第20話 Escape(それこそが矜持)
!超危険任務本領!
『人型マモノを討伐せよ』
【 カロ&ザクス&カミド&カミラ VS ナギナタ 】
「お前らやるぞォ!!」
「「「 おお!!! 」」」
「ふむ…………闘気が溢れ出ているな。
これも何かの縁だ。礼儀として名乗ろうか。
儂は…………!!……!!
…………名乗る名などないのを失念していた。まあ見ての通りの薙刀だ。その身に刻んでやるから、とくと味わえ」
「見て聞いて触れて味わえって…………?それは贅沢が過ぎるなぁっ!!」
ドゥルンッ!!!!!ドッドッドッドッドッドッ………
(なんの音だ…………?)
〈焼燬尽力〉!!!
「ほう……」
(一歩で儂の死角に跳ぶか……!歩法というよりエネルギーの放出に近い……速さ高さ共に申し分なし!
そしてより疾い……こちらの小娘!!)
〈本気天満大自在大字雷〉
〈〈〈〈 参 〉〉〉〉
〈駈〉!!!
神怒の〈大字雷〉シリーズは、大字(古い漢数字)によって番号付けされた九つの技を使い分ける。参の〈駈〉は、脚に雷を集中させ高速移動を可能にする。
そして今、カロ・神怒二名の雷火は…………
(拳へ移るな……まともに喰らえば儂もタダでは済まんな……)
〈焼燬掌握〉!!!!
〈大字雷ノ弐〉〈拳〉!!!!
クルリ————…………
なんてことはない。ただ手に持つ薙刀を回しただけ。
それだけなのに、不思議と刃先は吸い寄せられるように神怒の〈拳〉へ——
反対に、柄の端、石突もまた不思議とカロの〈焼燬掌握〉へと吸い寄せられる——
最も不思議なのは、ただそれだけで二人の攻撃をピタリと受け止め切って見せたことだ。
「「 !? 」」
(なんだこれ…)
(ありえない…です…)
「……先陣を切る者として申し分ない速度に威力。だが惜しむべくは、連携がまだまだ未熟……」
——ヒヤ—— 「む?」
〈冰凝〉!!!
「もう何回か氷っとけ…………」
〈冰凝・幽閉重戸〉!!!!
「助かったザクス……しかしさっきのは……」
「…………あまり考えたくはないが…………。
カロとカミドの技の『強さ』と『向き』の “矢印” がピッタリ向かい合うタイミングで薙刀を差し込まれた。結果二人の技は相殺…………つまり自滅だ」
「簡単に言うなです!!力の向きも大きさも、ちょっとでも目測が狂えば大事故になるです!!そんなこと……」
「“できる” からやばいんだろ……!!現に見ろ……」
ピキ…………ピキ…………
「何重にも重なった氷なんですけど…??」
バリィィィン!!!!!!!!!!
「いくら重なろうが所詮氷は氷だ。儂を封じるには弱い」
「たまねぎかなんかと勘違いしてんじゃねえのか?」
「さて、この程度か?炎に雷に氷……そっちの小娘は何を使う」
「……風です」
「なぜ攻撃しなかった?」
「………………」
「まさか、できぬのか?」
——迸る雷——
〈大字雷ノ壱〉〈断〉ッッ!!!!
「妹に喧嘩売るなら私が買ってやるですよ??」
「戦場で守られるだけ……か。そりゃ “お荷物” というやつだろ」
「関係ねえです…………!!大事な荷物は “宝物” と言うんです。だから守る……!!」
「ならば良いがな。動機も方法も関係はない!!ただ……万策尽きてもまた立ち上がってくれよ?」
言葉よりも、その “気” が語る。
儂 を 楽 し ま せ ろ !!
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ビュン!!!!! ビュン!!!!! ビュビュン!!!!!!!!!!
「ウフフフフ!!はぁッ!!」
森の中を、生き物を遥かに凌駕した速度で駆け抜けながら、加えて殺意に満ち満ちて突き立てられるナイフ。
だが、掠る気配すら感じさせずに飄々とそれを躱す。
「さっきからビュンビュンビュンビュン逃げ回って…………、走ってる時に出る音じゃないでしょう?」
「逃げ足だけなら光より速いで有名なんだよ……。そっちこそ、ザクザクザクザク包丁突き刺してきやがって…………、使い方間違えてんだよ……!!ママに教わらなかったかァ?!」
「お生憎、人型マモノに親はいないの」
「……へへ、親の顔が見てみたいな…………」
(また……来る……)
人とマモノは姿形こそ似通えど、何よりもその身体能力に大きな差がある。
いくらそうは言っても、こちらが一歩離れる間に睫毛が絡みそうなほど近付けるのは
(人間離れしすぎだろ!!!!)
「あ……………………っっっぶねぇ!!!!」
「また避ける…。そしたらまた逃げ出すんでしょ?ねえ、戦えないのになんでそんなに避けるのが得意なの?」
「戦えないからだよ……!!生き延びるためには危機を回避するしかなくてね……!!」
「うーん…………そういうんじゃないんだよなぁ…………。『回避』と『逃走』、この二つに関してはお兄さん凄いよ。でも、そんなピンポイントで鍛えられる人間なんかどこにいるの?それこそ人間離れした領域まで引き上げてて……感覚としては…………」
「…………??」
「……そうだ。お兄さん、どちらかというとマモノに近いんだよ。 “逃げ足” が武器のマモノ…! って……感じかな」
「…………ははっ、化け物に化け物扱いされるとは光栄だね」
「『光栄』…………?何が …………??」
「…………は?」
「誰だって分かるよ。あっちの四人は別格だ、って。
それでもお兄さんはリーダーなんでしょ?
最初は意味が分からなかったけど、今は納得かなぁ…………。だって、逃げ足の武器がある限り、お兄さんは安全に敵を引きつけられる、ってことは戦力の分断ができる。走り回ってれば強い奴が確実に強いまま戦える。
理解っててやったんでしょ?
あの場で、お兄さんが逃げる以上の最善の選択肢はなかったって」
「オレの『逃げ』が…………??」
「実際わたしも釣られちゃったしな〜〜〜……。まさかこんなに粘るだなんて思わなかったし……。まあ、その辺の弁が立つってのもお兄さんの強みなのかもね、あの煽りはちゃんとウザかったし」
(オレはただ……あいつらに期待を押し付けただけだ。
あいつらならなんとかしてくれる、いつかは勝ってくれる、オレを助けに来てくれる。
そのために…… “一人邪魔だ” と思った。それだけだった。なのにそれが…………??)
「二人がかりは取り合いになるから嫌いだけど、それでもそっちの方が早く殺せてたのにな〜〜〜」
「………………はあ。こんなこと、敵に教えてもらってるようじゃまだまだだな」
「ん?なんかやる気になってるね?」
「ああ……、逃走成功確率と生存率がオレの強みらしい。今までそんなの運がいいだけかと思ってたが…………運も実力のうちってことか」
「へー…………じゃあ……お兄さんの悪運は、あと何回わたしの包丁を避けられるかな」
「……一回だって当たりゃしねえよ……」
【 シリト VS ナイフ 】
後にこの戦いは、意外な決末を迎えることとなる——。
儂、儂、言ってますがナギナタは若めの男の姿です。




