のぞまぬあめよふるな
初投稿です。錐胡桃です。ゆるーくかきます!
「雫顔を曇らせないでよく見せて」
ああこれは夢だ。お母さんとの最後の夢だ。
「また雨が降ってきてしまうわ…最後に晴れたおひさまのようなお顔を見せて…」
お母さんは私の頭を撫でながらそういう言った。私は覚えてない。この瞬間、私は晴れたのだろうか。それとも雨が降ったのだろうか。確かに覚えてるのは、この小さな病室で私ののおひさまが静かに光を消したことだけだった。
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雨空雫これが私の名前だ。産まれきたときに流した涙を見て美しいと思った両親がなんとも安直につけた名前だ。とてもじゃないが明るい名前とはいえなくても漢字も簡単で、なにより自分の大好きな両親が美しいと思ってつけてくれた名前だ。だからこそ大好きだった。私はこの名前が嫌いだ。理由は簡単。
「おーい雫虫!今日は泣いてないのか?」
私につけられたあだ名だ。泣く=雫を結びつけ泣き虫と入れ替えた小学生6年生にしてはよく考えられたあだ名だ。なぜ私は泣き虫と呼ばれているかというと、
「おい!せいちゃんがせっかくお前なんかに話しかけてくれてるんだら返事しろよ!」
「雫虫ごときがシカトすんじゃねーよっ!」
コツンッ
一人の男子が投げた小石が私にあたった。決して痛くもなければ、怪我もしないくらい小さい小石を軽くというよりも弱くと表現の方が正しくらいで体に当てられた。でも反応してしまった。
(お願い耐えて私、このままじゃまた…)
顔は曇り、雨が降る
「おいでたぞ!雫虫がまた泣き始めた!」
「今の石あったてたか?もう歩くだけでも泣くだろこの泣き虫」
「来年から俺ら中学生だけど雫虫は泣いてばかりだしりゅーねん?だっけしたほうがいいいんじゃね?」
アハハハと笑う男子のことなどどうでもいい。また私は泣いてしまった。そう私も来年には中学生になる。私は泣きたくなんてない。泣きたくて泣いてなんかいない、ましてや嘘泣きやすくで泣いてなんかいない。なんなら泣くなんて、涙なんて大嫌いだ!そんな心の中とは裏腹に頬を伝う雫が私は大嫌いだ。そして私は今日もおもう
あらぬあめよふるな
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