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【Another】星の代理戦争~Twin Survive~  作者: 一 弓爾
一章 星の代理戦争 前編
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七話 命の奪り合い

 翌日になっても、メフィから接触はなかった。

 そして、放課後となる。


「今日も早めに帰るか……」


 そう呟き、光葵は足早に教室を出た。


 しばらく歩いていると、後ろから声が聞こえてきた。


「光葵~! 今日手芸部ないからさ、一緒に帰らない?」


 朱音が鮮やかな赤髪をなびかせながら、尋ねてくる。頬が紅潮しており、どことなく艶めかしい印象でもある。


「おう……。あぁ、いや今は一緒にいない方がいいかもしれない……」


 光葵は自分でも思う。随分と歯切れの悪い返答をしているな、と。


「え……? 何か用事?」


 朱音は素直に言葉を発したようだ。


「う~ん、まあそんなとこだな。ごめんな」


 光葵は手を合わせて、謝罪の意思を見せる。


「いやいや、大丈夫だよ。こっちこそごめんね。じゃあね……」


 朱音はどこか寂しそうに別の路地へ入っていった。


「悪いな、朱音……。今は正直何が起こるかわからないから……」




 そのまま帰路につこうとすると、守護センサーの反応と共に、耳に残る不快な声が聞こえてきた……。


「いやぁ、探したよぉ。特徴的なパーマだから、何とか見つけられてよかった……」


 そこには白衣の男が立っていた。


「お前……! 狂人野郎……! 三日前はよくもやってくれたな……」


 光葵は言葉では威勢のいいことを言っているが、内心かなり焦っていた。

 あの時と同じように、命のり合いをしないといけないからだ。


 今まで普通に生きてきた光葵からすると、途方もない覚悟がいる。


「狂人野郎とは失敬だね。私は倉知くらちという名前だぁ。それにしても、いいねぇ……。その元気のよさは実にいい。さぞや、ガルムの良いエサになるだろうねぇ……。……さて、君との戦いはここで終えたい。さっき話してた少女がいたねぇ。少女もいい栄養になるんだぁ……」


 倉知はこの世の悪意を煮詰めたような、醜く歪んだ微笑を浮かべる。


「お前! 朱音に手を出すな!」


 光葵は青筋を立てて、すぐに声を荒げる。


「さて、既に無事かどうか……」


 倉知は含みのある下卑た笑みをする。


「ふざけるな!」


 光葵は言葉とほぼ同時に駆け出す。


「キャアアアア!」


 朱音の叫び声が聞こえる。


「朱音!」


 光葵は一気に加速し、朱音の前に躍り込む。


「光葵……。何あの狼みたいなの……」


 涙を流しながら、朱音は震える声で尋ねる。


「俺のせいだ……。絶対守るから、俺の後ろにいてくれ……!」


 光葵は精一杯、恐怖が伝わらないように、低い声を発する。


「いやぁ、勇ましいねぇ。まるでヒーローじゃぁないか。どうする? この状況で勝てるとでも……?」


 倉知は余裕の混じる声色で高らかに言葉にする。


「狂人野郎が……! 俺は魔法を使えるんだ……。やってやる……。《身体強化魔法》……!」


 光葵は身体強化魔法を目と身体中の筋肉に使用する。

 身体中の筋肉が膨張し、ミチミチと音を立てる。


 これでガルムの動きにも対応できるはずだ。

 しかし、勝ち切れるのか……? いや、今はやるしかない……! 朱音を守るために……!


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― 新着の感想 ―
守りたい対象と合体して敵と戦う。 鉄腕バーディ―だとか、ウルトラマンに近い感じの話ですね。
再び急展開の回でしたね。しかも相手(倉知)は朱音にまで手を出そうとするなんて……。続きが気になります。
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