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悪魔のトーナメント  作者: Luan Felice
1/1

葬儀

死。

死は、いずれ誰にでも訪れるものだ。だが、ケネディにとって、それは少し早すぎた。彼自身ではなく、彼の最愛の人に訪れたのだ。

ケネディにとって、たった一人、自分を気にかけてくれた存在――アマイ。


風が強く、雨が降るあの日のような日なら、ケネディはいつも通りゲームをしたり、アニメを一気見したりしていただろう。だが、その日は普通の日ではなかった。

彼は硬くて座り心地の悪いプラスチックの椅子に座り、アマイの家族が彼女の死を嘆く声を聞いていた。だが、彼はそれに耳を傾けてはいなかった。ただ、かつて自分を愛してくれた女性を見つめていただけだった。


彼女はもともと色白だったが、今はそれ以上に青白かった。長くて真っ直ぐな金髪は乱れ、かつて輝いていた青い瞳には、もう命が宿っていなかった。

以前の彼女が放っていたあの輝きを思うと、この光景はあまりにも悲しかった。


「ケネディさん、あなたの番です」


ぼんやりとアマイの遺体を見つめていたケネディは、そこにいた神父に声をかけられ、スピーチをするよう促された。

他の人たちとは違い、ケネディは何一つ準備していなかった。何を話せばいいのかも分からなかった。そもそも、なぜここに来たのかさえ分からなかった。

おそらく、アマイの家族に失礼なことをしたくなかった、それだけの理由だった。


木製の棺に押し込められた彼女の身体を見るのは、彼にとって耐えがたいものだった。

その視界から逃れるように、彼は椅子から立ち上がり、壇上へと向かった。

スピーチをして、アマイは埋葬され、そして家に帰る――それだけが、今の彼の望みだった。


壇上に上がり、神父からマイクを受け取ると、彼は即興のスピーチを始めた。


「……皆さん、こんにちは。僕はケネディです。アマイの恋人でした。

正直言って……本当に辛いです。彼女は、僕にとってすべてでした。文字通り、すべてです。

子どもの頃から、誰も僕を気にかけてくれませんでした。友達も、恋人も、何もなかった。

でも、アマイが学校に転校してきた。彼女だけが僕に話しかけてくれた。学校中で、僕と話してくれたのは彼女だけでした。

そして、いつの間にか付き合うようになって……それが、思っていたよりもずっと長く続いた。

彼女は、僕のすべてでした。彼女がいなければ、僕は今ここにいなかったと思います。

……分かりますか?

でも、その彼女は死んだ。じゃあ、僕はどうすればいいんですか? 僕の人生は、これからどうなるんですか?」


アマイの遺体から漂う腐臭が、次第に強くなっていった。それに苛立ちながらも、ケネディは話すのをやめなかった。


「あなたたちには分からないでしょう……。

学校で、何年も何年も一人ぼっちで過ごして、アルコール依存の父親と、壊れてしまった母親と生きてきた僕の気持ちが。

アマイは、僕の世界を照らしてくれたんです!

それなのに、今から彼女は土の中に入れられる!

彼女がいなくなって、僕はどうすればいいんですか!? どうすればいいんだよ!?」


腐臭は彼の我慢の限界を削っていったが、それでも彼は止まらなかった。


「どうせ、あなたたちにとって彼女は大した存在じゃなかったんでしょう!?

あなたたちにとっては、ただの取るに足らない存在だった!

でも、僕にとっては、彼女が世界そのものだったんだ! 分かるか!?」


そう叫び、彼はスピーチを終えると、マイクを床に叩きつけた。

自分が“ただの誰か”ではないと示したかったのだ。

そして――どうやら、それは成功したらしかった。


その直後、ケネディはその場から逃げ出したいという衝動に駆られ、実際に走り出した。

これ以上、あの姿の彼女を見ていられなかった。


雨の中を走り、顔に水が当たるのを感じた。最初は雨だと思ったが、口に入ったとき、塩辛い味がした。

それが雨ではなく、涙だと気づいた。

特別に整えた髪は、またぐちゃぐちゃになっていた。


墓地の門までたどり着いたとき、背中のシャツを引っ張られる感覚がした。

振り向くと、そこにはアマイとそっくりなシルエットが立っていた。

だが、よく見るとその目は緑色だった。彼女の妹、イモだった。


「どこ行くの? まだ式は終わってないよ」


「……もう、アマイの身体を見たくない。

あれが、彼女の最後の姿だなんて……耐えられない」


「……そう」


「で、君は? なんで外にいるんだ?」


「墓地の中は喫煙禁止だからさ。仕方ないでしょ」


「……まだ、タバコやめてなかったんだ」


「何年もやってきたことをやめるのは、簡単じゃないよ。

16歳の頃から、こっそり吸ってたし」


「……人生を無駄にしてる。まだ若いのに」


「ちょっと! 私、あなたより二歳年下なだけなんだけど」


「アマイは、こんな君を見たくないだろうな」


「アマイだって、あなたが子どもみたいに泣いてる姿は見たくないと思うよ」


「……その通りだ」


二人は、短く笑った。


「ねえ、一本どう?」


イモはそう言って、タバコを差し出した。


「……一度も吸ったことないけど。

まあ、何事にも初めてはあるか」


彼はタバコを受け取り、イモのポケットからライターを取った。

火をつけようとしたが、雨で消えてしまう。手で覆って、もう一度火をつけた。

煙を吸い込んだ瞬間、激しく咳き込み、タバコは口から落ちて地面に転がった。


「どうでしたか?」


「なんてひどい取引だ!どうしてこんなのが気にいれるんだ?」


「そのうち慣れるよ」


「どうでもいい……。とにかく、最悪な一日だ」


「ほんとね」


「じゃあ、行くよ。たぶん、もう会うこともないだろうし。会えてよかった」


「こちらこそ」


二人は軽く微笑み、ケネディは手を振って車へ向かった。

車に乗り込むと、家に帰ってシャワーを浴びることだけを考えながら、エンジンをかけた。


家に着くと、母のショウコがいた。

46歳だが30代に見える外見で、茶色の髪を肩にかかるポニーテールにしている。


「どうだった? ……ご愁傷さま」


「ありがとう。でも、最悪だった」


「……辛かったでしょう。分かるわ」


その言葉を聞いた瞬間、ケネディの中に強い怒りが湧き上がった。

だが、これ以上疲れたくなかった彼は、ただこう言った。


「シャワー浴びてくる。何かあったら呼んで」


「うん、ありがとう」


彼は階段を上がり、風呂へ向かった。


「“分かる”?

……誰を失ったと思ってるんだ。

ただの友達か? ふざけるな」


シャワーを浴びながら、彼は再び思い出していた。

青白く、酷い臭いを放つ、愛する人の身体を。

あの記憶を、二度と見ないように消し去りたかった。


「誰も分かってくれない……

誰も、俺を理解しない……

誰も、俺が失ったものを知らない……」


風呂を出ると、服を着てベッドに倒れ込んだ。


「……結局、彼女が死んだのは、俺のせいだ」


その瞬間、怒りと悲しみが限界に達し、彼は泣きながらベッドを殴り、蹴り続けた。

それは、約二時間後に力尽きるまで続いた。


「全部俺のせいだ!!

あの日、ここに呼ばなければ――!」


アマイは、ケネディの家へ向かう途中、交通事故で亡くなった。

暴走した車が、彼女の車に激突したのだという。

事故は三日前に起こり、それ以来、ケネディは毎日自分を責め続けていた。


「……せめて、もう一度会えたら。

一瞬でいい。謝るだけでいい。

死者を蘇らせる方法なんて……あるのか?」


「ケネディ!

ちょっとコンロ見てくれる!?」


キッチンから母の声が聞こえ、彼は呼ばれた通り向かった。


「私、シャワー浴びてくるから。

その間、オーブン見てて。十 分 後 に 消 し て ね」


「分かった」


母はそのまま風呂へ向かった。


「……十分か。タイマーかけとくか」


時間を待ちながら、彼は翌日のことを考えていた。

アマイがいない人生を、どう生きればいいのか分からなかった。

母は無職だから、彼が支えなければならない。

それでも、アマイを失った今、前に進む理由が見つからなかった。


……母に再婚相手を探す?

いや、最悪の考えだ。


父・ノムは、ケネディに似ていた。

短い灰色の髪で、ケネディだけが母譲りの茶髪だった。

父は、アルコールに溺れる前は良い人だった。

子どもの頃、ケネディにとって唯一の友達でもあった。


だが、職場でセクハラの冤罪をかけられ、解雇された。

必死に別の仕事を探したが見つからず、犯罪に手を染めた。

盗みと薬の売買。

母には再就職したと嘘をつき、酒に溺れ、暴力を振るうようになった。


ある日、仕事に出かけたまま、父は二度と帰ってこなかった。


再婚など、母にとっては悪夢でしかない。


そのとき、スマホのアラームが鳴った。

十分が経過していた。


彼はオーブンから鶏肉を取り出し、部屋に戻ろうとした――そのとき。


聞き覚えのある、優しく甘い声が、キッチンの別の扉から聞こえた。


「……ねえ」


振り向いたケネディが見たものは、決して見たくなかったものだった。

歪んだ姿。

虚ろな目。

青白い肌。


「……ありえない」


頬をつねっても、景色は変わらなかった。

夢じゃない。幻覚でもない。


目の前に、命を失ったはずのアマイの死体が立っていた。


「……なんだよ、これ……」


「もう一度、私に会いたかったんでしょ?」


事故で傷ついた声帯のせいで、彼女の声はひどく歪んでいた。

そして、彼女は最後にこう言った。


「――死んで」

皆さん、こんにちは!

『Tournament of Devil』を読んでくれてありがとうございます。

これは僕にとって初めてのウェブノベルで、読んで楽しんでもらえたら嬉しいです!

毎週日曜日に新しい章を投稿できるよう頑張ります。

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