工房に見学に行こう!後編
何か企んでんのか? と怪しむ俺の気持ちとは裏腹に2人して工房後に手料理食べさせろ! などと言われ拍子抜けする。
どうにも料理欲求が強くなってきてるらしいせいか、他の料理食べても味気ない感じに思ってしまい。
思い出すは俺が作った料理の味で無性に食べたくなったらしい。
調理場にいる熊にお願いしたらと言うたのに、熊がいまは研究中だ!!! こんな中途半端なもんだせるか! と一喝させれ、レシピも不足してるし材料ねえもんで作れんと言われたんだと。
ならば身近に頼む形となったようだった。
まあー俺は構わんけどな、美味しい料理食べたい気持ちはわからんでもない。
「じゃあー工房よった帰りに作りたい材料の買い物付き合えよ!」
「「オッケーだ!!」」
シオンとギルバートは声揃えて返事する。
ふむ。すっかり胃袋つかんでる気がするなー喜び方が母親に餌をもらう雛かのように見えるのは俺だけだな。
「道案内頼むな、2人共。」
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城下町につくと街の情景は賑わっていて明るく、街の人達も笑顔で接客していて楽しげに通りすがる人も良い感じに明るい。
へえー結構ここの街は政治的にも上手くいっているタイプなのかもなーーまあー光あるとこ闇ありだし。
異世界で平和なだけってのはないだろうから気をつけねえとな。
「工房って遠いのか?」
気楽精神でのべりながら聞く俺にシオンは緊張感ないなあーって感じでみてくるが、街来て緊張する必要もないと俺は思っている。
周囲には多少気をつけているし、見回りはこれぐらいがルーティンなのだからいいのだよ!
「えっとですねえー確か、ここの路地辺りを曲がった先にあったと思います。ほら! ここです!」
ギルバートが先頭で工房のマークを指差して教えてくれ、良くみるとゲームとかでのマークである武器の剣がクロスし中央には盾などのイラストが掘られて飾られていた。
そして店舗にはここの主であろう名前で武器屋ドルチェ工房と記されている。
「ドルチェってどんなやつなんだ?」
来る前に聞いておけって思ったが、時間と早く欲しい欲でドルチェがどんなやつでどんな性格なのか聞いておくのを忘れていたのだ。
一応なりのも性格でイチイチバトルのはかったるいからな。
「うーん、ドワーフ族ですが豪快で軽く、このすじの仕事には有名な方なので気に入った人物にだけは素晴らしい物をつくってくれて値段は高いかもしれないです。」
「まあー簡単にいえば豪快なおっさんだよ、あいつは。」
「シオンだけですよ、そんな気楽なこと言えるのは!」
「そーか? まあー身分気にしないやつだからオレも気に入っているだけだがな!」
くくくと笑うシオンにギルバートが呆れている姿に、シオンって身分高えのか? と疑問に思って口を開きかけた矢先に店の中からガシャン! と物音と怒鳴り声が響き渡った。
何事と俺達は店に入ると背の低いおっさんが威嚇するかの如くカウンターに両手を叩きつけた格好でいて、その前方には豪華な服に金色の髪をわざわざかきあげるようなポーズをつけ、マントには鷲のような紋章をつけた男が立ってドワーフのおっさんと交渉まがいの話しをしている状況だった。
「だーかーらー私のような者がわざわざこんなボロい場所に来てまで、あんたに頼んであげてるんだ! いい加減首を縦にふるもんじゃないか?!」
「ふざけるな!! ワシはもとより、この話しは断ったはずじゃ!!! それをなんだ! 無粋に約束も取り付けずに土足で踏み込むような態度に下の者への侮辱行為! それに身分不相応な行動は相手への侮辱だと思わんのか!!!」
バンっとカウンターを叩き言うが、金持ちのボンボンはククククと笑い、人を笑う顔はよく見る犯罪者のそれに似ていて人をバカにする上の奴らの素振りの態度を見て一瞬ムカっと心がざわつく。
「思うわけねえだろう! お前みたいな奴は貴族に逆らえねえんだよ! 黙って作らねえとこんなボロ屋など一晩で壊せるんだぜーーオッサン!」
「.....たわけが! やれるものならやってみろ!! ワシはこんなクソみたいな奴に我が子も当然の武器など渡せぬわ!!!!」
「てめえ!!! って!! うわ! なにしやがっ!!」
金持ちボンボンの言い草にそろそろ我慢の限界だったのだが、俺よりも先にシスイがいつもの雰囲気とは違うオーラを醸し出して金持ちボンボンの腕を捻り上げてにーーこりと黒い笑顔を見せていた。
すると怒鳴りつけてたボンボンはひゅっと変な声をあげて言葉を止める。
「ほうーーてめえーー何処の爵位なんだーーああん! 鷲の紋章ってことは侯爵家のルドイスかーーほうほう覚えたからな。あと...ドルチェは王家御用達の鍛治士だって知っての態度だったんだよなあーー。」
グイグイ詰め寄りながら威圧して言うシスイに、金持ちボンボンはブンブンと首がもげるんじゃと思うぐらいに振る。
「そーかそーか知ってたんだなーー、後で面白い処遇送っておいてやるから楽しみに! しておけよ!」
ビクっと顔色が真っ青になるボンボンの腕を離してやるシスイにギルバートが苦笑する。
ボンボンはクソうーーーと捨て台詞を吐いて店を出て行った。
「相変わらず邪悪な笑顔で退治するのうーシスイ。」
「邪悪はひでえなあーせっかく助けてやったのによ!」
「助けて欲しいとは思っとらんわ、まあーすこーーしは感謝しておいてやる。」
「ははは、少しかよ!」
などとこれがいつもの会話と言わんばかりのやりとりに呆気に取られていたら、ギルバートがこそっと。
「ね、仲良しでしょ。」
「確かにな。」
ドルチェとシスイが仲良しだと前もって聞いていたが、ここまで気が置けない相手だったとはと思う。
「シスイって爵位高いんだな。」
「まあー第一王子ですから。」
「は!!!?」