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【Another】星の代理戦争~Twin Survive~  作者: 一 弓爾
二章 星の代理戦争 後編
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八十九話 侍達との死闘①

 近接戦に持ち込むも、敵三人の連携は非常に強力だった。


 また、ゲームセンターの構造上、物品が多く志之崎の《乱射斬》による風の斬撃の〝物品との乱反射〟が光葵達を苦しめた。


「クソッ! 攻め切れない。近距離まで近づけば侍の刀での攻撃、少女の『見えない攻撃』がくる。仮面男のワープも厄介だ……」


 光葵は考える、どう攻めればいい……。


「日下部! 我が魔眼はワープホールの出現位置が分かる。おそらく位置座標を決めた上でそこにワープを発生させる魔法だ。少女の魔法は我が魔眼でも見抜けない。仮面男を分断できれば、我ならある程度有利に戦えるはずだ」


 カイザーから大きめの声で提案がある。


「了解。俺と朱音で侍と少女の相手をする。仮面男はカイザーと比賀さんで相手できるか?」


 すぐに、全員が同意の返事をする。


「比賀さん、打ち合わせがしたい。少しだけ来てくれ」


 光葵は敵と味方の間に《闇霧》を漂わせて視界を遮る。


「朱音、カイザー少しだけ防御頼む!」


 二人の「了解」という声が響く。


 敵からは風魔刀の斬撃、カッティングトランプが放たれ続けるも、朱音の《炎帝魔法――焔の盾》、カイザーの《魔眼拳》で防ぐ。


 光葵は二人が作ってくれた一瞬の隙に、比賀に仮面男の分断作戦を伝える。


「すまん。待たせた! 俺と朱音の魔法で隙を作る。練習した技でいこう!」


 光葵が朱音に声かけをする。


「オーケー! いくよ!」


「《複合魔法》《闇魔法×炎帝魔法――黒焔くろほむらとばり》……!」


 黒焔こくえんの幕が幸一郎目掛けて放たれる。


「そんな直線的な攻撃当たらないよ」


 幸一郎は片目を隠しワープしようとする。刹那、身体が〝空間ごと引っ張られた〟ようだ。


「そんなこともできるんですか……」


 幸一郎は比賀の方を見ている。


 比賀はまるで柔道で背負い投げをするように乱生魔法を使っている。

 幸一郎は周辺の空間ごと〝投げ飛ばされ〟数十メートル離れたクレーンゲームに激突する……。


「仮面男は『目の届く範囲』にワープできる。だったら、俺の闇魔法で目が届かなくすればいい……」


 光葵は再び、闇霧を広範囲に漂わせる。

 結果、志之崎、美鈴と幸一郎を分断することができた。


「お前やはり頭が切れるな……。油断ならん男だ。美鈴、注意しながら戦うぞ」


 志之崎が美鈴の方をちらりと見る。


「了解、シノさん! コウさんも心配だし、早くやっつけよう!」


 美鈴の純朴な瞳に闘志が宿る。


「朱音! 少女の『見えない攻撃』は俺が闇魔法を漂わせることで大体の位置が把握できる。俺の指示も聞きつつ戦ってくれ」


 光葵は隣にいる朱音に作戦を伝える。


「オーケー! 光葵に合わせる形で戦うようにするね!」


 朱音が明るく応える――。


 ◇◇◇


 一方、カイザー、比賀は幸一郎と戦っていた。


「痛た……。すごい魔法の使い方するね……」


 首をポキポキと捻りつつ幸一郎が話す。


「あんたの魔法は厄介だったんでな。無理にでも引き離させてもらった」


 比賀が淡々と答える。


「比賀、我がワープ位置を特定し適時知らせる。共に討取るぞ」


 カイザーの魔眼が黒く光る。


「……今言うことじゃないかもしれんが、なぜ全員に対して呼び捨てなんだ? あんたいくつだ?」


 比賀がカイザーの方を一瞬見て、やや不機嫌に尋ねる。


「十四だが? 呼び捨てなのは昔からだ」


 カイザーは当たり前のように答える。


「私はあんたの倍は生きてる。年上だから敬えと言うつもりはないが、年が半分以下の奴に呼び捨てにされるのは、正直不愉快だ。あんたもガキと言われたら嫌だろう?」


 比賀は眉をひそめる。


「それはそうだが……。他の者はそのようなことは言ってないぞ」


 カイザーはやや焦りつつ返答する。


「ありゃりゃ。揉め事? 隙があるなら全然攻撃するよ? 《転移手品(トリッキーワープ)――カッティングトランプ、大鳩》」


 ワープホールから複数の攻撃が比賀、カイザーを襲う。


「ちっ、まあいい。あんたが私を呼び捨てにする限り、私は『ガキ』と呼ぶ。いくぞガキ!」


 比賀が幸一郎を見据えながら声を出す。


「なっ、無礼であろう! 比賀……さん。いや比賀!」


 カイザーは結局呼び捨てのままだ。


 比賀は《乱れ渦》でワープホールからの攻撃を乱し霧散させる。

 この技は強力だがマナ消費が大きい……。あまり連発はできないな。


「ガキ、魔眼での攻撃は『近中遠距離』全てできるんだったな? 私は近距離の方が戦いやすい。合わせてもらえるか?」


 比賀が凛とした声で尋ねる。


「ガキではない……! だがそうだ。全距離にて戦える。比賀の戦い方に合わせる」


 カイザーは怒った口調で返答する。


「可愛げのないガキだな。まあいい。いくぞ!」


 比賀は、乱生魔法で攻撃を逸らしつつ幸一郎との距離を詰める。


「あはは。全く君達とは相性が悪い……」


 幸一郎はそう言い、片目を隠し自身がワープする。


「比賀、後ろだ。対応する。《魔眼散弾》!」


 黒いマナの弾丸が散弾銃の如く放たれる。


「おっと。先読みもか……。《空間転移――転移返し》」


 魔眼散弾がワープホールに吸い込まれ、カイザーの後ろから放出される。


「危ない!」


 比賀が乱生魔法でカイザーを引き寄せ、転移返しを躱す。


「すまない比賀……。しかし戦いづらいな……」


 カイザーが呟く。


「そうだな。奴自身もワープするから捉えづらい。『目に映る範囲』でしかワープができないという弱点を衝くのが得策だろうな。……ガキ、作戦がある。手短に言うぞ」――。


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