晴れ時計Ⅰ
この絵、綺麗ですね。
本の表紙を眺める彼の襟を引っ張って口づけた。
「え、うわなにめずらしいどうかしたんですか」
「ん?いや、したかったから」
「なに今日のハルキさん可愛い」
「いつキスするの?今でしょ」
「ふはっ、ハルキさん好きですね林先生」
腰を落としていたベッドにそのまま倒れ込み毛布を軽く抱きしめる。
頬をなでる柔らかいシーツ。さっきまで日光を浴びてた枕は昨日の体温の温もりとは違う太陽のの暖かさがした。
「ね、それ読んだらストーリー教えてよ」
「え、読んでないんですか?」
「うん」
言い切って目を閉じかけるとふわりと頭に手の平の感覚。
首すじの毛先を払い髪を触れるように優しく頭を撫でる彼の指をつまんで撫でると優しく笑いながら撫でてない手を差し出し手を包むように握ってきた。
昔弟と行った本屋でこの表紙の海の絵に惹かれて、弟にも同じのを買った。
小説は買った日メガネをなくしたから見てなく、そのままシンプルな机上にインテリアとして置いてたためストーリーは全く分からない。主人公人魚だったっけ。あいつが人魚とかなんとか言ってたから人魚なのかな。
机に置くと日光で本が日焼けし茶色くなってしまうが、表紙の中の海をこっちの世界に馴染むよう茶色く染まってくのが好きでたまらなかった。
「ハルキさんて変なとこあるよね、本の中身読まずにインテリアとか。わお1680円さすがハードカバー」
「一般的な考えしてたらアイドルのマネージャーなんてできないっつの」
「あぁー安元葉月。俺と同じ大学に芸能活動してるアイドルいるなんて最近初めて知りましたよ。しかもハルキさん担当」
「俺だってびっくりしたよはーちゃん迎えに行ったらお前いるんだもん」
「見た目もだけど柱本春季と安元葉月て名前も似てますよね、姉妹みたい」
「悪かったな自分の担当女の子アイドルのがかっこよくて」
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設定は大学生(21)×アイドルのマネージャー(25)