初心者は避けるべきジャンル『異世界』『チート』
僕は小説を作るとき意図的に避けているジャンルがある。
それは、異世界ものとチートものだ。
何故かと思う人もいるのではないだろうか?
今上げたジャンルには人気作は多いし、このサイトでも、この原稿を上げている現在(二〇一三年一月末)は人気上位陣の作品がほとんどこれに当てはまっている。
事実、ボクだってそういったジャンルが面白くて、読んでいる作品は多い。
ただ、読む分には面白いと思うあいつらも書き手に回ればトンデモなく厄介な代物と化します。
ここから先、個人的なことも多々混じります。おまけにもしかしたら、作者の書いた不用意な言葉で気分を害するかもしれません。それでもこの駄文を最後まで読んでくれたのなら幸いに思います。
『異世界』
異世界。それはこの世とはまるで趣を異とする世界。つまり、既存では存在しない世界を作り出すということです。
これが存外骨が折れる。何せ異世界は世界観、民族、生物、地理など現実とは様々なものが違うのだから、自分たちの常識と噛み合わない。もちろん一部が違うだけだとしても、どこかしらに影響が出てくるのだから、既存するものから舞台を作ったそしてもそれは同じことなのだ。
一から独自に作った世界と、すでにある世界観をもとに作った世界。それぞれに名称があるのだが難しい用語は割愛することにして、断然おもろいのは前者です。
現実ですら膨大な情報にあふれているのだから、こういった世界を一から構築しようものなら相当な情報量とまとめるだけの時間が要ることになります。しかも、頭の良さ以上に面白さといった点では、世界創りにはセンスが必要です。
ゴブリンやエルフ、ミスリルといったファンタジーな単語が出てくれば異世界ものとして人もいるのではないだろうか。これら今に至るのファンタジーの設定を形作った……というよりも、決定づけたのは、トールキンさん(指輪物語の人)の創った「中つ国」という架空の世界の設定です。
他人の世界観を拝借しているいう点においては、やはりオリジナリティーが欠けるため(あくまで個人的にですが)それは異世界ものとは言い難いです。それは、異世界ものじゃなくてただのファンタジーです。
ですので、世界観造りにいろいろと知識を要する異世界ものには、まずはいろんな話を書いて、その中で少しずつ学んで、独自の世界観を築いていくのがいいと思われます。
『チート』
これも僕は大好きなジャンルではあります。しかも、人気作や名作にはこれが多い気がします。
例を挙げると「北斗の拳」「シャーロック・ホームズシリーズ」「天元突破グレンラガン」「ドラゴンボール」「ゲッターロボ」「とある魔術の禁書目録」「天地無用! 魎皇鬼」「魔術師オーフェン」など挙げればキリがありません。
今上げた作品群のどれかに慣れ親しんだ人は多いのではないだろうか。ところが、これも書き手側に回れば脅威になります。
お気づきの皆さんも多いと思いますが、これらの作品は総じてパワーインフレが酷いのです。ちなみに、出れば即事件解決するホームズさんは、主人公なのによく出番が途中や最後ら辺によく回されています。
もともと主人公の能力が高いのだから、それに並ぶ敵やライバルは、主人公と同じかそれ以上でないといけないのだから、必然的にそうなるといえるでしょう。
例で出した作品のもう一つの事実に気づいているでしょうか? それはバトルものが多く、しかもそれらの大半が、マンガや映像作品として作られている事実を。
上手い人のこういったチートジャンルの魅せ方。それはゴリ押しです。
「ドラゴンボール」に「かめはめ波」。「水戸黄門」に「印籠」。「仮面ライダー」に「ライダーキック」。そういった、「これが出れば勝つる」必殺技を持っています。
上手い人たちは、この必殺技をどうやって持っていくのかが上手いのです。これが、並みから下の文章力であれば一気に陳腐なものになります。
必殺技というからには戦闘がよくあります。そして、上げたもう一つの作品に多い特徴に気づいているでしょうか? それは大半が、漫画や映像媒体での作品だということに。
百聞は一見に如かず。百の言葉を並べても、一目で見たときの分かりやすさには敵わないのです。それに対抗しようとして、臨場感を出すために一挙手一投足を一々描写していてはその文章量の多さにウンザリしてしまうことでしょう。
だから小説の場合のバトルは、頭の中での駆け引きといった視覚では伝わりづらい情報がキモです。もちろん描写ならではの表現だってそうです。
ですからこういったものを書くには、多彩な語彙と読んでて飽きさせない為の構成力が必要で書き始めの人にはやはり、ややレベルが高いです。
いろいろ好き勝手に言いましたが、好きなジャンルで好きな設定を考え、それを形にするというのはモチベーションを保つのに有効ですし、もとより趣味で書いているのに、「他人から○○は××だから書くな」と言われるのは、自分で言っといてなんですが酷だと思います。本当は趣味で書くなら好きなものが一番なんだと思います。
それに世界観が~とか、描写が~とかで否定していたことも、逆に考えれば、それらを鍛える上では有効なのかもしれないと思っているところもあります。それに、そういったことを考え妄想し、文章という形にするのが小説を創作するうえでの醍醐味でもあります。
ただ時折として、妄想が暴走し加熱されたものが黒歴史という副産物(経験上、今回上げた二つのジャンルが被害者を多数出していると思われる)を生み出すので、注意が必要ではありますが。
最後に、最後まで読んでいる小説をはじめようかなと考えているみなさん! 頑張ってください。
偉そうなことを書いていましたが、ボクだってまだまだ未熟な若輩者の物書きです。独断や偏見もあろうかと思っています。
「ここはそうじゃない!」とか、「偏見だ!」とか、「他にもっと注意すべきジャンルがあるだろ!」など。思うことがあったのならどうぞ遠慮なく感想をお願いします。勉強だと思ってキツイ言葉でも引き受けます。