僕と大隊長と輜重部隊の隊長と
と、言うわけで翌日!昨日の夜?うん。将軍と普通にご飯食べて、お風呂入って、寝たよ?お風呂は良いよなぁ〜。
「おはようございまぁす。マートでーす」
「おぉ。おはようマート。主は5番隊で、荷駄は2台だ。頼むぞ」
「はぁい!って…僕は一般兵ですから。頼むのは、この隊の隊長にしてくださいよぉ。大隊長殿」
「いやぁ…スマン。しかし…主が所属する隊の隊長は…」
「んー?」
眼の前にいるのは、辺境伯領軍でも指折りの功績を持つ大隊長殿だ。なんでも、各地を転々としていた傭兵団の団長だったらしく、何度か将軍とも組んだ事があった縁で、スカウトされた経歴の持ち主だ。身長は180cmで、鍛え抜かれた鋼の肉体が見て取れる。彼自身、そんなに鍛えてはいないと言っているけど、鍛え方が普通じゃないんだよね…。今は、鎧ではなく平時軍服なので、余計に筋肉が目立つ…服がパツパツなんだよぉ…。そんな彼の目線の先にいたのが、今回僕が所属する輜重隊の隊長殿だ…。あっ…なんだろう…。頼りたいっていうよりかは、護りたいって思っちゃう部類の人だ…。
「あっ…あのぉ…。みっみなさんっ!よっよっ…よろしく…お願い…しますね…?」
「隊長ー。自身持ってくださいよぉ」
「そうですよ!俺等の命は、あなたに預けるんですから、もっとシャンとしてもらわないとぉ」
「そうですよぉ!」
「でっ…ですからぁ…」
「たいちょぉ!声が小さくて聞こえなーい」
「「あはははー!」」
「ひーん…」
ありゃ…ちょっと…というか、かなり前途多難な感じ?
「先程からあのような掛け合いが続いておるのだ。止めさせようにも、彼女本人が止めなければ、余計に舐められる。かと言って、あれでは他の隊の士気に影響がでる…」
「たしか…彼女って…。ん?大隊長殿。あれを」
「ん?」
1人の小柄な女性が、困りまくっている隊長殿に近づいていく。あの人は確か…。
「ちょっと貴方達!」
「あぁん?」
「なんだよ?」
「大の男3人が、1人の女性を囲って、弄って…恥ずかしくないの?バッカみたい!」
「はぁぁぁ!?俺たちは、隊長殿と円滑なコミュニケーションを取ってただけですぅ!なぁ?」
「そーだぞ!俺たちが、隊長殿の緊張を解そうとしてんのにさぁ。お前こそ何だよ藪から棒に!文句あんのかよ!俺たちの華麗なコミュニケーション術に」
「文句?大アリよ!男が女性に対して、寄ってたかって。いい?この方は隊長なの!貴方達よりも、私なんかよりも階級が上なの!偉いのよ?上官なの!それなのにそんな口の聞き方。明らかに困っているのに、さらに弄んだ口の聞き方…。陰湿すぎるわ!それにね―――――」
彼女は確か、昨日どうしょうもないあの隊長殿に無理難題を突きつけられていた女性だ。なんだ…同じ隊に所属するんだ…。
「おっと。レイルのお出ましか。なら大丈夫か。主もいるし、レイルもいるなら安心だな」
「彼女…レイルって名前だったんですね」
「なんだ?知らんのか?」
「うん。僕はもっぱら資料室に閉じこもってるからね…。でも…確か、入隊名簿にあった気が…。それと、女隊長殿は…気は弱いですが、確か狙撃と魔法の扱いが辺境軍一だった気が…」
「おぉ。さすがはマート。そう。彼女が齢23で隊長になったのは、その腕を見込まれてだ。未だ訓練で彼女が体験入隊時。齢15で打ち立てた記録は抜かされてはおらなんだ」
「ほえぇ…」
「しかしなぁ…」
「あの自信のなさが、ネックである…と」
「そう…なのだよ…」
だよねぇ…。って。今回が初陣なのかぁ…。だとしたら、あの自信のなさは少しわかるけど…。あの男性が言ってた通り、命を預けなきゃいけない。命を預からなければならない立場だから、もっとシャンとしてほしいという気持ちはわかる。わざと怒らせようとしているのも、なんとなく読み取れるけど、あのやり方は間違ってるし、僕も不愉快。そろそろ止めに…ん?
「さっきからゴチャゴチャゴチャゴチャうるせぇんだよっ!」
「キャッ…」
「あぁ…!見ちゃおれん!貴様らー!!!」
おっと…僕が行く前に大隊長がでたよ。まぁ、僕が行っても火に油を注ぐか、意味のないことになるかしかないから。案外これはこれで、場の【運】が良かったのかもしれないなぁ。なんて…僕も男としてどうなんだろう…。