おつかい ②
「さて・・・と。おつかいを頼まれてしまったわけだけれど・・・。まずは、関塞に入るための命令書をもらいに行かないと」
そう。自分自身は辺境伯の養子というかなんというか微妙な扱いの位置にいて、自分の立場を知っている人はあまり多くないんだよね。何も知らないで絡んでくるのは、ヒョロガリ隊長のほかにもいるんだけど・・・。まぁ、事務方にも知り合いはいるし『将軍からおつかいの話をもらった』って言えば通るからいいんだけど。問題は・・・。
「おっ?なんでこんなところに『資料室の穀潰し』クンがいるのかなぁ?」
「資料室で紙でも齧って寝てりゃぁいいのにな」
「だな!」
「はぁ・・・。僕だって辺境伯軍所属の兵士だよ。官署にきてるくらい何ら不思議でもないでしょうに」
「ああぁん?なに安全な領都で紙齧っているヤツが偉そうに!」
「口答えしてんじゃねぇよ!」
「まったく。僕に絡んでる暇があったら、さっさと仕事場か訓練に戻りなよ」
「俺たちは今の今まで、西方関塞に行ってたんだよ!お前と違って、確りこの身体を動かして働いてきたんだ!業務報告に来たんだよ!」
「(そういうところは真面目にやるんだ。でも・・・)わかったわかった。早く報告に行きなよ」
「いわれなくっても――――!」
おっと。ノールックで拳が飛んできたよ。それに、背後からも・・・。
「———ッてえぇぇぇ!!」
おあいにく様。後ろからの攻撃には高硬度の魔力障壁を張っていたからね。手の骨が折れていないといいねぇ。なんてね。
「お前たち!何をしているのであるか!」
おっと。大隊長殿だ!これは助かった。やっぱり【運がいい】ね。
「おっおい!早くいくぞ!」
「いてぇ・・・。いてぇよぅ」
「わかったから!報告が終わったら、医務室に連れて行ってやるから!」
ありゃ。あれは折れてるな。すれ違いざまに舌打ちされたけど、いい気味だよ。後ろからも襲ってくるなんて。しかも、ココ官署だよ?たくさんの人の目があるのに、よく難癖付けに来たよね。その胆力には素直に称賛をおくるよ。
「主。一体何があったのであるか?」
「いやぁ。いつものこと。絡まれただけだよ。それにしても、なんで大隊長が?」
「ん?ドルツ副将からここに来るようにとの命を受けたのである。そうしたら主にあったのだ」
「なるほど」
「それに、これを預かってきた」
大隊長殿から手渡されたのは、将軍からの指令書と謝罪文だ。どうやら、副将殿が書かせたようで、ところどころに文字の滲みが・・・。これは、絞られたな。
「ありがとう大隊長。これがあれば、スムーズに事が運ぶよ!通行許可と入城証をすんなり受け取れる。もしかして、これを渡しに来てくれたの?」
「うむ。それもあるが、主に着いていくようにとも仰せつかってはいるのだが・・・。どこかに行くのであるか?」
「うん。西の関塞に行くおつかいを頼まれているんだ。そういうことなら一緒に行こう!」
「心得た」
やった!一人で行くより退屈しない!大隊長から受け取った指令書で、手続きもスムーズに終わったことだし、さっそく出発しよう!




