表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔のトーナメント  作者: Luan Felice
2/4

仕事

一週間も更新が遅れてしまい、申し訳ありません。学校のことでとても忙しくて……。ご理解いただけると嬉しいです。ぜひこの章を楽しんでください!

「自殺しろ。」


その言葉を聞いた瞬間、ケネディは背筋に寒気を覚えた。本来そこにあるはずのない“何か”が、はっきりと目の前に存在していたからだ。


「俺が……自殺? どういうことだ? そんなことできるわけないだろ!」


そして、それまで顔と右腕だけを見せていたアマイは、今度は全身を現した。彼女は埋葬されたときと同じ、簡素な白い服を着ており、事故で負った傷跡もまだはっきりと残っていた。

ケネディは、それが現実であるはずがないと分かっていた。彼は彼女の遺体を棺の中で見たのだ。どうして彼女が、今ここにいるのか。明らかに何かがおかしい。そんなことが起こるはずがなかった。


彼が後ろを振り向き、再びアマイのほうを見たとき、彼女の姿はもうなかった。

結局、幻覚だったのだと自分に言い聞かせ、彼は自室へ戻った。


ベッドに入る前、彼は何時間も窓の外の景色を眺めていた。通りや車、建物が並ぶだけの、ありふれた景色だ。だが、アマイはその景色が大好きだと言っていた。都会的な雰囲気が好きだったからだ。

ケネディは何度か彼女の家を訪れたことがあるが、彼女の部屋の窓から見えるのは草原ばかりで、彼女の家は農場のすぐ隣にあった。


「……変だな。もっとちゃんと見ておくべきだった。確かに、いい景色だ。」


疲れ切った彼はベッドに横になり、眠りに落ちるのを待った。涼しい風がそれを助け、ほどなくして彼は眠りについた。


翌日、彼はいつも通り朝6時に目を覚ました。身支度を整え、仕事へ向かう。

ケネディはプログラマーとして働いている。それは運よく手に入れた仕事だった。大学に進学する予定だったが、父の死をきっかけに、その道を諦め、母と自分を養うために就職せざるを得なかったのだ。

勤務時間は朝9時から夕方5時まで。月曜から金曜までの週40時間勤務で、彼にとってそこまで過酷な仕事ではなかった。


職場に着くと、彼は自分のオフィスで退勤時間まで働いた。午後5時、帰ろうとして入口を通ったとき、彼は見覚えのある人物が建物の入口の椅子に座っているのを見た。

立ち止まってよく見ると、視線が交差する。


「……ケネディ?」


金色の髪と、驚きで見開かれた緑の瞳。彼女で間違いなかった。


「何してるんだ、イモ?」


イモは座ったまま、じっと彼を見つめていた。彼女にここで会うとは思ってもいなかった。彼は、彼女と会うのは墓地が最後だと思っていたのだ。


「えっと、求人の面接で来たの。あなたは?」


「俺はここで働いてる。アマイから聞いてると思ってたけど。」


「そんな話、聞いてない。大学に通ってるものだと思ってた。」


「父のことで、諦めるしかなかったんだ。」


その時、従業員がやって来てイモを呼びました。


「お嬢様、面接のほうへご案内します。」


イモは立ち上がり、職員について行く前にケネディを振り返り、こう言った。



「幸運を祈って。」


彼女がゆっくりと離れていくのを見ながら、ケネディは考えた。


「就職面接……? 美大に行くって言ってなかったか? いつも俺とアマイにその話をしてたのに。

……そういえば、送っていったほうがいいか。まだ車、持ってないはずだし。」


彼は彼女を待つことにした。およそ30分後、イモが戻ってくると、再び彼の姿に驚いた。


「まだいたの?」


「送っていく必要があるかと思って。それに、結果も気になって。」


「……その通り。」


「じゃあ、行こう。」


二人はケネディの車に乗り込んだ。走り出してから、彼が話しかける。


「で、面接はどうだった?」


「落ちた。」


「最悪だな。理由は?」


「さあ……求めてる人材に合わないって。」


「そうか……でも、美大には行かないのか?」


「やめた。私を励ましてくれた唯一の人は、もういないから。」


「……でも、前に進むべきだと思う。」


「分からない。私には向いてない気がする。」


「子どもの頃から絵を描くのが好きだっただろ。アマイのせいで全部やめるなんて、おかしい。」


「……彼女がいないと、同じじゃない。」


イモの明らかな不快感を察し、ケネディはこの話題を続けるのをやめた。


「家族は? 俺のスピーチ、気にしてなかった?」


「ううん、大丈夫だった。」


「それはよかった……家に帰ってから、正直ちょっと恥ずかしくなった。」


「普通だよ。私なら、あんなスピーチする勇気ない。」


その瞬間、ケネディは昨夜見たアマイの遺体を思い出した。あの出来事を、イモに話すべきだと思った。


「昨日、夕食の前に……変なものを見たんだ。」


「へえ? どんな?」


「アマイを。」


「は? アマイ? 彼女は3日半前に亡くなったでしょ。家に現れるわけないじゃない。やっぱり、相当参ってるんだよ。」


「最初は俺もそう思った。でも、あまりにもリアルで……」


「幻覚って、見てる本人には本物にしか見えないものよ。普通のこと。」


「……そうかもな。あ、着いた。」


「送ってくれてありがとう。」


イモが家へ入っていくのを見送る。ドアを開ける前、彼女は手を振り、中へ消えた。

ケネディは再び車を走らせ、自宅へ向かった。


帰宅後、彼はいつも通りのことをした。シャワーを浴び、夕食をとり、ゲームをして、寝る準備をする。

普段ならアマイと出かけていたが、彼女がいない今、彼は完全に引きこもりのような行動を取っていた。


眠る前、彼は再び窓の外を眺め、思った。


「……あれは、ただの幻覚じゃない。分かってる。」


疲れ切った彼は、翌日の重労働に備えて、すぐに床についた。


眠りの途中、喉の渇きで目が覚めた。水を飲もうと、キッチンへ向かう。

水を飲み終え、部屋へ戻ろうとしたそのとき、彼はそれを見てしまった。


アマイが、再び彼を見つめていた。

最後に見たときと、まったく同じ姿で。


彼女は、前日と同じ言葉を囁いた。


「自殺しなさい。もう一度私に会いたいなら、自殺しなさい。」


「俺は自殺なんかしない! お前はアマイじゃない! 誰だ? ……いや、何者なんだ?」


「自殺しろ。自殺しろ。自殺しろ。自殺しろ。自殺しろ。自殺しろ。自殺しろ。自殺しろ。自殺しろ。自殺しろ。」


それは止まることなく、彼に自殺を促し続けた。

ケネディはどうすればいいか分からなかった。夢かどうか確かめるため、自分の腕をつねったが、痛みは本物だった。


逃げるべきか、戦うべきか、それすら分からない。

それが敵意を持っているかも分からなかったが、その言葉から察するに、そうなのだろう。


「……母さんを襲うつもりなのか?」


迷った末、彼は身を守るために包丁を手に取った。

それを見た瞬間、それは人間の肉のような液体へと崩れ、固体として残ったのは頭部だけだった。

身体は腕の代わりに二本の槍を形成し、ゴムのように伸ばして襲いかかってきた。


ケネディは一本目をかわし、二本目の先端を切り落とした。

反撃に出ようとしたその瞬間、三本目の腕が突如出現した。


反応する暇もなく、彼は胸を貫かれ、心臓に達した。

長年の不摂生な生活で、戦闘の経験など皆無だった彼にとって、当然の結果だった。


視界がぼやけ、力が抜けていく。


「……俺は、死ぬのか?」


胸に手を当てると、そこには血しかなかった。

そのとき、彼は気づく。手にしていたはずの包丁がない。


下を見ると、それは彼の胸に突き刺さっていた。


「……あの腕じゃない?」


キッチンの扉を見ると、それはもう存在していなかった。

彼は“刺された”と思い込んでいたが、無意識のうちに自分で包丁を心臓に突き立てていたのだ。


いつか、こうなることは分かっていた。

アマイのいない世界は、電池のないリモコンと同じだった。無意味だ。


“戦い”のアドレナリンが切れると、耐え難い激痛が彼を襲った。

人生で味わったことのないほどの痛みだった。

彼は床の上でのたうち回り、泣き叫びながら、やがて目を閉じた。


「……俺が、彼女を……救う……」


そして、意識は闇へと溶けていった。


目を開けると、そこは熱気に満ちた空間だった。

赤が支配する世界。洞窟の中のようにも見えた。


そのとき気づく。

一枚の看板の上に、ひとりの女性が座っていた。


長く波打つピンク色の髪が風に揺れ、ドラゴンの翼を思わせる紫の翼、そして黒い角。

彼女は景色に背を向けており、顔は見えなかった。


振り向かぬまま、彼女は言った。


「……ずっと、あなたを待っていたわ。」


彼女が足をどかすと、そこにはこう書かれていた。


「地獄へようこそ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ