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運も実力のうち!  作者: 沙河泉
一章 第一部
7/25

上官に喧嘩をふっかけちゃぁいけないよねぇ

「お前達ー!上官に向けてのその言動、許せん!軍法に則り処罰する!」


「「はぁぁぁ?」」


「お言葉ですが、大隊長殿。俺等になにか問題でも?ただただ、隊長殿とコミュニケーションを取っていただけですよ?」

「そうですよ!何も悪いことなんざぁしていませんよ?」


おぉ…大隊長殿の影になるように件の揉め事現場に着いて行くと、案の定チンピラみたいな2人は、言い返していた。あぁあ。上官の更に上官にまで楯突いて…。どれだけ処罰されたいんだか。


「あぁん?お前たちの言動なんざ、こっちに丸聞こえなんだよ」


「ハン!だからって証拠はあるんですか?証拠は!」

「そうですよ!証拠を出してくださいよ!なければ言いがかりによる冤罪ですよ?」


「…ッ!」


「ないんですよね?ないんじゃぁ仕方がない!冤罪だ!罪をふっかけられて、俺たちは貶められようとしている!」

「大隊長殿は、もしかして…聖国の間者ですか!?えぇ?」


あぁぁあ…見てられない…。凄いな…。あそこまで煽れるなんて…最早天才だよ。2人共確か、帝都の帝国陸軍軍人養成所時代からの問題児で、法衣貴族の息子たちだったっけか。今まで、親の権力を傘にして好き放題やってきたんだろうけど…そんなものは通用しないのが、軍なんだよね。もちろん、大隊長殿もわかっている筈…。


「…お前達…いいんだな?」


「はぁ?証拠がないのにどうやって処分するんですかぁ?なぁ?」

「そっそうだ!凄んだって証拠がなきゃ俺等はなんともないんだぜ!」


おっ…おぉ…。大隊長殿が本気だ…。ってか、あの2人半ば自白しているようなもんだけど…頭も弱かったのね…。


「おい…。主のことだ。当然、準備はしておったのであろう?」


「「?」」


「はっ…はいぃぃ!録音機器を私の軍服のそこかしこにぃ…。どれ1つとも誤作動はしていないので、あっあのっ…あの2人の言動は…しっ…確りと、録音できていると思われますッ!」


「「!!!」」


「っと言うわけだ。来いっ!2人共!その根性叩き直してくれる!」


「はぁぁ?たかが大隊長クラスがなにを言ってるんですかぁ?」

「そうですよぉ?俺たちの親は、帝都で…宮城で働いているんですから!あんたより偉いんだよ!」


あぁ…。そろそろ出ないとだめかなぁ。じゃないと…。


「お前らのその減らず口「ストップ!」…?」


「何だよ!」

「あぁ!この前のっ!」

「けっ!資料室の穀潰しがなんの用だよ!」


「あはは。大隊長殿。抑えて抑えて。こんなところでムキになっても仕方ないでしょう?」


「すまぬ…」


「あぁ…貴方たちは、僕より年上だったかな?ということは先輩か」


「それがどうしたって言うんだよ」

「なんだよ!突然出てきて!引っ込んでろよ!」


「いやぁ…そういうわけにもいかなくて。先輩?たちの認識にちょっとした間違いがあって。それの訂正?というか、現実を見てね?って感じ?」


「「はぁぁ?舐めてんのか?」」


「ん?舐めてないよ?美味しくなさそうだし…」


「そういう意味じゃねぇ!」

「頭湧いてんのか?」


「頭沸いてるのは、お前た「どうどう!」むぅ…」


「先輩方…向かって右の先輩に質問です。ここは、どこですか?」


「あぁん?舐めてん「美味しくないので舐めません!」ッちっ…帝都西方部、聖国との紛争地を抱える帝都の辺境だよ!それがなんだってんだよ」


「おぉー!正解です。では、向かって左の先輩に質問です。帝国法に置いて、三方の辺境…南は港町なので除かれていますが、辺境伯の持つ権力とは?」


「平時は内政に身命を賭し、帝国の発展に寄与すべし。戦時においては、独自の采配権を有し、勅命を除き、現地での裁可を是とし、その存在は準皇帝とする」


「おぉ!正解です!」


「だからなんだってんだよ?」

「何が問題なんだよ!」


「はぁ…まだわかりませんか?現在、我々が立っているこの場所は、西の辺境であり、聖国との小競り合い…即ち戦時体制となっている。ということは、辺境伯軍というものは、準皇帝軍という位置づけと言うことになり、帝都の法衣貴族の戯言なんかは届かないんですよ。しかも、先輩たちは上官と更にその上の上官に楯突いた。それに、音声を録音されているという証拠まで揃っている。しかも、今回のこの揉め事で、進発まで遅れている。さぁ…軍法会議で処罰されるのは誰でしょう?上官への不敬と軍全体の遅延損害。先輩たち…もうわかりましたよね?いかに重大な問題を引き起こしたのかを」


「「ひっ…ひぃぃぃ…」」


「…というわけだ。お前達…覚悟…できているんだろうな?」


「あっ!大隊長殿!ちょっと待ってね?」


「ん?」


「すみませぇーん」


「?あぁ!マートですか。この隊だけ進発が遅れていたので、心配して見に来たのですが…。どうやら訳アリのようですね」


「「「「「副将閣下!」」」」」


「うん。実はね…」


斯々然々喧々囂々 〜説明中〜


「なるほど。わかりました。では、この2人は私の方で引き取ります。マート。隊が3人になってしまいますが…」


「ん?あぁ!勿論、大隊長殿も一緒に来てくださいますよね?」


「ん?うっうむ!他の隊は頻発してしまったからな」


「よかったぁ…。断られたらどうしようかと、内心ヒヤヒヤしましたよ!っというわけで…」


「わかりました。こちらで書類の方は書き換えておきます。では、道中気をつけて」


「「「ハッ!」」」

「はぁい!」


「ふふ。そう。そこの2人!」


「「ハッ!はいぃぃ!」」


「…着いてきなさい」


あぁぁ。あの2人はもう軍務にもつけないし、多分…居なかったことにされるんだろうなぁ…。まっ!僕には関係のないことだけどね!でも…本当に【運】がいいなぁ!大隊長殿まで着いてきてくれるなんてさ!

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