スノウ隊の小休止
空に陽が昇り、辺りを燦々と照らす頃。マートたちは、特に問題に巻き込まれぬまま小休止を取っていた。
「あと…5km程ですかねぇ?」
「うむ!主は本当に正確だな。この位置であれば、その距離は正しい。スノウの魔法を使えば、小一時間でつくであろう」
「ですねぇ〜!」
「しかし…主の敬語は背中が痒くなるなぁ」
「あははは…」
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時は少しだけ遡り…。
「アンタさぁ…」
「ん?どうしたのレイルさん」
「何で、大隊長閣下にも、隊長にも敬語抜きで話してるの?上官でしょ?不敬よ!」
「えぇー…だってさぁ…。これが僕だし。今更変える必要もないでしょ?2人が良いって言ってくれてるんだから」
「2人は良くても、アタシは…ってより、軍として赦せない!アタシの目の黒いうちは、2人に対して敬語を使うこと!いいわね!」
「えぇーーー。今更ーーー?」
「イ・イ・ワ・ネ?」
「ハイ…」
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「って言われたらさぁ…」
「はっはっは!怖いものなしに見える主でも、恐れる事があるのだな!愉快愉快!」
「そんな、笑うこともないでしょうにぃ」
道中僕は、2人に砕けた態度で接していたんだけど、それをよく思わないレイルさんに注意され、今に至る。なんかあの凄み…誰かに似てて断り辛いんだよねぇ…一体誰なんだろう…。まっいっか。それよりも…。
「スノウ隊長。お体の加減は?」
「はっ…はひぃ…レイルさん…ご心配ありがとう…ございます…」
「一般兵に敬語なんて遣わないでくださいッ!だから甜めれてしまうんですよ。もっとシャンとしてくださいっ!」
「はひぃ〜」
スノウ隊長は、魔法の扱いはとても上手で、ここまで荷を曵いているのに、馬を疲れさせることなく全力疾走させることができた。彼女の加速と治癒の魔法は素晴らしい!だけど…ご覧の有り様。魔力量が少ないみたいで、1時間走ったら、30分の小休止を挟まなきゃいけないんだ。僕?そうだねぇ…僕がやったら…なぁんて!目立つことは極力しないのさぁ!
「ねぇ!アンタ!」
「ん?」
「スノウ隊長から聞いたわよ!」
「なにがー?」
「魔法の扱いが隊長よりも巧いって!隊長だけに頼らないで、アンタも使いなさいよっ!」
「えぇー!僕ぅ!?ダメダメっ!僕がやったら、隊長以上にこまめに休まないと…魔力量少ないんだから…」
「…だらしない…もういいっ!」
レイルさんはそう言って、踵を返して隊長のもとへと戻った。
はぁ…もぅ!背を向けたと同時に、スノウ隊長に『なんで言ったんだぁ!』と訴える念話を投げかけると、『スミマセン!スミマセン!しつこくて…口を滑らせてしまいましたぁ』と返答が。確かに、集中してる中で話しかけられたらたまらない…か。戻ったら、何かしらテコ入れが必要かなぁ…。
「スノウ。いけるか?」
「はひ!大隊長閣下!」
「うむ!では、出発!」
そうこうしているうちに、スノウ隊長は、魔力を落ち着かせ、馬に魔法をかけ直し、目的の砦へと出発した。
◉
この時はまだ、砦での様子など知る由もなかった…。




