灰色のくぼみ
この椅子から見る彼女の背中は
古い木枠の窓辺に添えた金色の花のように
乾燥して寂しげに、しかしはっきりと麗しく
私の老いた目に映り
花に添えられた、桜の頃の清楚さを失った食器と
窓の向こうの、荒れて厳しく風の吹く景色とが花をいっそう引き立てる
二人で口を揃え、気まぐれに呟くように歌う歌も
二人だけで作り上げる演奏も、優しい笑顔で鍵盤を撫でる君も変わらないのに
私は老い、弾く音も、かつてほどの力強さはない
小さくこぼす涙を君が拭うと
白く美しい指を私の指に絡めながら私を見つめてくる
彼女の包むようなほほえみに私の心は満たされる
そのたびに、せめて短い余生を捧ごうと
私の心は重く留まり、たんぽぽのような幸せに染まる