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【Another】星の代理戦争~Twin Survive~  作者: 一 弓爾
一章 星の代理戦争 前編
23/125

二十三話 七三メガネ VS 侍

「先制攻撃です!」


 結城は《風魔法》による無数の刃を放つ。


「《風魔法》か。奇遇だな……。《風魔法――風魔刀ふうまとう》……」


 志之崎は刀に風魔法を纏わせた風魔刀を数度振り、結城の風の刃を相殺する。


 風魔刀は一振りで複数の斬撃を放つことができるようだ。刀身にはうっすらと風が逆巻き、月明りをゆらゆらと照り返している。


「驚きました。あなたも風魔法を使うのですね。固有魔法かまでは分かりませんが……」


 結城はこの一回のやり取りで、瞬時に予測を立てる。


「そうだな。偶然とはあるものだな」


 ただし、戦い方の特徴は異なる。結城は〝魔法による攻撃〟。志之崎は〝刀に魔法を纏わせて斬撃と共に攻撃〟している。


「では、どちらの方が強いか力比べといきましょう」


 結城がやや力強く言葉を発する。


 結城は風の刃と合わせて《風の弾丸(ウィンドバレット)》をも撃ち込む。


「ハッ!」


 志之崎の気合と共に放たれた風の斬撃は、結城の風の斬撃を相殺する。

 そして、風の弾丸は見切って躱される。


「すごいですね。かなり速く撃ちこんだのですが……。では、このようなものはどうでしょう?」


 結城は風魔法で身体を浮かせ高速で移動しながら、風の刃、風の弾丸を不規則に撃ち込む。


 対して志之崎は刀を構え直し、結城の動きに合わせて自身も動きながら風魔刀での防御、攻撃を繰り返す。まるでタイミングを計るかのように、攻撃をいなし続けている。


 唐突に志之崎の動きが変わる。風魔刀で一気に複数の斬撃を結城へ放ったのだ。


 咄嗟の動きの変化に、結城は動きを一瞬止め防御に回る。そして、突っ込んできている志之崎に向けて、風の弾丸を撃ち込む。


 志之崎は予測していたかのように刀を構える。


「《反射魔法――反射斬り》……」


 短く詠唱を終えた志之崎は、刀で風の弾丸を反射させて結城に返す。


 風の弾丸は結城の右肩を撃ち抜き血飛沫が舞い踊る。


「クッ……! 反射魔法が固有魔法のようだなぁ!」


 結城は痛みに顔を歪め、口調が荒くなるのを自覚する。


 志之崎は返答せず、素早く畳み掛けてくる。


 刀の間合いに入りそうになった所で「《風魔法――竜巻トルネード》……!」と結城は詠唱する。直後、巨大な竜巻が発生する。


 突然の広範囲攻撃に反応できなかったのか、志之崎は風魔刀での防御をしつつも数メートル吹き飛ばされる。


「ははは! どうだこの威力。一気に切り刻ませてもらうぞ!」


 結城の目に残忍な光がはしる。


 スッとかすかな音と共に志之崎は一気に加速する。


「これで死ねぇ!」


 結城は無数の風の刃と弾丸を志之崎に放つ。


 志之崎は素早い動きで攻撃を躱しつつ、反射魔法で結城の魔法を弾き返し相殺する。だんだん結城との距離が縮まる。


「先程のように竜巻を起こされると困るのでな……」


 志之崎はそう呟き、〝自分の足と地面〟に反射魔法を使ったようだ。更に倍の速度で結城に迫ってくる。


「速っ……」


 結城が言い終わる前に、風魔刀が袈裟斬りで結城の左肩から胸にかけて切り裂く。


「ぐぁぁああああ! お前ぇぇえええ!」


 結城はえる。

 ただし、反撃を予想し、プロテクト魔法を全身にかけていたため、致命傷にはなっていない。


「浅いか……」


 志之崎は静かに呟いた後、素早く逃走する。


「クソッ! これ以上血を流すと危ねぇか……! だが、奴の切り札をも予測し防いだ……! 魔法の扱いも分かってきたぞ……。やはり私は選ばれた者なんだ……」


 月を見上げ、結城は痛みも忘れ悦に浸る。


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― 新着の感想 ―
結城と志之崎、二人とも個性が強いですね。同じ風魔法でも戦いのスタイルがかなり異なる。
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