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運も実力のうち!  作者: 沙河泉
一章 第二部

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列車の中で

 辺境を走るこの魔導列車は、15分間隔で運行されている。帝都には防衛の観点から直接乗り入れていないらしい。線路の規格もわざと変えているとのことだ。確かに、敵に奪われてしまったら帝都までフリーパスになるもんな。

 

 だからこそ、西方鉄道の終点である辺境伯領都は物資や人の集積点となり栄えているのだけれど。関塞に行くこの列車は、軍人専用。運行管理から保守点検まで全てを辺境伯軍が担っている。ただし、運用費に関しては、大隊長が言っていた通り半官半民。なんせ、防衛の要だし、大量に物資が購入されて前線まで送り届ける機能も持ち合わせているもんだから、投資にも最適。前線が安定若しくは前方に進む、国境が画定し侵攻の恐れがなくなった場合は、民間に払い下げられる予定でもあるから、商人は経営権を巡って多額の投資をするんだ。


 鉄道が民間に払い下げられるということは、関塞が軍人だけのものではなく、防衛拠点も兼ねた城塞都市になることを意味する。新興都市は最初に良い立地に店を構えたい。物流の拠点となりえる場所に土地を持ちたいと考えるのは自然なことだろう。だからこそ、商人はこの鉄道にこぞって投資している。まぁ、将軍はお金の過多で場所を決める人ではないし、甘い汁を吸っているであろう商人から金を巻き上げるためにも機能している側面がこの鉄道にはあるのだけど・・・。


 しかし、このお弁当は美味しいな。


(ぬし)もようやく駅弁に舌鼓か。旨いだろう?」


「うん。これは、冷めても美味しい。すごいね」


「うむ!最近、軍部でも評判なのだ。30分ごとに店に補充されるらしく、列車の時刻に合わないときもあるとのことだ。今回は実に運がいい。これを食べたのは実は2回目なのだ」


「・・・そんなに貴重なんだ」


 たった1時間の旅路。それでも大隊長が言う通り、こんなに美味しい駅弁はまずお目にかかれないだろう。あぁ本当に運がいいなぁ。

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