俺の青春と俺達の青春
続きまして、前回と同じく活動報告にて少し書きました話、第二弾。
タイトルは『俺の青春と俺達の青春(仮)』。
主人公・音無響と四人の友人達。
そして新たな登場人物とのドタバタ青春劇を、どうぞ御楽しみ下さい。
『俺の青春と俺達の青春』
side:響
「おい、響! 聞いたか! 今日、転校生が来るんだってよ!」
「…………情報が早いな。そういうのって一体どっからどうやって拾って来るんだ?」
「……ていうか、流。今のって、響と今日を掛けた寒いギャグとか言わないわよね?」
「へ? …………(思考中)!? な、ば、バッカヤロウ!
この俺が、そんなお寒いギャグなんか言うかってんだ!!」
「……ま、それもそうね。流には、そんなセンスは皆無だものね。」
「ぐぎぎぎ……! テメェ、亜衣! 俺に朝っぱらから喧嘩売ってんのか!?」
今、俺の机の前で朝早くから口喧嘩してるのは、俺の友人である瀧本流と水鏡亜衣。
因みに、これはいつもの風景な為、誰一人騒ぎ立てる奴も心配そうにしている奴もいない。
……尤も、また面白そうな事をやってると聞き耳を立てている奴は大勢いるのだが。
そんな事を気にしていたら正直こっちの身も心も持たないので、基本的に放置しておく。
そうしていると、これもまたいつも通り、横から他の二人が割って入った。
「もう、流君? 朝から喧嘩はメッ!」
「亜衣も。元気で仲が良いのはいいけどさ。」
「麻衣…………んな事言ったってよぉ……。」
「だ、誰がこんな奴と仲なんか良いもんですか!
ちょっと丈? 貴方、眼科行った方がいいんじゃない?」
二人の仲裁に入ったのは、これまた俺の友人である長嶺丈と高良麻衣。
因みに、亜衣の言葉が悪いのは、所謂『ツンデレ』という奴らしい。
何でも愛情・友情の裏返しだそうで、恥ずかしがり屋な為、表に出せないだけらしく、
その言葉通りの意味に取らなければ、一切気にする必要は無いらしい。
と、脳内で友人の紹介と言う名の準備体操を終えてから、俺からさっき流が言った話を振った。
…………このままじゃ、埒が明かないのは目に目に見えているからな。
「それで、流。さっきの話の続きなんだけどさ。」
「あ、そうだそうだ。亜衣と喧嘩なんかしてる場合じゃなかったんだっけ。」
「……それはこっちの台詞よ。……ていうか、アンタもそういうのに結構興味あるのね?」
「(……一体誰の所為だと小一時間程、是非にも問い詰めたい。)まぁ、人並みにはね。」
内心のツッコミと言う名の呟きを心に収め、
その内心を理解してくれ、苦笑している麻衣と丈には目礼で感謝し。
話の続きを促す事に成功した。
「いや、何でもな。今日来る転校生は、物凄い美少女らしいぜ?」
「へ~、そうなんだ。でも、麻衣以上に可愛い子なんて早々いないでしょ?」
「ふぇ? わ、私は別にそんな事ないよぅ///」
照れて赤くなった顔の火照りを冷ます様に、パタパタと両手を振る麻衣のその仕草は、
確かにとても可愛らしい。……尤も、絶対に口には出さないが。
それを皆してニヤニヤしながら見守っていると、珍しく徐に丈が話を入れて来た。
「でも、それは僕も聞いたよ? 麻衣ちゃんとは甲乙付け難いとか、
ひょっとしたら麻衣ちゃんよりも物凄く可愛いかもしれないとか。」
「え~? 麻衣より可愛いって……それ一体、どんな絶世の美少女よ?
ハッキリ言って物理的に有り得ないって断言出来るレベルよ?」
「あ、亜衣ちゃんってばぁ~//////」
更に真っ赤になって照れ照れになっている麻衣を、可愛い可愛いと連呼して抱き締めている流。
そんなバカップル同士の会話を聞くとも無く聞き流しながら、俺はとある事を考えていた。
――――この悪寒は。
…………今日は目覚めた時から感じていた、この途轍も無く嫌な予感は一体何だろうか、と。
その答えは、すぐに出た。先生が転校生を連れて入って来た時に。一目で理解した。
ああ、そうか。この悪寒は、俺の平穏が完全に破られる予兆だったのだと。
side:三人称 in 教室
「オラ! テメェラ、イイ加減に静かにしねぇか!!!
あんまりウルセェと他のクラスに回すぞ!!」
「まわすとか……やだ、先生ェロイ。」
「狩谷、お前廊下に立ってろ。」
「(´;ω;`)<ショボーン」
クラスメイトの悪ふざけはさておき。
改めて、亜衣に物理的に不可能と称された絶世の美少女の自己紹介が始まった。
そして、その瞬間、我等が主人公こと、音無響は学校にいる全ての人(先生含む)から、
嫉妬と憎悪の視線を向けられる事となった。
「え、えっと…………み、皆さん、初めましてっ! 神谷紗愛といいますっ!
え、と……その……ひーくん、音無響君の許嫁で婚約者です!
以後、末永く宜しくお願いしますっ!」
“――――なん…………だと――――?”
「…………………………………………………………………………………………は?」
そう、この瞬間。真っ赤になった絶世の美少女の自己紹介により、
今迄、彼女に陶然と見惚れていた全てのクラスメイトの何も映していない光の消えた視線と、
それを第六感的に感じ取った超人的な他の生徒と先生達からの不穏な空気が、
一斉に同時に響の許へと降り注ぎ、彼の平穏は完全に打ち破られたのであった。
その後。彼が質問攻めに遭い、その隙に不埒にも紗愛に手を出そうとした阿呆に加えた制裁と、
その際に彼が思わず無意識に発した言葉により、二人の仲は学校中に認識され、
その日一日は授業にならず、学校は休校になり。
ここから、彼の本当の青春は始まるのであった。
「…………頼むから、誰か俺の平穏を返してくれ。」
「えへへ~♥ ひーくん、大好き~♥」
「…………まぁ、これも悪くはないか。」
「「「バカップル、自重しろ。」」」「えへへ♪ 凄く仲良しだね♪」
「麻衣……アンタ……。」
「ふぇ?」
「……流。君の恋人でしょ? 何とかしようよ。」
「出来る訳ねぇだろ。麻衣だぞ?」
「「デスヨネー。」」「???」
御覧の通り、その内容は俺こと響の一人称で淡々と綴られる、青春学園恋愛物?
以下は、各キャラのプロフィールです。
音無響:主人公にして語り手。眼鏡装着。沈着冷静。
余り物事に積極的じゃない。テストは常に全て満点。
後に幼馴染兼婚約者が転校して来て…………。
瀧本流:麻衣の彼氏。活発なスポーツ少年。悪乗り大好き。
響に一番最初に目を付け、一番最初に仲良くなった。
長嶺丈:亜衣の彼氏。流とは一番付き合いが長い。物静かな美少年。
所謂、絶対に怒らせてはいけない典型的なタイプ。
高良麻衣:流の彼女。何故か響を一目で気に入り、その後何かと響を気に掛ける。
でも、それは恋愛感情ではなく、人間として気に入った模様。
恋人は飽く迄も流。学園のアイドルにもなってる美少女。
水鏡亜衣:丈の彼女。クイーンオブツンデレ。
最初は響の事をいけ好かない奴だと毛嫌いしていたが、
丈達に付き合って何度も話してる内に、何時の間にか友人になってた。
麻衣と共に、常に学園のアイドル1・2を獲得している美人。
神谷紗愛:転校して来た響の幼馴染兼婚約者。物凄い美少女。
響の両親の陰謀で響と一緒に住む事になった。
両親公認で(響を)押し倒せと唆されその機を常に伺うも、
それ以前に既に熟年夫婦並みのバカップルの様相を呈している事に気が付いていない。