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第六話 事件後

 第六話です。


 えぇ、何気にかつて書いた刑事小説「桜の復讐鬼」のキャラクターである、神田と武田のコンビも出てきます。


 かつて書いた「桜の復讐鬼」も便乗商法で売りつけるのです。


 まとめて、ご拝読をお願い致しします!




(若、アルバイトは成功しました)


 宮崎の声が耳のインカムに聞こえる。


「すまない、ベイカーへの襲撃を許した。俺のミスだ」


(ですが、依頼主が文句を言っても、アールレイズの社員データを全て提出させています。果たして、ヤクザに殺しの依頼をして、ここまで手足を縛られていてクレームを言うことが出来ますかね? 社会的信用第一の会社なのに?)


「その為に全社員のデータを提出させたのか? てっきり、社員の中にベイカーを売った奴がいるのかと思ったが?」


(はったりですよ。形はどうあれ、依頼を完遂しても文句言われないように弱みを握ったわけです。連中も警戒心が強い割には急いでいただけあって、冷静さを欠いていた。詐欺に引っかかる人間の心理として普遍的です)


 宮崎とインカムで会話しながら、ホンダNTT1100で四谷三丁目から泉岳寺までを走り、中継地点である、品川コンテナ埠頭へと向かう。


 気が付けば、そこには埠頭があった。


 そして、指定された場所には運送会社を装ったトラックがトレーラーを開けて、待っていた。


 結鶴はトラックの近くにバイクをそのまま止めた。


「相変わらず、乱暴なバイクの運転ですね?」


「血は付いていないか?」


「全くもってですね。大雨が降っていたのも幸いでしたね?」


「着替えていいか?」


「ご自由に」


 結鶴はバンへと乗り込んだ後に、ライダースーツを脱ぎ、下着姿になると、すぐにパンツとTシャツを脱ぎ捨て、替えの下着を着て、私服へと着替えた.


「早速で、申し訳ありませんが、会長が会いたいとの事です」


「名古屋まで行かないといけないのか?」


 会長である、藤宮勇作は関西の指定暴力団である黒陽会において、名古屋の直系二次団体から黒陽会の会長にまで上り詰めた、異質の人物ではあるが、その本流から外れたルート故に黒陽会の分派が誕生して、日本全国で抗争事件が相次いでいるのだ。


 そんな中で自分に合う暇など無いはずだが?


「いえ、東京に来るそうです」


「そんな時間ないだろう?」


「時間を付けて、若と会いたいのでしょう? ただ、面倒なことがあります」


「大体は分かる」


「藤宮佑介も同行するそうです」


 藤宮佑介。


 藤宮勇作の正妻の息子にして、京都大学法学部の三年で、将来は黒陽会の顧問弁護士になることが確実視されている、黒陽会の希望。


 正妻の息子というだけで、妾の子である、自分を常に見下すどころか、最近は敵視を始めた、気の小さい男だ。


「会長となら、まだしも、最低だな? 将来の顧問弁護士まで来るなんて?」


「新宿のホテルで待ち合わせるという事です。黒陽会の直参(直系組長とも言う。この場合は一次団体本家の舎弟、若衆を指す。いずれも自分の組に戻ると、直系二次団体の組長である)の真木社長や我々も護衛に駆り出されるので、ご安心を」


「俺はその厳重警備の中で会長といけ好かない、眼鏡と茶を飲めと?」


「ちなみに大学の講義日程は確認しているので、終わり次第、合流しろとの事です」


 会長は抜け目ないな?


 そう思った、結鶴は「バイクはあのままで良いのか? 毎度の事だが?」とだけ言った。


「構いません。彼らは優秀な整備士で血の洗浄も行います。むしろ、若が触ると、全てが台無しです」


「そうか。シャワーを浴びたいんだが、事務所へ戻るか?」


「セーフハウスを用意しています。そこで」


 そう言った後に大園の運転で、車は動いた。


「会長は俺に何をさせたいんだ?」


「実務的な講義ですよ。あなたこそ我々の希望の星だ」


 そう宮崎は言うが、何一つ、面白みを感じないというのが素直な心境だ。


「金は下りるんだろうな?」


「えぇ、真木社長が今、働きに応じて、計算をしているところです。結構な額は下ると思いますよ」


 と言っても、自分に入るのは三人殺して、人一人の命が四〇〇万円だと見積もったら、一二〇〇万円が入るのが普通の計算だが、自分に入るのは真木の手心を加えて、五〇〇万円ちょっとで、後は全て、真木の手元に入る。


 人を殺すというリスクある、仕事をした上ではあまりにも安すぎる金額だ。


「ぼったくりだ」


「それは本人に言ってください」


 宮崎がそう言うと、大園は「ひっひっひっ」と笑う。


 結鶴はそれに微笑で答えるしかなかった。


 外では大雨が続いていた。


10


 警視庁新宿署刑事課強行犯の神田令巡査部長は新宿区内のコンビニ近くの路地裏で、殺人事件が起きたと聞いて、現場に臨場した。


「遅いですよ。神田部長」


 目の前には寺岡明巡査長が機捜(機動捜査隊の略)から話を聞いて、メモを取っていた。


「ガイシャ(被害者の隠語)は?」


「現在、PC(パトカーの意)で聴取中です。ガイシャはカワジリフミヤ、川の字と尻の字に文学の文に卓也の也で、もう一人がタシロレオ、田んぼの田に代わりの代にレイリの怜にオスの雄、さらにもう一人がーー」


「ちょっと待て、三人殺されたのか?」


「えぇ、三人目がモトムラケンタで、ホンの本に村の字で健康の健に太いの太いです」


「・・・・・・シリアルキラーにも程があるな? マルモク(目撃者の隠語)は?」


「ベイカー・リンとアカギハルトです。ベイカーはカタカナでリンは鈴の字です。アカギの字は赤い木、晴れるハル、トの字は北斗のトです」


 サッカンは国語が出来ないと、出来ない職業なのが悩ましい。


 武田のガイシャとマルモクの名前に対する漢字解説に辟易しながらも「どういう経緯?」とだけ聞いた。


「かなり、複雑ですね?」


「強姦か?」


「鋭いですね。ただし、供述によると謎の黒づくめのライダースーツを来た男が来て、拳銃で三人を撃ったと。そして、ベイカー曰く、赤木晴斗はもともと、犯行メンバーと仲間だったが、強姦する際に罪悪感に駆られて、反旗を翻した。そして、ガイシャにリンチを受けていたそうです」


 荒んでいて、尚且つ、複雑な事件だ。


 どんな奴かは知らないし、極刑は免れないが、今回ばかりはこの殺人鬼を全面支持したいような内容の事件であることは確かだ。


「凶器は拳銃だよな?」


「鑑識が今、作業しています。拳銃という殺害方法の時点で、マルBが関与しているかと?」


 銃刀法の整った日本で、銃殺となると、反社会勢力の関与は間違いない。


 となると、ガイシャは・・・・・・


「ガイシャの素性は?」


「政治家の息子や官僚の息子ですね。家族を殺すなんて、惨いやり方です」


 次はマルモクだな?


「マルモクの素性」


「赤木に関してはガイシャと同様。ただ、ベイカーに関してはかなり、面倒くさいです」


 寺岡が目配せをする。


 部下や後輩としては心強いが、生真面目過ぎるのが警察官には向いていないボンボンなんだよな?


 現与党第一党の自明党幹事長を父に持ちながら、ノンキャリアの警察官になった変わり種。


 年中本部を通して、明の兄から、父の秘書になるように催促されるが、本人は刑事としてのキャリアを築くことしか考えていない、警視庁の困り者だからな?


「芸能人ですね。アールレイズっていう大手の事務所だそうです」


「大手だな? ただ、半グレと裏で繋がっているのは聞いている」


「ビンゴですね。それ関連で調べます?」


 本部の中嶋主任が来る前にシラベが片付きそうだな?


 問題は自分たちで落とせるかどうかだが?


「神田部長、明。運が良いと思ったら、大変なことが起きたよ」


 地域課の松下巡査部長が失笑を浮かべながら、やって来た。


「松下さんのそのにやけ面からすると、本当に運が悪い事が起きたそうですね?」


「ベイカーっていう、お嬢ちゃんの所属する事務所が弁護士を寄こしてきた。そこにいるよ」


「最悪、貧乏くじ」


 神田は雨の中で傘を刺す、四〇代ぐらいの女弁護士に相対す。


「木野法律事務所の竹田と申します。ベイカー・鈴の聴取に同行させていただきたいのですが?」


 口喧嘩は強そうなタイプだな?


 無理もないか?


 弁護士だからな?


「何か、不都合な点でも?」


「彼女はアールレイズの資産です。輩が襲撃して傷が付いても問題ですが、目の前で殺人が起きるという、メンタル面のケアを最優先に考えると同時に警察による、セカンドレイプが行われないかを依頼主のアールレイズは懸念しています」


「確かに男所帯の警察はやりかねませんが、それは私の一任では決められないので、担当の者が来るまで・・・・・・車の中で待ちます?」


 そう言うと、竹田は「結構です。このままで」とだけ言った。


「雨の中ですが、ご協力をお願い致します」


 神田がそう言うと、明は「神田部長、皮肉ですよ。それ?」とだけ言った。


「そんなことはとにかく、その子はそんなに重宝されるぐらいに凄いのか?」


「僕、芸能界に疎いんで、分からないんですけど? ミーハーな松下部長ならばわかるんじゃないですか?」


「松下さん。マルモクって、有名なんすか?」


「特撮のドラマに高校時代に出て以来は仕事が無いそうですがね? 青川学院大学に通っている才女らしくて、見た目は気が強そうですよ。ただ、結構、体触られたらしいから、今、ショック受けて、何も話しをしないそうですね」


 どっち道、女の捜査官がいないと、進まないか?


「中嶋主任と女のサッカンが来るまでは動けないよ。三流の更迭される、デカはここで焦って、セカンドレイプを起こして、更迭物」


「賢明ですね? ですが、聴取は取らないとーー」


「だからさぁ、寺岡? 運が良いようでいて、逃したんだよ。そこで焦ると、マジで首飛ぶぞ、女関連は? それに雨だから、証拠は流れる。無駄だよ」


 神田がそう言うと、明は「神田部長の方が潔すぎると思うんですけど?」と言いながら、ため息を吐く。


「君子危うきに近寄らずだよ。茶を飲もう」


「はぁ・・・・・・本当にいいんですか?」


「俺は本部に早く戻りたいんだよ。藪蛇を突いて、また、飛ばされたらどうする?」


 そう言いながら、神田はPCの中に入る。


「天田君だっけ?」


「はい! 刑事課の神田部長ですね!」


 若い地域課の警察官を捕まえると「悪いけど、コーヒーとタバコとおにぎり買って来て」とだけ言った。


「えっ・・・・・・それは・・・・・・業務ですか?」


「大事なこと。デカになりたいとか聞いたけど?」


「行ってきます!」


 天田はそう言って、雨の中でコンビニへと駆ける。


 雨は強くなっているのが、神田を憂鬱な気分にさせていた。


 続く。



 次回、第七話 密命


 明日もよろしくお願い致します!


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