた。だが、このまま外科病棟に置いておくことに不安と懸念を感じたため慣れた小児科病棟に移動することになった。

 病棟が変わっても篤が主治医なのには変更がなく、里英と二人でフォローしていくことになった。



 決まってしまえば早い。あっという間に手配手続きが取られ午前中のうちに心優はベッドごと運ばれて行った。


 小児科病棟の女性職員に篤は人気が高い。それが毎朝毎晩小児科病棟にやって来る。しかもたまに清水医師も伴って。

 若い独身イケメン医師二人の登場に職員だけでなく、入院患者の母達も密やかに喝采を挙げた。

 時間によって廊下を歩く人口密度が格段に上がるという現象が起きてしまったのもご愛嬌というやつか?

 果敢にチャレンジしていく怖いもの知らずはしっかり師長にチェックされていて、諸々含めて里英のからかいネタのひとつにはなった。

医師の守秘義務は絶対です。

たぶんおそらくきっと………

なのでこれはフィクションです。


うん、これ毎日言ってるね、わたし………


それに、病院職員はそんなに暇じゃないはず!

と思うんだけどね……

息子の病室行くと、いつも看護師さんが2〜3人お喋りしてるという……

病室移動には8人以上の看護師さんがぞろぞろ手伝いに来て下さり、母が持った荷物まで代わりに持って下さいました。

中には靴一足だけ持ってる方も……

ベッドに荷物乗っければ半分以下の人数で移動できると思ってしまったんですけどね……

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