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プロローグ
「おやおや、この戦場の中にこんな小さな子供がいたとは驚きました」
男は戦場で倒れる死体の中から岩場に座る一人の子供に話しかけた。
戦争の悲惨さが滲み出たこの場所で男は微笑み、少年の方を見る。
少年には返り血が付いており、誰かから奪い取った剣を持ち、構えた。
「そんな剣を構えて、私と一戦、交えようとするのですか? やめておきなさい。無駄なだけです」
男はそう言った。
「でも、本当にその手で生きる意味を知りたいのであれば、ついてきなさい。その剣をこの場所に置いてきなさい。私が代わりにこの剣を授けましょう」
そう言って、男は持っていた真っ黒な鞘に入った真っ黒な剣を少年の前に投げた。
少年は、その剣と男を交互に見比べて、黙っている。
「それでは私は行きます」
男は、そのまま後ろを向いたまま、歩いて行ってしまう。
少年は、その後姿を見て、男が投げた剣を取り、男の後を追った。