四十七話 三人連携技
貫崎と離別してちょうど一週間が経った。
その間に光葵と頂川、環は修行を重ねていた。
「環さん、《土魔法》だいぶ使えるようになったんじゃない?」
頂川が気さくに話しかける。
「ありがとう! 土魔法で『ゴーレム』を作れるようになったから、これで多少は戦力になれると思う!」
環は嬉しそうに答える。
「うんうん! 一緒に修行してる期間も長くなったし、戦う時は練習した連携技を使って戦おう」
光葵がそう話した時、守護センサーが反応した。
センサーが示す方向には、昔レンタルビデオ屋だったであろう建物がある。
商品なども残ってなさそうなくらいボロボロな印象だ。
「前の戦闘からちょうど一週間だ。いけそうか?」
光葵は二人の気持ちが気になり尋ねる。
「俺はイケるぜ」
頂川のギラギラした目が光る。
「私もいける。今度は足引っ張らないようにするね!」
環の目にも覚悟を感じる。
「……分かった。行こう」
少しずつ建物に近づいていく。途中で気づく。相手は悪魔サイド二人であるということに。
「相手は二人みたいだ。環さん、戦闘になる前に《付与魔法》お願いしてもいいですか?」
「オーケー。《付与魔法――攻撃、防御、敏捷、マナ知覚アップ》」
三人の基礎能力が上がる。
「牽制の意味も含めて、魔法を撃ち込みながら突入したいと思う。いいか?」
光葵は二人の了承を得て一気に突入する。
《氷魔法――氷の矢、氷槍》、《雷魔法――雷槍》、《土の弾丸》三者の魔法が硝子を突き破り建物内に爆裂音を響かせる。
土埃が舞い、中に置いてあった物品が破損し、散乱した店内にて――。
「危っぶねぇ! 急に魔法撃ち込んで来やがって……!」
ブラッドオレンジのオールバックの男が〝薄桜色のプロテクトフィールド〟を展開しながら声を出す。
「伊欲さんの《魔石魔法》で助かった。ありがとう。プロテクトも張ってたけど、思った以上に強力だったね……」
女はにこやかに話す。
「おうよ。相手は三人だ。油断せずいこうか……清宮さんよ」
伊欲の目に鋭く光が奔る。
清宮と呼ばれた二十歳程の女性は、神聖な雰囲気を纏っている。ミディアムの長さの黒髪。そして、目の色に特徴がある。白銀の虹彩に灰色の瞳孔。思わず吸い込まれそうだ。
服装は黒のシャツに黒のズボン。簡素な全身黒のコーディネートなのが印象に残る。
「防がれたか……。でもずっと防御し続けることはできないと思う。このまま魔法を撃ち込もう」
光葵は頂川と環に指示を出す。
「了解!」
二人の言葉と同時に再度魔法を撃つ準備をする。
「敵三人はまた魔法撃ってきそうだな。二手に分かれるか!」
伊欲は清宮に提案している。
「そうね。このまま、固まってても的になってしまうし、分かれて攻めましょう」
清宮が穏やかに答える。
直後、伊欲と清宮は単独行動を始める。
「バラけたか。俺達は固まったまま攻撃しよう! まずは、動きの速い女の方を狙おう」
光葵がすぐさま指示を出す。
伊欲は赤、青、黄などの魔石を《風魔法》に乗せて高速投擲。
清宮は「《水魔法――水の大砲》」を放ってくる。
清宮を狙って全員で魔法を撃ち込んだため、水の大砲は撃ち墜とし、清宮に魔法がぶつかる。
しかし、清宮に攻撃は通っていないようだ。
「伊欲さんの魔石には感謝ね。危なかった」
清宮の手の上で〝薄桜色に光る魔石〟が砕けている。
「プロテクトが強力だな。手に持っていた魔石とやらの力で防がれたみたいだな」
光葵は推測を口にする。
「プロテクトが堅いなら、俺の『新技』が効くかもな」
頂川がニヤリと笑う。
他方、伊欲からの魔石の攻撃は《付与魔法×一斉プロテクト》で防いだ。
魔石炸裂による衝撃は強力だったが、付与魔法を重ね掛けし、防御力を上げた光葵達のプロテクトは強固で傷一つ負うことはなかった。
この魔法は連携技として素早く発動できるよう練習していたものだ。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。




