5 ココ、身請けされる?
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今回は、ココの“平穏な毎日”が一変する回です。
あの騎士が、まさかの行動に……?
ココの叫びが聞こえてきそうな5話、どうぞ!
神殿の奥庭で、のんびりと満月を見ながらお茶をすする。
今日は何だか慌ただしい一日だったわ。
最近は何処にいても落ち着かず、周りを警戒してしまう。
あの騎士の姿が見えないか、いつも探しているの。
本当に気疲れしちゃう。早く諦めてくれれば良いのに……
そんな事を考えていたせいか、空耳まで聞こえた。
「見習殿。こちらか」
……見習いに”殿”なんて付ける人、ひとりしかいない。
やだやだ、ついに幻聴ってやつかしら……。
思わず頭を振る。
顔を上げれば、背の高い騎士と目が合った。
つ、ついに……幻覚まで……。
まずい、考えすぎね!と、目をギュウッとつむる。
「見習い殿?どうしたかな?」
肩を軽く叩かれて、ハッとした。
えっ!?本当に……現実……?
ここは見習いの部屋がある神殿の奥庭……関係者以外は立ち入り禁止のはずなのに。
「どうやって、ここに?」
「仕事柄」
「……そうですか、私に何か?」
「そろそろ抜け出す頃かと思った。違うかな」
胸の奥が一瞬で冷えた。
げっ、バレてる。
も、もしかして……言いつけに来たの?
「ハハハハハ、ソンナワケガアルハズガナイデスネ」
「口調がこわばっているな」
「ハハハハハ……」
引きつる頬を何とか笑顔に、ってか無理がある。
「あれから、ちょっと調べてみたが。見習殿は、品行方正、目立たずに過ごしている。その魔力も隠されている。違うかな?」
「隠す事などありませんが」
「私には魔力が見える」
「魔力が見える?」
「君の魔力は素晴らしかった。部屋の中に星がきらめくように君の魔力が降っていた。あの神官には見えていないみたいだったが」
「神官様は聖水のおかげだと思っていらっしゃいます」
余計な事は言わないで欲しい。そう願いを込めて騎士を見つめた。
「もちろん誰にも言わない。彼は気が付いていたようだが」
聞き捨てならない。彼とは誰?
「彼?」
「君が助けた人物だ。連れてきて欲しいと言われている」
――え、あの時の重症だった人?
みんな意識なかったはずなのに……。
「騎士様が言わなければ、誰かわからないと思いますが」
ちょっとだけ皮肉を込めて言った。
今まで気付いた人なんていなかったから。
「綺麗な歌声を聞いたそうだ。キラキラとたくさん星が降っていたそうだが」
騎士は、俺は言ってない、と片手を振った。
「それはきっとあの世からの呼びかけです」
「そりゃあいい」
騎士は可笑しそうに笑った。声大きいんですけど!
「誰かに聞かれたらまずいです」
あたりをキョロキョロ見渡すと騎士はポンと私の頭に大きな手を置いた。
「心配はいらない。今日から君はうちに来ることになったから」
「はっ、はい?」
その後、騎士から説明を受けた。な、なんと、私は身請けされたのだった。
え”っ~~~!!!そんな事を考えたこともない。
身請けって聖女様が神殿を出て行くときだけじゃなかったの!
呆然としているとあれよあれよという間にいつの間にか迎えの馬車に乗り、荷物は殆どなかったからお餞別にとオロオロしたクロエがハンカチを1枚くれた。
突然すぎて何が何だかわからなくて何も出来なくてごめんね。
クロエが申し訳なさそうに言う。
もしかしてこれは何かの間違いなんじゃないかと二人して思っていた。
きっと、すぐに戻されるわ。人違いだとか言われてね。
「ク、クロエ……ありがとう」
「ココ、元気でね」
馬車の小さな窓からクロエのくれたハンカチを振った。
馬車が曲がって神殿が見えなくなるまで。
「悲しい時は思いっきり泣くと良い。胸を貸そうか?」
はっ?
……いやいやいや、待って? なにそれ?
も、もしかして……身請けって……そ、そういうの!?
「わ、私はまだ10歳なんです!」
思わずクロエのハンカチをギュッとかみしめた。
まともそうに見えるこの騎士がまさかの少女趣味?
人は見かけによらないと言うけれど……
身の危険を感じて馬車の窓と同化できるくらいにくっついた。
私は壁、私は壁、自分に言い聞かせる。
「勘違いするな。そう言う趣味はない」
「でも、身請けって……違うの?」
「うちで君を保護した。そう思ってくれ」
聞いていないんですけど~~~!!!
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