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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ヒーローは死にかけた。けど、頑張った

作者: 知代

ヒーローとの話が書きたかったので……。なんとか形にはなってるかと……

目の前で赤く染まったヒーローがいた。死んでいるわけではない。でも、今にも死にそうだった。

わたしは住所変更で銀行に訪れていた。その銀行に強盗が入った。犯人は5人。人質はお昼近いのもあって職員も合わせると結構多い。その人質な中に多分ヒーローが居合わせたのかどこからか現れて一人で戦っていた。きっとトイレか柱のかげで着替えたのだ。そうだ。

防戦一方で人質を守る形で戦っていたが不意を突かれて、何人かに向けられた拳銃によって動けなくなったのだ。

「卑怯だぞ! 」

ヒーローがテレビに出てると一回は言っているセリフを生で聞くとは思わなかった。思ったよりも緊迫感があって、背中に冷や汗も感じる。

「ふん! 戦略的と言ってもらおうか。そう何度も負けるわけにはいかないからな! なんせ、おまえ一人だ。どうとでもなる?だろ? おまえたち」

この犯人達、黒いマスクを被っているから気づかなかったがあれだ。よくテレビに出てくるなんとか団だ。ホイホイだったかヤイヤイだったか、残念だったのはよーく覚えてる。残念な動きがそのままだ。

「さあて、レッドよ。今回はおまえの負けだ」

「なんだって? まだ俺は負けていない」

「負けるさ。おい、おまえたち」

先程まで入り口を占拠していたなんとか団5人が瞬きした間に10人に増えていた。

まるでアリかゴキ、いや言い過ぎた。

そして、半分は人質、わたしを含めた数人に向かって至近距離で拳銃を構えていた。この距離はあれだ。外さない距離だ。

人質を取られたら打つ手はない。一人では不意を突けないから。むしろ、不意を突かれている。

わたしの冷や汗の原因もこれだし。テンプレっぽいセリフもテレビの中だけでは笑えた会話も実体験してみると、笑えない。

レッドの得意としている武器、大振りの刀は取られ、動けないようにと肩を撃ち抜かれる。応援はまだこない。

赤く染まった肩をレッドは押さえていて、止まることのない血はだんだん床に水溜まりを作りそうだ。

これは万事休すという、のかもしれない。

止血もできない。ワイワイ団はお金を袋につめている。これは誰かが隙をつくってもどうにもできない。

そもそもレッドが、死にそうにみえる。よく言わないか。出血多量で死ぬとか。


「……お、おい、大丈夫なのかよ」

人質の誰かが呟いた。その言葉が合図だった。他の人質が拳銃を突きつけられているものも一斉に話し出した。

「すごい血の量だぞ」

「死なないよな? レッドは死なないよな? 」

「ねえ、ヤバイんじゃない」

「他のヒーローはまだなの? 」

「早くしないと、レッドが、……ヒーローが死ぬなんて聞いたことないぞ」

「どうにかしろよ。おまえらのせいだろ」

「そうだ! おまえらが人を殺したんだぞ」

「そうよ。この人殺し! 」

集団の恐ろしいところはこの集団での凶弾にある。恐いからこその反動か。相手を犯人を圧倒してしまうほどの集団攻撃。

「……まだ動けますか」

ポイポイ団は言葉もなく立ちすくしている。下手したら無差別に銃を打ちまくるかもしれない。それでも彼らの口は止まらない。もうなにも恐いものはないかのように。

「あ、はは。情けねえよなあ。死ぬのかなあ」

「……さあ? でも、あなたが生きてくれないと誰かが死ぬと思うんだけど」

声だけでも掛けてみることにした。け情けないことを言っているが、まだ話す元気はあるとみた。死ぬかどうかはわたしには分からないけど。

「……俺なんでヒーローやってんだろ」

「知りませんよ、そんなの」

「はは、だな」


---ヒーローは死んでも頑張らなきゃいけない。---


レッドがテレビでそう言っていたのを思い出した。その時わたしは何を思ったっけ。

「もし、あなたがここで頑張って、それでいて死ななかったら、--してあげますよ。ほら、ファイト」

後で思うのだが、死にかけた人に言う言葉ではなかった。


火事場の馬鹿力と言った感じでレッドは2人のヘッポコ団を倒してレッドも倒れた。そのすぐあとにタイミングよく現れたピンクとブルー、イエロー、ブラックが他のヘッポコ団を倒し、その場は救われた。

そして、レッドは病院へと搬送された。


レッド、と書かれた病院の個室の前でわたしはノックをしかけたまま動けなくなった。

「--もう、本当に心配したんだからね! レッドったらかっこつけなんだもん。ね、イエロー」

「心配したのはピンクぐらいです。レッドは図太いのが取り柄ですし」

「はぁ? そんなわねないじゃない!ブルーからも何か言ってやりなさいよ!」

「そうだな。ピンクの心配はすべて愛情だ。そろそろ答えてやったらどうだ? 」

中でヒーロー名で彼らは話していた。個室の名前もレッドだし、戦闘服のままで入院してたりするのだろうか。あの微妙な顔半分を覆ったままで?

入ろうか、止めようか。

あまり聞くべきではない話も聞いちゃった気がする。

「あ、」

「何してる? レッドに用なら入ったらどうだ」

戦闘服は着ていないがブラックだ。もうなんか醸し出すオーラかブラックだ。

レッドもなんかレッドだった。

「あんときの! 怪我はなかったんだな」

「お陰さまで。そちらは入院長引いたみたいですね。テレビに流れてました」

「まあな。そういやさ、俺生きてるぞ」

「そうですね」

「俺頑張ったんだけど」

「倒したの二人ぐらいですけどね」

「……ご褒美」

「意外にがめついですね」

「言ったのそっち、じゃん」

「……しょうがないですね」


『---の銀行強盗について、犯人はポッポン団とのことで、ヒーローが一人負傷、現在伴楽病院で入院中とのことです。順調にいけばこのまま一週間で退院できるそうです。関係者以外面会は謝絶とのことですが---』

テレビから流れるニュースは右から左へと耳に流れる。唇に触れるかさついた男の人の、レッドの熱さを感じながら、やっと思い出した。


ああ、彼らはポッポン団だったのかあ。全然違ったなあ。


「あ、そうだ。俺、---神崎リュウ、な。これからそう呼んで」

ピンクの悲鳴を聞きながら、思ったよりも元気そうなレッド、いやリュウから二度目のキスをされた。

この人入院しているわりには元気だ。


読んでくださりありがとうございます。

すごくご都合主義です。設定もそこまで深くないです。ただ、恋愛ものとヒーローものが書きたくて書きたくて仕方なかったんです……


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