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運も実力のうち!  作者: 沙河泉
一章 第一部
16/25

楼台の上で

楼台を登っていく。階段の踊り場にはすでに事切れた帝国兵たちがいた…。


「彼らは、この砦の守備隊であるな。胸元についている徽章がそれを表しているのである。しかし…」


「殆どが真正面を切られている…。うぅん…。弔いよりも先に、上を目指さないと」


「であるな」


僕達は、少し速度を上げて楼台の頂上を目指した。そして、目にしたものは…。


「むっ!?おいっ!無事であるか!?」


「おっ…あぁ…大隊長閣下じゃ…ねぇですか…」


「うむ!うむ!傷に障る!声をかけたが、少し口を閉じよ。主よ…頼めるか?」


「うん。ヒール…」


「あぁ…。御大将の息子さんでしたか。これは…失礼…」


「どうして僕のことを?っとその前に…。一体何があったの?」


「まずは…挨拶を…。この砦の副将を任されてやした…っつつっ…」


「挨拶はいいよ。傷に障るから、内容だけを完結に。他の人の様子を見なきゃだし…」


「すいやせん…。他の…というと、息のあるやつがいるんですね。そりゃぁ良かった。なんせ…敵さんは、下から登ってきやがりましたから…。砦将が、休憩を取るようにと言い、皆を下に降ろし始めました。あっしは…門に取り付いた敵さんの…攻め方が怪しく…暫くは何人かの部下と…見張っていたんですよ…」


「攻め方が…怪しい?」


「ええ。敵さんたち…攻城兵器…破城槌と少数の兵で攻めてきたんですわ…」


「ふむ…。あとに続く部隊はいたのであるか?」


「そこに…警戒するために…遠見をしていたんですがね…。砂埃がひどくて…いつつっ…」


「…今は晴れているけれど…。向こうに陣の欠片も見えないな…」


「そう…ですかぃ…。やはり…。攻城戦は、守備側の倍の兵を用意するが…常策。ですが…攻めてきた兵は、攻城塔はおろか、梯子さえ持ってきていない有り様で…怪しさ満点…でしたが…。そこを…あの大馬鹿者は疑わずに、兵を食堂に集め…クッ…」


「ふむ…続けてくれまいか?」


「失礼…しやした…。あっしも…急いで登ってきた…部下からの…伝聞ですが…。食堂の床が突如陥没…。穴に落ちた兵が多数。そこから、敵さんが蟻のようにワラワラと…。知らせに来た部下は…たまたま最後に中には入ろうとして…その騒ぎを聞きつけ…あっしに知らせてくれやした…」


「砦将はどうしたの?」


「…降りやがりました…」


「なんと!それは真であるか!?」


「ええ…。丸腰の味方が次々と討たれていく。その光景に怖気づき…。その後にここまで知らせに来た満身創痍の魔法兵長が…知らせてくれました…」


「その兵長さんは?」


「あそこ…入口近くの敵さんの骸の上に…」


副将さんが指差す方向に目を向けると、数人の黒い骸の上にもたれかかる形で俯く人物がいた。僕は、大隊長に副賞さんを頼み、駆け寄ってみるが…。既に事切れていた。


「どう…であったか…」


「だめ…だった…」


「そうか…」


「一応…彼の想いは引き取ってきたよ。それで…副将さん。そのあとは?」


「はは…。ここに残って降りることはできず…登ってくる敵さんを斬り伏せておりやした…」


「階段には、敵の骸はなかったけど…」


「ええ…。敵さん…殆どが…切ると、霧散してしまう幻影の兵でいやがり…こっちは消耗戦を強いられた…ってやつでさぁ…。ただ、魔法で攻撃すると…実体が残ったみたいで…あいつのところだけ…敵さんの骸があるんでさぁ」


「そう…であるか。だとしても…ここから降りたとしても、助かる可能性は皆無だったのである…」


「それは…一体…」


僕たちは、楼台を登ってきた時の様子を副将さんに伝えた。彼は最初、ひどく狼狽していたけれど、ここに残っていてくれて良かったと伝えると、安堵した表情に変わった。


「敵さん…そんなことまで…。無音結界とは…」


「当然、物資の援軍なぞは知らぬわけだな」


「ええ。輜重隊が到着したことすら知りやせん…彼らは?」


「影も形もない…。生きている人の反応はないから、奇襲を受けたか、対応できずに投降したか…」


「そう…ですか…」


その一言を発して、副将さんは疲れていたからか、眠りに落ちた。僕はまた、大隊長に副将さんを頼み、生存反応を示している5人にヒールをかけた。勿論、敵ではないことを確認して…ね。


「大変なことに…なった…」


「うむ…。至急、将軍にお知らせせねば…」


「だね」


僕は、幻影の伝言鳩にこの現場の惨状を吹き込み、将軍のもとに急行させた。


「とりあえず…下に降りて、スノウさんとレイルさんに合流しよう」


「うむ。彼らを運ぶのは任せるのだ」


「うん」


こうして僕たちは、楼台を降り、彼女たちが待っている門へと急いで戻った…。

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