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第四話

今回はエロい表現が出てきているので注意して呼んで下さい





それは哀しいほど哀れな世界

それは色あせた……そんなつまらない世界

私はここで生まれて主殿に拾われた

私は……妹……紫織を憎んでいる……


「ねぇ、お姉様ぁ〜」

「……」

今は好きだ、憎んでいないといえば嘘になるが

憎しみが次第に薄れていっているのが分かる。

しかし憎しみは未だに存在する。

「? お姉様?」

(私はどうしたいんだ……)

何もかも信じられない世界に堕されて、生き行く糧すらも無い

この世界に堕された私は本当に生きていても良いのかも疑われる。

「……」


そう、両親に愛された紫織に何が分かるのか、

まったく愛されなかった私の何が分かるのか……

どんな愛でも良かった、なぜ私じゃないのか……





私が九つの頃だ、何かが軋んでいる音で起きた。

昔の私は紫織の方を向いて寝る癖があった、

目を開く、本当は開かない方がよかったのに……

あの頃の私はその行為がどんなものかなんて分からない、

ただ父と紫織が一緒のベッドに入って何かをしているのは見えた。

「……や……ぁ……もぉやめてぇ……おとうさん……」

「なんだ……って……? これをしてくれと……頼んだのはお前……だぞ」

暗くてよく分からない、見えなかった。けど窓から月明かりが入ってきて……

父の顔を見た……飢えた獣のような目、腰を激しく動かし紫織を突いていた。

「や……やめてぇ……お……ねぇちゃ……ん……」

紫織は泣いてた。

「たすけ……て……」

息苦しそうに私を呼んだ。

「……」

私は黙って見ている事しか出来なかった。

ベッドの中で泣く事しか出来ない自分が憎い



どんな愛でも良かった……

ただ愛して欲しかった……

なのになんで……



「ねぇおとうさん……今日は……駄目?」

いつからか紫織が父の耳元で呟く声を盗み聞きするのが習慣になってしまった。

愛し合っている現場なんて見たくもないから、だから話を盗み聞いた。


そしていつの間にか私は外に出て人について考えた、

生きている私たちにとって愛とは何か、私自体生きていても良いのか

全て分からなくなっていた。

何でここまでして私は愛されようとしていたのかも分からなかった

だから私は……初めて人を殺め、微笑む、

こんな下らない生き物なんていなくていいと思った。

「ねえ母さん、なんで私を愛してくれなかったの」

涙が溢れる

ぼろぼろと、けど哀しくなかった。

手の爪を剥ぎ、指を折り、切れにくい刃物で指を刻み、

腕も折った、折った場所を力を込めて握り笑顔でこういう

「母さん、私のことを愛してる?」

「私はね、母さんに愛されたかったの……分かる?」

笑顔で母さんを痛めつける、

とても満たされた気がした。

そして私は母さんの首を刎ねた。

血塗れになって私は呟いた……

「母さん、私今とても幸せだよ」



廃墟の屋根に座っていた“あの人”

血塗れの私をみて“あの人”は私に話掛ける

「とっても綺麗だね、血塗れの天使みたいだ」

私はとても嬉しかった。

「キミは力が欲しいんだね……いいよ、あげるよ……その代わり……」

「僕の傍にいてくれないかい?」


確かに力が欲しかった、けどそれ以上に誰かの傍に居る事ができるということが嬉しかったんだと思う、

「……私を……私でいいんでしょうか?」

「キミじゃないと嫌なんだよ」

私は頷く、

すると“あの人”は屋根から飛び降り、私の目の前にやってきた。

そして唇を重ねるだけのキスをする。

私は流石に驚きを隠せず“あの人”を突き飛ばした。

「ごめんね……けどこうしないと力を君にあげられなかったんだ」

「……すみません……」

“あの人”はにっこり微笑みこういう

「君の力は“声”君の声はこの世の快楽の全てを持っている。キミのその声で人はキミに服従するだろう」

「……え」

「キミの声で世界の人間すべてを支配する事が出来る。キミの歌を聴くととても気持ちよくなる。そしてキミのためなら何でも差し出そうとするんだ。早く言うと君の奴隷になりたがる」

「……」

「人々をキミの玩具に出来る。それはとても楽しい事だろう、けど僕はキミの声に影響を受け無いようになっている」

「……そしたら……」

「キミは僕の右腕、」

「右腕……」

「僕を支えて、僕を崇めてくれ」

「……分かりました」

私は“あの人”を愛したいと思ったがそれは不可能だと思った……いいや本能がそうさせなかったのだ

「キミは僕のものだ……ハハハッ……」



父は死んだ、私の可愛い奴隷達が殺してくれた。

私は“あの人”のために働く、人形なんだと自覚するのはそう遅くなかった、

私は今も“あの人”のために働く、



私は貴方のために動いてます、

  私は貴方の望む事を叶えていますか?

 だから貴方は私を愛してください

   私は貴方だけを見て生きてゆくから……






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