第2話 Burn Down Out(焼き尽くし症候群)
チートみたいに強いのに、欠点が大きすぎる!!
最強にして時に最弱!問題児だらけのパーティー!
その名もチーターズ!!
突然だが!!
“能” というものをきっと皆さんは知らないだろう。
それはこの世界の一部の人間に与えられた特殊な力。
それは〈超人〉と〈超常〉の二つに区分される。
丁度良い、彼女を例えとしよう。
ギルドと呼ばれる施設がある。困り事や頼み事を代わりに解決してくれる奴らの集う場所、とでも言うべきか。
ここはとあるギルド、彼女はその受付。
笛果綺カーラ
超人の能:『同時複数処理』
読んで字の如く、どれだけ仕事を抱えても一切の淀みも滞りもなく遂行できてしまう敏腕受付になれてしまったりもしてしまうのが、“能” である。
はてさて、前置きが長くなってしまったが、ここにも能を、それもとびっきり最強のを持った奴が一人…………
------------------------------
「カロ!カロ起きろ!!」
「…………ぽへー……」
「カロ!……こんっの……!起きろ!」バチン!!
「ぶへぇっ!?……ハッ……!俺は一体何を……それにこの左頬に残る痛みは…………!?」
「あー、それは気にしなくていい。そんなことよりカロ!!お前また勝手に能使ったろ!!」
「なぜバレた!?」
「ガス欠になってただろうが!」
「待ってくれ聞いてくれ!グラのやつがまた “おねひょ” したんだ!」
「ああ…… “おねひょ” は仕方ないな。だからあいつ遅いのか」
「だろう?しかも夜中。だから俺はこう……頑張って小さな火を出し続けて、自分の身体を暖めようとしたんだ!」
「そしたらどうなったんだ?」
「朝、灰と共に目覚めた」
「ベッド燃やしてんじゃねーか」
灰燬カロ
超常の能:『燠』
シリトをリーダーとするチーターズの一員にして、問題児担当。(ちなみにチーターズの構成は、問題児×4+責任の所在×1である)
「カミドとカミラはどうしたんだ?」
「まだ寝てる。昨日使った能がまだ怖かったんで、昨夜はほぼ寝てないらしい」
「じゃあ二人で任務をこなすか?」
「え〜〜〜〜。やだよ〜〜〜〜」
「なんでだよ!」
「お前の面倒一人で見ろって言うの〜〜?」
「じゃあいいよ!!俺一人で行くよ!!」
「バカバカバカバカバカ。悪かったオレも行くよ」
「なんだよ、やる気満々じゃないか!」
「お前一人で行かせてたまるか」
「どういう意味だ?」
------------------------------
「今日のミッションはなんだ?」
「またマモノの討伐だ」
「またか?最近多いな……。今回のはどんなやつだ?」
「あれ」
「え、山?」
「ちがうちがう。ほらそこの中腹辺りに」
「え、岩?」
「うん」
「岩をどうやって倒すんだ?」
「知らん。能でなんとかなんないの?」
「シリト、君は能を持ってないから知らないかもしれないがいくら超常の能を持っているからといってあんなバカでかい岩をたった一人の人間の力でどうこうできるわけがないだろう?そもそも
「あーわかったよ。とにかく近くまで行ってみようぜ」
「どうにもならないと思うけどなぁ」
(最初のやる気はどこ行ったんだよ)
「ってわけで近くまで来たけど、寄って見ると余計にデケェな……そんでもって丸い。てかよくこのサイズの岩がバランス保ってんな……。どうだ?いけそうかカロ?」
「ああ……なんかもう『やるしかないぜ』って感じだぜ……!」
(なんでスロースタートな熱血なんだろうなこいつ)
「まあ流石にあの双子みたいな威力はカロじゃ出ないだろうし、幸いここは誰もいない山。周りは気にせずやっちゃっていいぜ」
「ああ…………
ボォッ———…!!!
仄かに、いや瞬く間に明らかに、カロの周りの温度が上昇していく。空気は熱され、耐えかねた落ち葉はパチパチと悲鳴を上げ始める。
これこそが炎熱を生み出し自在に操ることができるカロの能、『燠』。その炎に際限はなく、何処迄も熱く何処迄も巨きく燃ゆる。例えるならば、正に地獄の業火である。
……任せろ」
(……いけるか…………?)
理想は巨岩を打ち砕く、炸ける爆炎。
今、そっと手を触れる——
「………………ハッ!!」
プスンッ!!
「ぽへー」
「っておいふざけんな!!ここでスカってんじゃねえ!!」
説明しよう!!
カロの能、『燠』に関しては文句なしの一級品だが、肝心のカロ本人に炎を操るセンスが絶望的にないため、よくスカったり(不発に終わること)暴発したりしては
「ぽへー」
このように燃え尽きてしまうのである!!!!
「嫌な予感したんだよなちくしょう。カロ、カロ起きろって!……ったく、こんな動かないマモノが相手じゃなかったらぶん殴ってでも起こしてるとこだぞ……」
カタカタ
「ん?なんの音だ?」
カタカタ
(もしかしてこいつ、動こうとしてるのか……?)
「へー、只の丸岩でもマモノってことね」
カタカタ……………………ゴロ……
「あれ?今の音だけなんか、へ——
ゴロゴロゴロ……!!!
——ん?ん!?まずいまずいまずいまずい!!
おい!カロ起きろ!!燃え尽きてる場合じゃないぞ!!」
「ぽへー」
「……とっとと……起きろォ!!」
「ぐはぁっ——!!うっ……なにごとだ……」
「マズいんだカロ!見ろあれ!」
ゴロゴロゴロ………!!!
「あれ…………さっきの岩か!?マズいじゃないか!!」
「だからそう言ってんだろ!!早く追うぞ!!」
ダダッ————!!
「あんなの、走って追いつけるのか!?」
「……追いつくしかないだろ……!!このままあいつが転がれば……麓の村が潰れる……!!」
「——!!」
(そうだ、ここで俺らが止められなければ、マモノの餌食になる人たちが——!)
「それだけは——
……………………チチチチチチ…………
——させない!」
ボォッ!!!
(カロが…………炎で、加速した!!)
「行けカロ!あのハタ迷惑な岩ァ…………ぶっ壊してこい!!」
「ああ……任せろ!!」
ボ、ボ、ボ、ボ、ボボボボボボ————バッ!!
(迅い!岩の前に立った!)
「行けぇぇぇぇぇ!!!」
(邪魔だ大岩……)
「壊れろぉぉぉぉ!!!」
ボルテージ、炎の規模、熱量、全てが最高潮。
これは予感ではなく確信。
この炎は、例えどんな大岩だろうが焼き尽くす!!
「あ」
「え」
-----回想-----
【 カロの能 】…………
【 『燠』 】…………
【 よくスカったり 】…………
【 暴発したり 】…………
暴発したり…………
-----回想終わり-----
“火” の “暴発” 、それすなわち、“爆発” である。
--------------------ド
カーーーーーーンッッッッ!!!!!
「で、マモノ討伐に向かった筈のお二人が山を半分削って帰ってきたわけですか」
「「誠に申し訳ございません」」
「お二人とも随分上手くなられましたねぇ、土下座。幸いにも怪我人がいなかったから良いものの、もしいたら…………。お二人とも、私の能はご存知ですか?」
「ま、同時複数処理……ですよね?」
「シリトさん正解です。では、そんな私の能の何割を貴方たちの起こしたトラブルが占めていると思いますか?」
「い、意外とそんなに多くなかったり……」
「カロさん不正解、約5割です。もし……村にまで被害が及んでいたのなら、私はこの5割を……一気に解消するところでした」
((何されるところだったんだ!!?))
「とにかく今後は……」ガミガミ
「はい……」しょぼん
「はい……」しょぼん
これが、森羅万象を焼き尽くす最強の炎の能を持ちながら、制御に難アリ故にすぐ燃え尽きてしまう、チーターズの一人である。
燠とかいう漢字カッコよくて草。ああ草燃えた……。カロは男です。年は19で中途半端に熱血で好きな食べ物はレアの肉です。ちなみにカロという名前は「熱」のラテン語 “calor” (カロル)から。厨二病なんで。




