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運も実力のうち!  作者: 沙河泉
一章 第一部
11/25

スノウ隊の小休止

空に陽が昇り、辺りを燦々と照らす頃。マートたちは、特に問題に巻き込まれぬまま小休止を取っていた。


「あと…5km程ですかねぇ?」


「うむ!主は本当に正確だな。この位置であれば、その距離は正しい。スノウの魔法を使えば、小一時間でつくであろう」


「ですねぇ〜!」


「しかし…主の敬語は背中が痒くなるなぁ」


「あははは…」



時は少しだけ遡り…。


「アンタさぁ…」


「ん?どうしたのレイルさん」


「何で、大隊長閣下にも、隊長にも敬語抜きで話してるの?上官でしょ?不敬よ!」


「えぇー…だってさぁ…。これが僕だし。今更変える必要もないでしょ?2人が良いって言ってくれてるんだから」


「2人は良くても、アタシは…ってより、軍として赦せない!アタシの目の黒いうちは、2人に対して敬語を使うこと!いいわね!」


「えぇーーー。今更ーーー?」


「イ・イ・ワ・ネ?」


「ハイ…」



「って言われたらさぁ…」


「はっはっは!怖いものなしに見える主でも、恐れる事があるのだな!愉快愉快!」


「そんな、笑うこともないでしょうにぃ」


道中僕は、2人に砕けた態度で接していたんだけど、それをよく思わないレイルさんに注意され、今に至る。なんかあの凄み…誰かに似てて断り辛いんだよねぇ…一体誰なんだろう…。まっいっか。それよりも…。


「スノウ隊長。お体の加減は?」


「はっ…はひぃ…レイルさん…ご心配ありがとう…ございます…」


「一般兵に敬語なんて遣わないでくださいッ!だから甜めれてしまうんですよ。もっとシャンとしてくださいっ!」


「はひぃ〜」


スノウ隊長は、魔法の扱いはとても上手で、ここまで荷を曵いているのに、馬を疲れさせることなく全力疾走させることができた。彼女の加速と治癒の魔法は素晴らしい!だけど…ご覧の有り様。魔力量が少ないみたいで、1時間走ったら、30分の小休止を挟まなきゃいけないんだ。僕?そうだねぇ…僕がやったら…なぁんて!目立つことは極力しないのさぁ!


「ねぇ!アンタ!」


「ん?」


「スノウ隊長から聞いたわよ!」


「なにがー?」


「魔法の扱いが隊長よりも巧いって!隊長だけに頼らないで、アンタも使いなさいよっ!」


「えぇー!僕ぅ!?ダメダメっ!僕がやったら、隊長以上にこまめに休まないと…魔力量少ないんだから…」


「…だらしない…もういいっ!」


レイルさんはそう言って、踵を返して隊長のもとへと戻った。

はぁ…もぅ!背を向けたと同時に、スノウ隊長に『なんで言ったんだぁ!』と訴える念話を投げかけると、『スミマセン!スミマセン!しつこくて…口を滑らせてしまいましたぁ』と返答が。確かに、集中してる中で話しかけられたらたまらない…か。戻ったら、何かしらテコ入れが必要かなぁ…。


「スノウ。いけるか?」


「はひ!大隊長閣下!」


「うむ!では、出発!」


そうこうしているうちに、スノウ隊長は、魔力を落ち着かせ、馬に魔法をかけ直し、目的の砦へと出発した。



この時はまだ、砦での様子など知る由もなかった…。

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