孤児院の見学には伏線が尽きもんだよなあ
一通りに子供を宥めつつも聞き取り調査をした俺は、ここでの仕組みを考えていた。
まずは俺が住んでた世界じゃあー支援物資と資金などの流れだ、普通であればボランティアが活動する施設があり子供達をそこで育てる感じだったりする。
国からも資金か市の協力なども然りだ。
だがこいつからの情報じゃあー支援するような貴族も国からの補助もない状態だと聞かされ、一瞬シオンを睨むも裏工作している輩がいるせいで尻尾を掴めていないと説明されて思いっきりため息が出てしまうが根本的に現地に行かねばわからないこともあるからと考えを切り替えておいた。
坊主とは孤児院に行くまでの間には思いっきり仲良くなり、最初の警戒が嘘のように甘えてきていて何故かギルバートがむうと拗ねてること以外は平和に目的地へと辿り着いた。
場所は教会と宿舎の平屋の建物で補助金がやはりないのかボロい感じではあった。
外見はボロい感じだが、これが本当かどうかなんだよなあー。
「今日は神父とシスターはいるのか?」
「.......いるよ、神父様は今は外出してる時間だと思う。」
「ふーーん。」
間があるのが気になるが、シュウが言うならそうなのだろう。シュウってのはこの子供の名前らしいが、本名が別にあるけど言えないと言っていた。
「ねえーシスイ、ここって確か前に補助金を請求して結構な支援金を贈った気がするですが?」
「ああ......それ俺も思ってた。書類の不備と金額が妙で気にはなっていたんだ。ここだとは思わなかったんだが、どういうことだ?」
後ろでギルバートとシスイから聞こえる内容に違和感を感じて口を開きかけたその時、タイミング悪く教会のドアを開けて出かけようとしていたのだろうシスターと対面してしまった。
「あらまあーお客様かい? ってシュウじゃないないかい、今日見かけないと思ったらどこに行ってたんだい?」
思いっきり笑顔で驚きシュウを見つけるシスターの表情は目元は笑っているが、口調の僅かな語尾と少しの動揺や苛立ちを滲ませた声音で近づいてくるせいか、咄嗟にシュウを俺の背後に移動させた。
すると小さくチッと舌打ちが聞こえたが聞こえないふりをして営業的な笑顔で俺をみる。
俺も笑顔になりスーッと力を抜いた。
「いやはや、シュウ君が迷子になってたので〜連れてきたんですよ。貴方がここの孤児院のシスターさんなんです
か?」
簡単かつゆるい物言いで言うと怪訝な感じで俺をみるが、後方にギルバートとシスイの美形どもの雰囲気にやられたようで乙女になってこくこくと頷いた。
まあーこいつらいたら、そうなるよなあ〜。
だがいま都合が良いから使わせてもらうけどな。
「そうですかーーなら、ここの孤児院の調査のこと聞かされてますか?」
「え? そのような話しは存じ上げないのですが?」
「ふむ、調査依頼の書類の行き違いで遅れてるかもしれません、たぶん司祭様には後日連絡があるかと思うんで...まずは監査調査を実行しておきたいのですがよろしいですか?」
「そんな急には、司祭様の.......え?」
ベシッとギルバートの足を踏むと、何って感じで睨んでくるが、この女に色仕掛けで口説け的なサインを出したら一瞬嫌そうな感じだったものの、空気を読んだのか小声で覚えておいてくださいよ!と言っていたがスルーしておいた。
「シスター我々の願い聞き入れてくれませんか? 貴方のような美しい女性のお時間を無駄にしませんので。」
ゆっくりと顔を近づけて壁に手を置きながらの懇願に憂いを滲ませる必殺技を受けたシスターはボンっと顔を赤く染めて好きにしてと言わんばかりに力を抜いていた。
俺はおおーーと歓喜したらシスイが呆れていたものの、とうのギルバートはニッコリと微笑んでシスターにとどめをさし気絶させていた。
「すげーーシスターを倒した。」
「シュウーあれが美形のいい使い道ってやつだ、よーーく覚えておけよ、いつか役の立つ。」
「う、うん。」
「おい、こら! 子供に変な知恵与えてんじゃねえ!」
「まったくです!! 僕にこんなことさせて後で覚えておいてくださいよ!」
「いやん、美形どもが怒ったーー助けてーシュウ!」
「.......仲良いよねーーあんたら。」
ちょっとした戯れでシュウが笑っていたのを見てホッと安心した後に孤児院のある宿舎へと入ることにしたのだった。




