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【Another】星の代理戦争~Twin Survive~  作者: 一 弓爾
二章 星の代理戦争 後編
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百四話 比賀とカイザー

 同日。カイザーと比賀は岩山で修行をしていた。


「比賀、いい線までいっているぞ。実戦でも使えるのではないか?」


 カイザーが声を出す。


「そうか? それは嬉しい話だな。でも、すまない。私の魔法の修行に一週間も付き合わせてしまって。魔眼で確認し、アドバイスをもらいながらの修行が必要だったとはいえ、私とばかりの修行で不都合はなかったか?」


 比賀は気にした様子で尋ねる。


「一向に構わんぞ。我も高めたかった魔法を修得できたしな。それに、比賀の考えた魔法はかなり強力だと思う。仲間が強くなることに力を貸すのは当然だ」


 カイザーは意に介していない様子だ。


「フッ。そう言ってくれると助かる。しかし、あんたを見てると昔を思い出すな……」


 比賀は物思いにふける。


「昔……? 我に似た良き知人でもいたのか?」


 カイザーは真顔で質問する。


「フフッ。そういう軽口を叩くところも似てるかもな……。私には弟がいたんだ。あんたと同じでクソ生意気なガキだったよ……」


 比賀はどこか茶化したような口調で話す。


「汝……我を馬鹿にしてないか? 全く……。それより『いた』というのは……?」


 カイザーが疑問符を浮かべながら尋ねる。


「……私が元刑事だって話は前にしたよな。私は『犯罪者が人一倍許せない』んだ。弟はちょうど、あんたと同じ中学二年の時、武装したテロリストに目の前で殺された……」


 比賀は冷静に言葉にしたつもりだ。だが、声はワントーン下がっている。


「なっ……」


 カイザーは言葉を失う。


「私は当時高校生。自分の無力を恨んだよ……。同時に、テロリストや犯罪者に対する憎しみが『心、魂』から溢れ出し続けた……」


 比賀の目に強い怒りと悲しみが宿っていく。


「……では、その一件があり刑事を志したということか?」


 カイザーも悲しい表情で尋ねる。


「そうだ……。私は『この世界から犯罪をなくしたい』。だから、刑事になった。でも、そんなことは不可能だと分かったよ。犯罪者はいくら逮捕しても現れる。私にしたら、地獄のいたちごっこだった……。それでも、少しでも救われる人がいると信じ、仕事を続けてきた……。最終的には、行き過ぎた捜査で上層部と揉めて辞めちまったけどね……」


 比賀は諦念を感じさせる物言いをする。


「そうだったのか……。比賀、もしやこの代理戦争に参加したのも……」


 カイザーは言葉を途中で切る。


「ああ……。私は代理戦争を勝ち抜いて『犯罪のない世界』を創りたい」


 比賀の表情は真剣だ。そうすることが弟の生きた証を証明すると思うからだ……。


「比賀……。汝の覚悟しかと受け取ったぞ。我が汝の盾となり矛となろう……」


 カイザーは瞳を鋭くする。


「ガキ……。ありがとな。あと、重い話をしてしまってすまない。……それと、前から気になってたんだが、その話し方はキャラ設定か何かなのか?」


 比賀は急に違う話題を振る。


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