十三話 情報共有
「頂川もあんまり説明なく、代理戦争に参加してるのか……?」
光葵は単純な疑問を口にする。
「ん? いや、結構説明されたぜ? 俺はルールとか覚えるの苦手だからよ……。代理戦争は、契約者が天使族と悪魔族で十人ずつ選ばれる。そんで、天使サイドか悪魔サイドの全滅が勝利条件ってことくらいしか覚えてねぇな。あとは俺の『固有魔法』が雷魔法だってことくらいか」
頂川は頭をポリポリとかきながら、上を向き話す。
過去の記憶を思い出そうとしているのだろう。
「代理戦争は十人ずつ……つまり、合計二十人で行う戦争なのか……。代理戦争だし、どちらかの陣営の全滅が勝利条件なのは当たり前か……。というか固有魔法って何だ……?」
光葵は新たに出てきた知らないワードを尋ねる。
「……日下部は天使から説明受けてないのか……? 俺の忘れてた守護センサーってのは知ってたみたいだけど……。詳しいのか詳しくないのかよくわからんな……」
頂川は頭を二度捻る。
「多分、俺が特殊な参加の仕方をしたんだと思う。急きょ参加したようなもんだからな……」
光葵は影慈と二心同体ということを伝えようか迷ったが、最終やめた。
ただでさえ、情報が足りていない状況で、自分のことを説明するのは時間がかかると思ったからだ。
「そうなのか……。まあ、深く聞くつもりはねぇよ。何か知りたいことあるか? 俺がわかる範囲でなら答えるぞ……?」
頂川が真っ直ぐ光葵の目を見て尋ねる。
「じゃあ、さっき言ってた固有魔法について教えてほしい」
「オーケー。固有魔法ってのは、名前の通り契約した天使や悪魔の固有で持っている魔法だ。逆に天使や悪魔が一般的に使える魔法が『基礎魔法』と呼ばれるみたいだぜ?」
頂川はできる限りわかりやすい言葉を選びながら、話してくれている印象だ。
「なるほど……。なんとなくわかってきた。でも俺の固有魔法は何なんだ……? 身体強化魔法? 回復魔法……?」
光葵は自分自身の状態が更にわからなくなってくる。
「一応、覚えてる範囲にはなるが、身体強化魔法も回復魔法も基礎魔法に分類されたはずだぜ。俺の雷魔法も基礎魔法の一種だ。ただし、『固有に強化』された魔法で強力だから、固有魔法扱いだって聞いた」
「……その話だと、俺の固有魔法はもしかしたら、別の何かかもしれないのか……。まあ、今考えてもわからないけど……。頂川のパターンみたいに基礎魔法の一種だけど、強力だから固有魔法扱いになるのもあるんだな……。ありがとう。色々と知れたよ」
光葵は今まで聞いた情報を懸命に頭で整理する。
「おう。また何か聞きたいことがあったら言ってくれ。覚えてる範囲で答えるからさ」
頂川はカラっとした笑みを浮かべる。
「ああ! 助かるよ!」
光葵も明るい笑顔で応える。
その後、連絡先を交換し別れた。




