第3話 Don't ice heart(お腹を冷やすな)
チートみたいに強いのに、欠点が大きすぎる!!
最強にして時に最弱!問題児だらけのパーティー!
その名もチーターズ!!
突然だが!!
“マモノ” というのを皆さんは御存知だろうか。
え?知ってる?『よく聞く』?あ、そう?
じゃあ…まあ…………いっ、か。
いやあの……でも一応……話しますね?
マモノというのは人に害を為す存在。人にとっての脅威。人の敵。
無機物も有機物も
動物も植物も
戦い方も規模も強さも
全てにおいて不規則で自由が規則……とすら表することができる奴らが、マモノである。
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「…!早いな、シリト。もうギルドに来てたのか」
「おぉ、ザクスか。いやぁ……昨日の後始末でな……」
「ああ、だから隣でカロが燃え尽きてんのか」
「ぽへー」
「てかお前も!まさか一晩中篭ってたとか言わないよな!」
「違うんだシリト。ここのトイレ異様に寒いんだ。だから出るに出れなくて」
「え〜〜??オレが使った時はそんなことなかったけどなぁ ——ガタッ—— お前がお腹痛すぎて冷や汗かきまくってただけじゃないのか(笑)」ガチャッ
壁、床、天井が氷結され極寒の氷室となったトイレ
「…………」バタンッッ
「あーー……、冷や汗のせいだったな」
「んなわけねえだろうが……!!トイレの個室が見るも無惨な氷の魔窟になっちまってただろうが!!」
「ならどうするというんだ?カロに溶かしてもらうか?」
「なんで上からなの?お前。カロ……は今燃え尽きてて役立たないだろうし、とにかく何か任務を受けて逃げよう」
「何かって言っても………………相も変わらずマモノ退治ばかりだが」
「なんでもいいよっ!ひとまずこれがオレらの責任だとバレる前に離れられれば!」
「じゃあこれで」
「よし行くぞ」
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「……でも結局、氷漬けトイレ見られたら犯人はすぐ判ってしまうんじゃないか?」
「どうして逃避してた現実を眼前に召喚するの?そんなの分かりきってたよね?分かりきった上でバックれようとしてたんだよ?察して?労って?」
「怒られるなら潔い方が良いと思うぞ」
「お前の問題だろぅが!!元はと言えばお前のその激弱胃腸が音をあげるからああいうことになるんだろぅが!!」
「俺の胃腸の悪口はやめろ!!例えシリトだろうと許さないぞ!!」
「ならまず寒さに耐えられるように改造してから出直せ」
「くそぉっ……!!言い返せない……!!」
氷冴ザクス
超常の能:『絶対零点下』
シリトをリーダーとするチーターズの一員にして、問題児担当。だが、灰燬カロのそれとは違い、ザクスは規格外の能を持ちながら、その扱いも一流である。つまり、問題はそこではないのだ。お察しの方もいるかと思うが…………
「随分森が深くなってきたな……。よし、ここらで一つ周囲の様子を見よう」
ガシッ!!!!
「何しようとしてんの?」
「いや…氷の櫓を作り上げてマモノの姿を視認できないかなと……」
「なんでそんな勿体無いことしようとしてるの?戦えなくなっちゃったらどうするの?」
「…………フッ…ハハハハハッ!シリト、いくらなんでも俺を舐めすぎだ。まあ任せろ。この程度はすぐ終わる」
「ちょっと待てまだ話は
—氷れ—
一言とワンアクション、それだけで完成する美しい氷の彫刻は、凄まじく素晴らしく櫓…いやもはや塔の形を模していた。ザクスにとって氷結とはその程度の簡単な行為であり、ザクスの能にとって「凍らせる」ことほど簡単なことはない。
だが!!!!
しかし!!!!
「うぅ……ふぅ……っ……さ……む……おな……かっ……い……ったい………」
「………………」
(呆れすぎて言葉も出ん…)
説明しよう!!
ザクスの能『絶対零点下』はこの世の果てからあの世の果てまで!凍らせられぬ物の存在しない、正に無敵にして最凶の能であるが、恐ろしいのは氷結の際発生する極寒の冷気!!その冷気にザクス本人があてられてしまうと
「く……っ…….うぅぅ………」
このようにお腹が冷えて激しい腹痛に襲われるのである!!!!
「な〜んでポンポンいたいいたいになるって分かってて氷使うのぉ?」
「だっ……てぇ………でもぉ………」グスングスン
「気色悪いな。もうただのお荷物のくせに」
「冷たいぃ…………冷たさがお腹に刺さるぅ……」
「あ、湯たんぽ持ってるよ」
「貸してぇ……ありがとう……あったけえなぁぁ〜〜」
「備えあれば、だな。にしても、今日はもうザクスも役に立たないだろうし、マモノも見当たらないし、ていうかどんなマモノがあるのかも分かってないし……一旦帰るか」
バキボギメキメ゛ギッッッ!!!!!
聞いたこともないような、森をひっぺがす音を立てていたのは太古の竜を想起させるほどの超巨大オオトカゲ。少なくとも森を見渡せる程度には高く造られた氷の塔を噛み砕き、残された選択肢は踏み潰されるか丸呑みかしかない。
「へぇぁ?」
(あ、死んだ)
————————————パキン
「………………死んだかと思ったよ」
「あれで?そんなに強そうなヤツじゃなかったろ」
「そうか?そうか…………そうか?」
「そんなことよりお腹が痛い。早く帰ろう」
「ああ…」
(この凍った怪獣どうしよう……)
それ以来その森は、全長約10メートルのオオトカゲの氷像が眠る、『氷竜の森』と呼ばれたとか、呼ばれていないとか…………
「なんか忘れてね?」
「何が?」
「いや〜〜なんだっけか大事なことを……
「それで??あの使い物にならなくなったうちのトイレについて、ご説明いただけるんですよね??」ビュゥオォオォオォオォ
「…ザクスぁぁ…!! 助けてぇぇ……!!」
「…無理だぁぁ…!! 俺より強い吹雪が吹いてるぅぅ……!!」
「とりあえず、お宅のカロさんは軟禁しますから」
「なんで俺!?」
「氷を溶かさなきゃいけないんだからそれはそうでしょう」
「いくらでも持ってってください!!」
「売るなシリト!!!」
「あとザクスさんはこの後雑務が大量に待ってますから」
「あの〜…その〜…もう既にお腹がだいぶ…痛いのですが……」
「は?」
「なんでもありません!!喜んで務めさせて頂きます!!」
これが、凍らせられぬ物のない最強の能を持ちながら、お腹が寒さに弱すぎるチーターズの一人である。
氷結の描写って文章だとどうやるんでしょうね(諦)
ザクスも男です。年は19で基本的に冷静と言えば聞こえはいいですが、感情の浮き沈みが少ないだけの悪く言えば冷笑系です。好きな食べ物は温かい麺類です。グラという名前は“Xce”と綴ります。Xから始まる名前ってかっこいいですよね。なんですか、厨二病って不治の病なんで。




