特命ファイル1;ヘイ⭐︎ボンド参上! 7
「やっちまえぇーー!!!」
「おりゃぁああ!!!!」
手下どもが向かってくる。
10人ぐれえか。
ボカッ!! ボゴッ!!
ドスッ!! ボンッ!!
「うわぁ〜!!」
バッシャーーン!!
ぶん投げたら海に落ちてったぞ。
慌てて他の奴が助けに行く。
「くそっ、強えぞこいつ!!」
そらそうよ。
CGもスタントマンも使ってねえからな。アクションはこうじゃなきゃ。
「ダメだこりゃ」
「かないません……」
あっという間に手下どもを片付けた。弱えな。
ブルドッグさんは必死の形相だ。
「お、おい! こいつがどうなっても良いのか?」
「きゃ、やめて! 助けてぇ〜!!」
おーお、ウサ子を人質にするのか。
悪い奴はなんでもやるな。
準備運動で、オレの体もあったまったぜ。
ああ、いい月夜だ。都会でも月は見えるんだな。
銀座のネオンもない暗めなここじゃ、本当のオレになっちまう。
仕方ねえ。正体を明かそうか。
「な……何だと!」
ドンドン毛むくじゃらにワイルドになっていく。
「……き、きさま人間じゃないな!」
「ああ、そういうことよ」
ひと回りデカくなった上半身は筋肉モリモリ、ボタンがはじけ飛ぶ。
だから嫌なんだよ。高いんだぞ、これ。
「き、きさまは……まさか! い、いや信じられん!!」
「そのまさかよ」
「に、ニホンオオカミ!! 絶滅したはずじゃ!」
「ここにいるじゃねえか」
そう、オレは絶滅したはずのニホンオオカミ獣人。
覚醒遺伝とやらで、月夜になると目覚めるのさ。
「オレの姿を見た以上、お天道様はもう見れねえよ。覚悟しな」
「このやろぉお!!」
ドゴッ!!!
「うわぁ〜〜!!」
ウサ子に何かするより早く、オレは鉄拳を食らわせる。
ガァアアンン!!!
あっという間に吹っ飛び、あいつは倉庫の扉に叩きつけられた。
「ひぃ! た、助けてくれ……」
腰が抜けてションベン漏らしている。中年男がみっともねえ。
一発でお終いか、つまんねえな。
「道を踏み外したからだよ、観念しな」
証拠として恥ずかしい姿を写メに収める。
「や、やめてくれ!」
「諦めな、警察も呼んでるからよ」
「ち、ちくしょぉお!!!」
まだ立ち向かう勇気はあったらしい。そこは褒めてやるよ。
ボコッ!!
「う、う……」
みぞおち一発パンチを浴びせると、悶絶して倒れ込む。
気を失ったらしい。
「ふう、これにて一件落着か」
「あ、ありがとうございました……」
ウサ子がしおらしく礼を言う。
「まあこれから課長にも良くしてやるんだな」
「は、はい。でもあんな課長よりアナタの方が……」
目を潤ませながら迫ってくる。
まいったな、こりゃ。
ピーポーピーポー!!
ウゥウウウ〜〜!!
お、警察がきた。潮時だな。
「あばよ」
オレは書類を受け取り、颯爽と闇の中へ消えた。
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