逃げ水
熱されたアスファルトの先にまぼろし
眩しい銀色が寝そべって
ゆらゆら揺れる 誘う 光る
触れられないとわかっていても
消えてしまうとわかっていても
もしかしたらと期待して
ああ、やっぱり逃げられた
もっとよく 姿を見せて
諦めながらも思ってしまう
熱いのかしら
冷たいのかしら
なんて美しいの
誰かが零した液状の鏡
逃げない様に 気を付けて
息をとめて
目を凝らして
ギリギリの距離まで
でもほら やっぱり正体は無い
空を映せない 可哀想な鏡
でもほら、私が描いてあげる
空を映した 臆病な鏡