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聖女という名の魔女達  作者: 星降る夜
第3章 真実のかけら

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21 ココとおまじないの水騒動(馬の水が…え?)


 バルドゥが王都から戻り、屋敷は少しだけ賑やかになった。

 そして私は、いつものように良いことを思いついた!


 バルドゥが王都から帰ってきた。

 その隣には、彼より少し細身の赤い髪の騎士。従兄弟らしいけど……うん、赤鬼兄弟だ。


 私がバルドゥの赤い髪を見つけて近寄ると、バルドゥが、すぐに騎士の礼を取った。

 それを、従兄弟だという騎士が、理解できないものを見るような目で見ている。


 そうだよねこんなみすぼらしい子供に騎士の礼なんておかしいよね。


 バルドゥが従兄弟の頭をバシッと叩いた。


 い、いま、いい音がしたよね?


 …いや……そこで叩くの?


 叩くと何だか私がわるいみたいだよ、バルドゥ君!


 それに、ますます私がうさんくさく見られるような気がするのだけど……


 私が一礼すると、彼はバルドゥに引っ立てられて連れて行かれる。


 まっ、いいか……


 何があったかは知らないけれど、色々難しいお年頃なんでしょう。


 王都から足かけ2日も駆け通しだったお馬さんでもねぎらわなくちゃ。

 以前、お馬さんの水におまじないを掛けてから、私を見るとねだるようになった。


 何を?


 おまじないの水をね!


 きっと今日は疲れているから、奮発してあげるんだ!


 お馬さんの脇で、水を桶に”ちちんぷいぷい”とおまじないを掛けていると、何と間の悪いことに、丁度騎士団から帰ってきた、クロード様と目が合った。


 見られた?……見てない、よね?


 取りあえずニッコリと良い笑顔を作ってみる。クロード様はつかつかとこちらに来ると、お馬さんが飲んでいる水桶を覗いた。


 「ココ、今何かしたか?」


 厳しい声で言われて、何だかもの凄く悪い事が見つかった子供みたいな気持ちになって、頭をブンブン振った。


 「何もしていません」


 すると、クロード様はお馬さんが飲んでいた水桶を取り上げた。


 お馬さんは名残惜しそうに、ブヒィ、ヒーンと抗議の声を上げる。

 お馬さんの水桶取り上げて、可哀想じゃない。心なしか恨めしげにこちらを見てる。


 もう乗せてくれないかもよ!


 私の腕を、むんずっと掴むと片手に水桶を持ったまま引っ張っていく。


 はっ!これは?説教部屋行き……

 (たぶんそうだよね……)

 今日の私は何かしたっけ……?


 つかつかと歩いて行くクロード様の顔色を覗うけど、表情からは感情は読み取れなかった。


 そのまま、私が説教部屋と呼んでいる、ディーン様の執務室に連行された。

 すれ違う騎士や、お屋敷の人が不思議そうに私達を見ていた。


 馬の水桶持ってどうした?みたいな視線がバシバシ飛んでくるんですけど!

 変よね。お屋敷の中に、ディーン様の執務室に馬の水桶なんて。


 ノックもせずにディーン様の執務室に入ると、いきなり、ディーン様の前に馬の水桶を置いた。

 さすがのディーン様も怪訝な顔をしている。


 「クロード、これは?」

 「ココに聞いて下さい」

 「ココ、何かしたのか?」


 私はブンブン頭を振る。悪い事は何もしていません。


 「いいえ」

 「言い方を変えよう。この水に祝福をかけたか?」


 頭を振った。祝福はかけていないから。


 「いいえ、かけてません」

 「では、質問だ。水に何かしたか?」

 「おまじないをちょっと……」

 「おまじない?」


 ディーン様が不思議そうに私を見つめた。


 そうか、この世界は魔力や癒しの力など色々あるけど、ちょっとしたおまじないはないのかしらね?


 私は人差し指を立てると、円をかくようにクルクルっとまわした。

 そして小さな声でつぶやく”ちちんぷいぷい”


 「えっと…これだけです」


 私の話を聞くと、ディーン様は困ったように眉を寄せた。


 それから、ディーン様とクロード様は馬の水桶を覗き込み何やら話し合っていた。


 部屋のドアが激しくノックされ返事も聞かずに、入ってきたのは青鬼さんことローレンツだ。


 「クロード様、取り急ぎご報告があります」

 「何だ」

 「神殿から、聖水の供給がなくなるとの連絡が」


 室内の空気が、すっと張り詰めた。

 神殿からの聖水供給停止——それは、軽い話ではない。


 えっ、馬の水桶持ってる私、完全に場違いじゃない?


 「それだけか」

 「えっ?以上です」

 「何も問題はない。心配は無用だ」

 「しかし……聖水がないと魔の森の遠征が……」


 クロード様とディーン様が顔を見合わせた。クロード様が大きく頷く。


 「ローレンツ。この桶の水を聖水の空き瓶に詰めろ。いいな」

 「は、はい?」


 ローレンツは馬の水桶を見つめる。


 何度も瞬きをしている。どんなに見てもなじみのある馬の水桶。

 馬の飲み水を聖水の瓶に詰めるなんて、詐欺じゃん。ダメだよね。


 「あの~聖水の空き瓶はまずいのでは?」

 私が言うとディーン様が面白そうに口角を上げる。


 「ならば、ココに良い案があるか?」

 「えっと…小さい瓶の方が……」

 

 やっぱり瓶に入れるのかと、ローレンツは頭を抱えた。


 馬の飲み水だろう?ディーン様もクロード様も一体どうしたんだ。と言う心の声が聞こえてきそうだった。

 ローレンツの目が完全に死んでいる。横からちょっと助言をしてあげる。


 「何事も信じる者は救われるのです」


 えへへへ……詐欺師みたいなことを言っちゃった。


 ペロッと舌を出すとディーン様と目が合った。


 まずい?ごめんなさい。


 頭を下げている間にクロード様は水桶をローレンツに持たせて出て行った。


 これから小さい瓶に詰めるんだと思う。


 聖水の瓶はダメだからね!!!


 絶対に、だからね!!!




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