穴に降りて
「ふんふん…おっとっと…おっ?結構深い…」
僕は今、食堂にできた陥穽の中に入っていってる。梯子は長さが足りないようで却下。というか下でバラバラになっているだろう…。っというか、敵兵は…あっ。穴の壁面が穿たれているから、手足で登ってきたのか…。降りるときは…。なんて考えながら飛翔魔法で降りる僕も大概だけど。
「着いた!っとと。あっ!梯子!」
降り立った地面は、不自然なくらい弾性があり、梯子も原型をとどめているほど柔らかい。トランポリンと言えばわかるだろうか?ということは、砦から撤退した敵兵は穴から飛び降りて…。
うわぁ…。命綱無しのダイブ…怖ぁ。多分時限式の魔法だから、撤退時はもっと柔らかかったんだろうなぁ…。
「この先は…ふむふむ。大の大人が4人並んで通れる広さ。僕の身長が160㎝そこそこだから、穴の高さは180㎝位か。いきなり四人組が…いや。陥穽はもっと広いから、10人位が一斉に地下から現れたら混乱もするか…」
なんて考えながら穴の先を進んでいく。ここから壁の色が違う…。砦より西は、砂地だからか?法面が固められている…。土魔法の応用かな?
「こういう魔法の使い方もあるんだなぁ…。それにしても…」
本当に人が通ってきたの?というくらい整然とした足跡が並んでいる。普通であれば、歩幅の違いや体重による足跡の深さに差が出るのだが…。すべてが均一…。
「これは、やっぱりそういうことなのかなぁ…。でも、此方の軍の関係者の姿が見えないってことは…」
なんとなく自分の考えが当たってきている気がする。非人道的なこと…なんだろうなぁ…。でも、一番禁忌としているであろう聖国でそんなことをしているなんて…。
暗い気持ちとは裏腹に、竪穴の中は明るい。光源は、ヒカリゴケの一種か。穴の先は敵陣に続いている。このまま進むべきか、それとも戻るべきか…。




