表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Another】星の代理戦争~Twin Survive~  作者: 一 弓爾
一章 星の代理戦争 前編
17/125

十七話 本気 対 本気

「ガルム、二人を喰い殺せ……!」


 倉知の号令に合わせ、一気にガルムが突っ込んでくる。


「《雷魔法――雷纏らいてん》……!」


 頂川の身体中から雷がほとばしる。頂川は雷で神経を刺激し、身体能力を引き上げる。 


 ガルムと頂川はほぼ互角に戦いを繰り広げる。


 ガルムの噛みつき、爪による裂撃に対して、頂川は雷を纏った徒手空拳、雷撃で応戦している。


 光葵は右腕にのみ身体強化魔法を使用する。渾身の一撃でガルムを倒すためだ。


 しかし、光葵が攻撃に参加せず、魔法を使用していることに気づいたであろう、倉知がガルムに指示を出した。


「ガルム! 火撃咆哮を二人に向かって振り撒け……」


 ガルムは火撃咆哮の爆風を頂川と光葵にぶつけてくる。


「ちっ、広範囲の魔法で厄介だな……」


 頂川は身体の表面に火傷を負っている。


 光葵も避けきれず、火傷が更に増える。


「頂川、すまん。なんとか隙を作ってくれないか? 俺の一撃でガルムを仕留める……」


 光葵は手短に頂川に伝える。


「おう、わかったぜ!」


 頂川も手短に返答する。


「ガルム……マナを使っていい、能力上昇だ……。どうも、決めにかかってきそうなんでねぇ……」


 倉知がガルムに命じる。


 それを受けたガルムの身体中が青く光る。

 おそらく、マナとやらを使って能力を上げた影響だろう。


「グ……ルルルラァァアアアアア」


 ガルムが大声で咆える。


 そして、二段上がった速度で突進してくる。


「ちっ、まだ速くなるのか……。日下部、俺が何とかする。ちょっと下がってろ……!」


 頂川は雷纏の出力を更に上げる。

 稲光が激しく、周囲に弾け飛ぶ。


「オラッ! 狼野郎! 大人しくしろ! 《雷魔法――雷槍らいそう》……!」


 頂川の両手から、雷光を発し続けている、一メートル程の槍が創出される。

 物体というよりは、雷の塊が槍の形を成しているような感じだ。


 頂川は雷槍でガルムの攻撃をいなす。


 互いに譲らない攻防が一分ほど続く。


「ガルム! マナを完全開放しろ! その上で火撃咆哮で消し飛ばせ……!」


 倉知が苛立ちを吐き出すように声にする。


「グルラァァアアアアアア」


 ガルムの体色そのものが黒から青色へと変わる。


「ハッ! 本気モードってか! 来いよ!」


 頂川が軽く手招きする。


 ガルムが一気に突っ込んでくる。


 頂川はガルムまで五メートルほどの距離まで引き付けた後、高速で雷槍を投げつける。


「ガルゥアア」


 ガルムはギリギリ雷槍を躱す。


「トドメを刺せ、ガルム!」


 倉知の大声が廃墟に響き渡る。


 ガルムは頂川に近づきながら火撃咆哮を放とうとする。


「おっさんが、狼野郎に命令してたから、できたことだぜ……」


 頂川は呟き、一気にガルムに向かい加速する。

 そして、ガルムの口を両手で閉じるように押さえ込む。


 火撃咆哮はそのまま発動され、大爆発が起こる……。


「頂川! 大丈夫か……⁉」


 光葵は思わず駆け出す。


「日下部! 今こいつを捕まえてる。ぶちかませ!」


 頂川の怒声に近い、大声が聞こえてくる。


「わかった……! これで終わりだ……!」


 頂川に顔を捕まえられている、ガルムの横腹目掛けて、渾身の正拳突きを打ち込む。


 ガルムは正拳突きの勢いで吹き飛び、パラパラと灰のようになり、消えていった。


「なっ……自爆覚悟で火撃咆哮を暴発させて、隙を作ったのか……。イカレてるねぇ……」


 倉知はそう言い、少しずつ出口の方へ移動している。


「待ちやがれ!」


 光葵は倉知の前に走り込む。


 次の瞬間、まばゆい光が光葵を包む。


「ぐっ……なんだ……」


「実は基礎魔法で光魔法が使えたんだよぉ……。じゃあね、また戦おう……」


 倉知はそう言い、走っていく。


「ま、待て。クソッ……目が視えねぇ……」


 光葵は残った力でプロテクトを張るので精一杯だった……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
緊迫したバトルでした。頂川くんの活躍が光っていましたね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ