十五話 再戦 白衣の男
それ以来三日間、倉知探しと並行して、頂川との対人修行を行った。
しかし、倉知の痕跡すら見つけることはできなかった。
頂川との修行より、四日目。
いつものように、人の滅多に来ない空き地で修行をしたのち、廃墟を回っていた。
すると、守護センサーが反応した。
「頂川……この先に天使サイドか悪魔サイドの参加者がいる。気を引き締めていこう……」
光葵は低い声で伝える。
「ああ、わかったぜ」
頂川は最低限の返答に留めたようだ。
そのまま、守護センサーの反応のある方に進んでいく。
すると、不気味な笑みを浮かべた白衣の男――倉知がいた。
それも、小さな男の子と一緒に……。
「いやぁ、また会ったねぇ。君に圧勝できるように、獲物を多く狩ってきた。……今日の獲物がまだだからねぇ。少し待ってくれるかい……?」
倉知はギョロギョロとした目で、男の子を見る。
男の子は口をガムテープでとめられている。
倉知の狂気じみた瞳を見た男の子は、足元に大きな水たまりを作る……。
「ふざけたことを言うな……! お前は今までに何人の人を殺してきたんだ⁉」
光葵は怒りで血液が沸騰しそうな感覚で、言葉を突き刺す。
「う~ん、どうだろうねぇ。ほぼ毎日狩りをしてるからねぇ……。わからないね。まあ、ガルムの強化度合をみて判断してくれよぉ。さあガルム、喰いなさい……」
倉知は男の子をただの食物として見ているのだろう。
人間らしい温かみの完全に欠落した瞳で、淡々と命令を下す。
「頂川ァ!」
光葵は一言叫ぶ。
「任せろ! 俺は迅いぜ……!」
頂川が雷を纏い、一気に加速し男の子の前に立ち塞がる。
「早いねぇ、君ぃ……。いいエサが三つも……。こりゃ嬉しいねぇ」
倉知は悪意に歪んだ笑みを浮かべる。
「俺も強くなってんだ。勝手に勝ったつもりになるな、狂人野郎。ぶっ飛ばしてやるよ……!」
光葵は身体強化魔法を発動する。
全身の筋肉がミシミシと膨れ上がる。反射神経も一気に引き上がる。
「お前をまず倒す! 頂川! 狼は任せる!」
光葵は倉知に向かって駆ける。
「ふふ、いい判断だぁ……。でもまあ、ガルムは君より速い」
倉知の言葉の直後、ガルムが光葵の前に躍り込む。
そして、爪による裂撃を放つ。
「くっ、速い……!」
光葵は両腕で防御姿勢を取ったが、腕と上半身に爪痕を残される。
血が複数箇所から滴り落ち続ける……。
「いってぇな、クソがッ」
「悪ぃ、日下部。反応しきれなかった……」
頂川が光葵の目を見て謝罪する。
「大丈夫だ! 頂川はその男の子を安全な所へ! こいつは俺が倒す……!」
光葵は空手の構えをとり直す。
「…………わかった。俺も男の子を避難させたらすぐ戻る。負けんじゃねぇぞ……!」
頂川は心の底からの鼓舞をして、男の子をつれて走り出す。
「面白かった!」
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