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2、テープ(1)

●3


「あなたの名前とご職業は」

「カガミアワコといいます。この近くに住んでいる主婦です」

「近くというと市内ですか」

「そうです」

「ではカガミさん、あなたが見たことを話してください」

「あたしは、自分の用でそこに行きました。するとボートが浮かんでいて、男性がひとり乗っていました」

「具体的にはどのような用事でそこに?」

「それは、……あたしの仕事のひとつを行うために……です」

「仕事?」

「はい。直したり整理をする仕事です」

「はあ……まあ、それはのちほど詳しくお聞きするとして、その男性というのはこの写真の人でしたか?」

「ええ。彼は誰なのですか?」

「クラチヤスオ、というサラリーマンですよ。ということは、カガミさん、あなたはクラチさんとは面識がなかったんですか」

「はい。そのとき初めてお会いしました」

「わかりました。では、クラチさんはボートの上で何をしていたのか、わかりますか」

「何もなさっているようすはありませんでした。あたしにはボートの中でじっとしているように見えました」

「じっとしていた」

「そうです。身体を動かしていませんでしたから」

「ではもしかすると、そのときクラチさんはすでに亡くなられていたのかもしれませんね」

「それはありません」

「生きていたと?」

「はい。前を向いて、遠くのほうを見ていました。それにあたしがいたことにも気づいていたようでした」

「何を見ていたのかわかりますか?」

「いいえ」

「そうですか。本日はありがとうございました。ええと……月重湖レイクサイドホテル三〇二、と」

「……いい景色ですね」



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