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【Another】星の代理戦争~Twin Survive~  作者: 一 弓爾
三章 最後の審判
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百十八話 最後の審判①

 清宮との戦闘後少ししてから、三人それぞれに守護天使から話があった。


(光葵、影慈。よく勝ち残ってくれた。礼を言う、ありがとう。続いてだが〝最後の審判〟にて誰の守護天使がバロンスとなるかを決めなくてはならない。君達を〝審判の間に転送〟することになる。代理戦争終結後すぐに最後の審判は行われる。心の準備がまだかもしれないが、数十秒後に転送が開始される)


 メフィは淡々と説明する。


「そうなんだな……。分かった。とりあえず、生き残れてよかったよ」


 光葵は軽く微笑む。


(分かりました。最後の審判ってどんなのだろうね……)


 影慈は少し不安げだ。


(たしかに気になるな……。まあでも、俺達二人なら大丈夫だろ!)


 光葵は本気でそう思う。

 今まで生き抜けたのは影慈がいたおかげだ。何度も助けてもらった。


 だが、助けられてばかりではない。光葵自身が行動したことで、変えてきたこともある。


 影慈から流れ込む感情には、光葵がいたから生きてこられた、というものが大きくあった。


 ――そう。二人の想いを合わせれば、〝二人だったから〟こそ生き抜けたという結論になるのだ――。


(あはは。そうだね。みっちゃんとなら何でも大丈夫な気がするよ……!)


 影慈は、自分の存在が必要とされていることを喜ぶように、嬉しげに声を出す。




 直後、〝光葵と影慈〟は審判の間に転送される。

 そこは、白い柱が立ち並ぶ、荘厳そうごんな雰囲気の神殿のような場所だった……。


 ふわふわと白く光る〝何か〟に案内され、神殿内に入っていく。

 そして、大きな円卓の椅子に光葵、綾島、比賀は座るように促された。


 円卓越しの一回り大きな椅子には〝人間では見ることのできない何か〟がいる。

 淡く輝いており、見ているだけでも人間とは次元の違う存在だと知覚できる。


「私は現バロンスのサキエルだ。まずは、第四次星の代理戦争、見事生き残ったことを褒め称えよう。さて、次期バロンスの選定だが、『今までの戦績』と君達の持つ『あるべき世界の思想』を聞き、それらを総合して決定したい。よいか?」


 サキエルは威厳を感じさせる声で尋ねる。

 その声色は強制ではなく、確認という色の方が濃かった。


「大丈夫です」


 光葵達は、全員同じ返答をする。


「では、まず比賀。君のあるべき世界の思想を聞かせて欲しい」


 サキエルが静かに尋ねる。


「……私は『犯罪のない世界』を創りたい。なので『人間の悪性の排除』がしたい」


 比賀は意志の強い瞳でサキエルを見据える。


「うむ……。では次、綾島。君のあるべき世界の思想を聞かせてくれ」


「私は『復讐心を抱かないでよい平和な世界』を創りたい。それと……相反あいはんすることかもしれないけど『大切な人を守る力を持ってほしい』とも思ってます」


 綾島は芯のある声で返答する。


「わかった。では、最後日下部。『君達』は二人で一つの思想という扱いだがよいな?」


「大丈夫です。俺達は……。『人同士の相互理解ができて悲しい出来事を少しでも減らしたい』です。……『少しだけでいい。優しい世界の構築』を望みます」


 光葵と影慈の思う、あるべき世界の思想は同じだった。

 人格共存をしており、かつ今までずっと一緒にいたからこそ、色々な経験をしたからこそ辿り着いた考えだ……。


「君達のあるべき世界の思想は分かった。少し待っていてくれ。他の者とも協議したのち選定結果を伝えよう……」


 そう言い、サキエルはゆっくりと消えた。


 光葵達は厳粛げんしゅくな雰囲気もあり、一言も会話せず待ち続けた。


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