第11話 Game(翼吹く)
!超危険任務発生中!
『レベルアップを解決せよ』
大森林 “フォレステスト” ……
ここは大森林の中でも生える木の高低差が激しい区域。
【 カミド&カミラ VS 黒宗 】
森の一番高い木の上に「真っ黒」が住んでいる。
「宗」という字には「大元・本家」という意味があるらしいが、成程。
奴は確かに「黒宗」だ。
「そんな高ぇところから見下ろすんじゃねえです!!正々堂々降りてきやがれってんでいす!!」
「お姉ちゃんっ…!き、聴こえてるかもよ……!」
「鳥にゃぁ分からんだろです」
見下すような、呆れるような、やれやれといった感じを少し漂わせながら、「真っ黒」は「真っ黒な翼」を広げる。空の広さを謳うように、いや、その主が誰であるかを主張するかのように。
「真っ黒」は、その大きな軀で空を「真っ黒」に塗り潰していた。人はそれを「翔ぶ」と呼んだ。
-----以下、黒宗の心の声を翻訳可能-----
※会話ができるわけではありません※
小さな者共よ。この私を、見下せると思いなさるな!!
「はぁ…っ!来るよお姉ちゃん!!」
「屈んで!!」
ビュン………………ブアアアアアア!!!!!!!
「キャアアアア!!」
「くっ…………!大丈夫!?」
「お姉ちゃん…………」
「カミラ…………あなた…………」
「すごいねえ!!飛んでるよ!!ビュンって!!通ったら風がぶあああって!!」
「………………楽しいのね?」
「うん!!ねえ、お姉ちゃん」
「どうしたの?」
「カミラもあんな風に飛べるかなぁ……!」
「…………ふふっ。カミラなら出来るよ。
あの上から目線の鳥やろう、吹っ飛ばしてやろう!です!!」
“矮小” とは “哀れ” ですね。
地を這い空に叫ぶしかできず喉を枯らす。
今楽にしてあげましょう…………!!
「まぁた突っ込んで来るよです!!」
「鳥さん……
ちょっと止まって?」
——!!?何ですかこれは!動けない……!?
いや、強烈な向かい風…………ですか!?
小癪な……!!
ビュンッ————!!!!!
「上に飛んでっちまったです!」
鳥たちは風の抵抗を掴んでさらに上へ浮かび上がる…………戦場が “空” で相手が “風” であるならば、勝ち目はないと知りなさい。
「お姉ちゃん……今の見た……?」
「…………どれのこと?」
「あの鳥さん、向かい風を切るみたいにして上に行くんです。羽搏くと風の流れが変わりました。でもカミラは、もっとあのアソビみたいに……あれはたしか……………………
(カミラすごい集中……)
「風が…………怖くはないの?」
「…………うん。今は唯…………カミラも “空” へ征きたい……!!!!」
…………フワッ…………
「??」
……何でしょうねあの娘……嫌な予感がする。
ス——————キラッ
「爪……?です?」
能ある鴉は爪を隠しているのですよ。
さて……次は本気で狩りに行きますか……。
「風を、切るんだ……でも、カミラ自身が風だから……翔ぶ為の風を……風だけを…………」
私の爪で掻いてしまうと……その小ささではミンチにしてしまうかもしれませんが……ハハっ、安心なされよ。鳥でもハンバーグの作り方は心得ていますよ。
ビュ-----−−−−———ゥンッッッ!!!!!!!
(とんでもない加速!!!)
「カミラ危ない!!!」
さぁあもう突撃は止められませんよおぉ!!
「フーセン……?」
死になさい——…………フワッ…………——!?
「え?」
(今…………ぜったい避けられないと思った突撃を、避けられた……?いや……違う……カラスそのものの軌道が逸れた!?)
な、な、何をした小娘ェェ!!
「風は空を揺蕩える。カミラもそんな風に空に征きたい。だから包むの。風で包むの。この中ならカミラは、風に成れる」
「揚力」というものを知っているだろうか。
流体中を移動する物体に、移動・流れの方向に対して垂直(特に上向き)に働く力である。
飛行機、ヘリコプター、勿論鳥類の翼など、あらゆる飛行物体に関わってくる力であり、ものすごく簡単に述べるならば、重さに縛られるこの世界において「上」に向かう為の力である。
そんな「揚力」……………………「それ」とはあまり関係ないところで、カミラは『そこ』に至った。
な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、
何故だ!!!!小娘ェェ!!!!!!!
何故『ここ』にいるゥゥゥゥゥゥ!!!!!
今はまだ、少女は風を恐れている。
が、今後彼女はその名の通り風を楽しんで生きることとなる。
その技の名は〈風戯〉。
「さっきのはカラスが逸れたんじゃない!です?!
この……カミドたちを包むように吹き荒れるこの風が!その密度が!弾き飛ばしたんだ烏を!」
「思いっ切り。思いっ切り吹く風で人を、カミラとお姉ちゃんを包む……いや乗せるんです。
風は翔べるんだから。風で満たしたこの空間はもう翔べるんです。乗ってしまえば空はもう、鳥さんだけの世界じゃ、ないですよね?」
——天へ征く球状の翼——
〈風船〉
「お姉ちゃん」
「…ん?」
「翔べました!」ニコッ!!!
……ポンポン
「よくできました。……あとはお姉ちゃんに!任せろです!!」
もし揚力に誤認があったら見逃してください。
あと分かりづらいかもしれないっすけど、カミドとカミラは一人称が自分の名前なんすよね。




