十二話 チーム
「頂川、お前の仲間達なんだが今回の騒動については……」
光葵が話している途中で頂川が舎弟に言葉をかける。
「お前らすまん。今回のことは俺の不注意だった。信じれるか分からねぇが、俺は今魔法を使った代理戦争に参加している。だから一緒にいると危険な目に遭わせてしまう可能性があった。巻き込んじまって悪い!」
頂川は頭を下げる。
「いえいえ、頂川さんのこと守れず逆に不甲斐ないっす。守ってくれてありがとうございました!」
舎弟達も一斉に頭を下げる。
「お前ら……」
頂川の目に涙が浮かぶ。
「俺達は頂川さんが今どんな状態なのか分からないです。でも、何か事情があるんですよね。今日あったことは誰にも言わないっす」
舎弟達から、噓偽りを感じさせない言葉がある。
「すまん。そうしてほしい。明日、学校に登校した時に改めて次期番長については決めるつもりだ。それ以降は次期番長を守ってやってくれ!」
頂川が舎弟全員の目を見て伝える。
「もちろんです! 頂川さん今までありがとうございました!」
再度、舎弟達が頭を下げる。
そして頂川が光葵を見て口を開く。
「この後話できるか?」
光葵はそれに対して頷きで答える。
「お前ら今日はすまなかった。この人と話すことがあるから先に帰ってもらってもいいか?」
頂川は後頭部に手を回しながら話す。
「分かりました!」と言い舎弟達は出ていく。
「悪ぃな。待たせちまった。少し話したくてな……」
頂川は軽く頭を下げる。
「俺も話したかったからちょうどいいよ」
光葵は気にしないでくれと、手を軽く振る。
「なんで俺が戦ってる所に来てくれたんだ? 急に襲われたから、色々驚いててな……」
「実は頂川が戦ってる所にちょうど遭遇したのは、ある人物を探してたからなんだ」
光葵は怒りの感情が混ざるのを自覚する。
「ある人物……? 誰なんだそりゃ?」
頂川は頭に疑問符を浮かべている。
「……大切な友達を傷つけた奴だ。代理戦争の参加者で悪魔サイド。倉知って名前の白衣の男だ」
光葵は苛立ちをそのまま吐き捨てるように、言葉を出す。
「ダチ傷つけられたんなら、ムカつくわな……」
頂川も同様に怒りを表情に出してくれる。
「…………頂川。もしよければ俺とチームを組まないか?」
光葵は頂川の心根が良い奴だと踏み、提案を投げる。
「お! それ名案だな! 俺も一人で戦い続けるのは流石に厳しいと思ってたんだ」
頂川がふっと顔を綻ばせる。
「よかった! ……一応聞くんだが、天使から守護センサーの説明はあったか?」
光葵は頂川が〝急に襲われたから、色々驚いててな……〟と言っていたことが気になり、尋ねる。
「守護センサー? ああ~そんなこと言ってたな。あんま覚えてないけど」
頂川は豪快に笑う。




