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【Another】星の代理戦争~Twin Survive~  作者: 一 弓爾
一章 星の代理戦争 前編
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二十話 メフィからの言葉

 朱音の病室を出て、家に向かっている途中で不意にメフィから声がかかる。


(長らく、連絡できていなくてすまなかった。今話せるか?)


「メフィさん⁉ 今まで何を……。あ、いや、聞きたいことがある。近くの空き地に移動するから、そこで話させてほしい」


(わかった。移動するのを待とう)




 空き地に到着する。


(まず、私から謝罪させてほしい。一気に星の代理戦争のことを伝えると混乱すると判断し、情報をあえて全ては伝えていなかった。また、参加者と天使……正式名称は〝守護天使〟が関わることには制限がある。しょっちゅう、話すことはできないんだ……)


 メフィは冷静だが、礼を尽くした態度なのがうかがえる。


「そうだったのか……。わかった。まず、聞きたいんだけど、星の代理戦争って何なんだ?」


 光葵は最も気になっていたことを尋ねる。


(星の代理戦争は天使対悪魔で行われる、『バロンス』をどちらの種族が担うかを懸けた戦いだ。ちなみに、バロンスというのは、地球の『マナバランス』を取る管理者たる存在のことだ。正確には違うが君達の認識でいう、神に近い存在だ)


「そんな壮大な話だったのか……。マナってのは何なんだ?」


 光葵は今までにも度々耳にしていた、マナについて尋ねる。


(マナというのは、〝あらゆる物質、非物質に宿るエネルギー〟のことだ。人間はもちろん、周りにある石などにも宿っている、あらゆるものの最小単位のエネルギーの名称だと思ってくれ)


「それがマナ……。バロンスは地球全体のマナの管理をする存在ってことか……。本当に神みたいだな……」


 光葵は不意に自分の置かれた状況が飛躍したもののように感じる。


(その認識で間違っていない。あと、もう一つ伝えたいことがある。重要なことだが、一気に伝えるべきでないと判断していたものの一つだ……)


 メフィは淡々と言葉を紡ぐ。


「教えてくれ……!」


 光葵は少しでも情報を得られるように即答する。


(魔法とはマナを使って起こす現象なんだ。理論を伝えるより、実践の方が理解が早いと判断し、伝えていなかった。だが、理論をも理解できる段階にあると考えた。)


「そうだったのか……」


(魔法は〝マナを使い〟〝イメージ、想像力〟をもって〝現象〟として起こすものだ。感覚で言うなら、火の魔法なら火のイメージを〝具現化〟する感じだ。イメージ精度、マナの知覚度が上がればより思い通りに、自由に魔法を扱うことができる)


「なるほど。たしかに、理論を教えられるより、俺は何となくのイメージでやってみる方がよさそうだ……。理論言われてもかえって混乱してそうだ……」


 光葵は素直に思ったことを伝える。


(今の段階ではこのくらいの情報量が適していると思う。また、時がくればこちらから連絡させてもらう。構わないか?)


「ああ。それで構わない。正直、今の話だけでも、頭の整理が追い付いてないしな……」


(そうだろうな……。では、また連絡する。星の代理戦争を頼んだぞ。必ず生き残ってくれ……)


 そう言い、メフィの存在の知覚がスッと消えていった。


「影慈……なんだか、すごい話になってきたな……」


 光葵は素直に思ったことを口にする。


(そうだね、みっちゃん。こんなに壮大な話だとは思ってなかった……。ただ、どちらにせよ、代理戦争を勝ち抜かなきゃ、生き残れないってことだよね……)


 影慈は不安げに暗いトーンで話す。

 殺し合いをしないといけないのだ。当たり前の反応だろう……。


「……ああ。でも、俺は……俺達は生き抜くぞ……! このまま、やられてたまるかよ……! 俺は影慈と一緒に生き直したいからな……!」


 光葵は様々な不安を超える、影慈と生き直したいという想いを叫ぶ。


(……あはは。みっちゃんは本当に真っ直ぐな人だね……。その真っ直ぐさに何度も救われてるよ……。ありがとう。絶対に生き抜こう……!)


 影慈は明るい覚悟を感じさせる言葉で応じる。


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― 新着の感想 ―
メフィさんからの情報、なかなか一気には教えてもらえないんですね。例の大男氏はまだ素性わからないし、天使サイドの協力ができたらいいのですが。
XのRT企画より参りました。 友人と一つの体になって代理戦争に参加、2人で一つの体というところが新しいですね。 友人を守りたいと強く思うシーンや、暖かい家庭のシーンは印象的でした。 中辛コメントとし…
テンポ感がよく、スイスイと読める作品ですね! 途中でのやり取りから考えると同じサイド同士で争うことも今後あるのでしょうか!? そして何より天使の名前がメフィ...とても怪しいです。
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