五十四話 クリームシチュー
――「さあ、できたわよ!」
美味しそうなクリームシチューとパンが〝三人のルナ姉〟から運ばれてくる。少し、シュールな光景だ……。
クリームシチューを食べながら、全員で今後の動きについて話し合う。
「今後の動きの提案があるんですけど、いいですか?」
光葵は手を上げて尋ねる。
「日下部ちゃん、敬語じゃなくていいわよ」
ルナ姉は微笑みながら話す。
「そうですか……? じゃあ、普通に話すな。実は悪魔サイドの参加者の中に連続殺人犯がいる可能性があるんだ。俺は前に二回そいつと戦ってる。二回目の戦闘で相当なダメージを与えることはできたんだけど、まだ奴は生きてると思う」
光葵はつい憤りを感じた表情になってしまう。
「それって三週間前くらいに話題になってた連続殺人事件の?」
ルナ姉の声色が暗くなる。
「そう……。そいつが犯人と決まった訳じゃないけど、俺が二回目の戦闘をしてから連続殺人のニュースは聞かなくなった。犯人が逮捕された訳でもないようだし……」
「俺も日下部と一緒に二回目の戦闘の時戦ったんだ。ヤバい奴なんだよ! 仲間ごと爆弾で俺達諸共に殺そうとしたような奴だからな。何しでかすか分からん!」
頂川が語気を強める。
「そうなのね……。二人はどう思う?」
ルナ姉がカイザーと綾島の方へ顔を向ける。
「代理戦争に無関係な者を巻き込む輩がいるのは捨て置けぬ話だな」
カイザーが静かに答える。
「……私もそんな危ない人放っておくのはよくないと思う……」
綾島の小さな返答がある。
「そうね。私も同じ意見よ」
ルナ姉がこちらに顔を戻しつつ声を出す。
「そう言ってくれて助かる。できれば早めに見つけて倒しておきたい。二人以上で動けるように、二班に分けて捜索したいって考えてるけどどうだろう?」
全員からの同意を得られ、班分けは〝光葵とルナ姉、綾島〟〝頂川とカイザー〟に決まった。
今日からこの二班で〝漆原〟の捜索を始める。




