表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

人にはそれぞれの日常がある

人にはそれぞれの日常がある


私は、誰のことも信用していないのかもしれない。

私は、私だけでひとりじゃないから

私は、2人で過ごしてきたから。

手を合わせて、鏡合わせで、2人きりで。

どこかで読んだ「複合個別人格」のように。


『だから、しんじたくなかったのに。』


「宵、出番の初回がその台詞でいいの?」


眠っているというより、中に引きこもってしまった宵はぼんやりと呟く。


『べつに、いい』


至極どうでもよさそうに、それでもたどたどしく吐き捨てる。

そのまま私は流れるような仕草でとあるアプリのサーバーの通話に入る。

宵なら、そんなことはしないんだろうけど。

宵は、人に臆病なのだ。

私は、人がいないと壊れてしまう。


のはずなのに、失踪したあの彼がいないと私は自然体になれない。

見たままそのまま言うのであれば、壁という名の結界が取れないのだ。

誰に対しても。

どんなに近い存在の誰に対しても。

自分の身体に一枚の厚い膜が貼られている感覚が取れなくて、人類全てに対しての興味を数割方削がれている。

ただでさえ興味薄いのに。

なんてことしてくれる。

自分でさえどうにもならない結界なんて本当にどうしようもない。


《俺がいるからもういいだろ、他の奴なんて》


ゆっくり横を見てもう一度正面に向き直る。

そしてアプリの通話をミュートして宵と一言


「いや誰やねん!」

『いや誰やねん!』

追伸


この話単体だけなら、ノンフィクションなんだよね。

本当に叫んだよ。

実家の台所で。

留守番中でよかったわ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ