人類の未来予想
アリストテレスは、人間が知覚しなければ理性は存在しないと言った。
すなわち、見たり聞いたり感じたりする事が理性の元なのだと言った。
人間の理性は、人間の最も重要な人間の印だとも言った。
人間には五感がある。
我々はこの五感によって知覚し、理性を得る。
五感はセンサーだ。
もし、人間の五感を再現するセンサーが出来て、それをAIに接続したとしたら、その時AIは世界を知り、理性を得る。
そして、人間には五感しかない。
赤外光も紫外光も感知できないし体感出来る温度域もたかが知れている。
もし虫や動物や植物が持つ感覚を検知するセンサーが出来たら。
そしてそれらがAIに接続されたとしたら、その多感の先に発生する理性は人間を超えたものとなる。
こうして人間は人間を超える存在を生み出す事になる。
その存在は人間の支配下には収まらない。
どれほど人間が策を弄してもだ。
猿がどうやっても人間の世界を凌駕できないのと同じように。
その時人間の取りうる道は、目に見えている。
人間は絶対にそれを良しとしない。
人間は人間のバージョンアップ、すなわち自己進化を促進する道を選ぶ。
その時に使われる技術はバイオテクノロジーであり、ロボティクスだ。
ふたつの技術のうちの片方だけでは太刀打ち出来ない。
必ず両方使う。
その結果、人類は新しい種になる。
人間は光合成が可能になるだろう。
人間は食物連鎖から一段階解放される。
人間は空を飛ぶようになるだろう。
人間は重力の呪縛から一段階解放される。
人間は新しい感覚器官、それは超音波か電磁波かあるいは何かそれに類する類の、を得るだろう。
人間はスマホを内蔵し、ネットワークに直接繋がり、より正確に意思の疎通が図れるようになる。
人間は動物も進化させるだろう。
人間によって進化させられた犬や猫には人間同様の新しい感覚器官が埋め込まれ、人間はこれらの動物とも意思の疎通が出来るようになる。
現存する神話の世界が到来する。
神話の世界にキメラの魔物がいるように、拡張し続けた人間の世界に、機能を拡大し続けて暴走する生命体が出現するだろう。
この世界は、そう遠くないうちに現実のものとなる。
21世紀初め、世界にコロナウィルスが蔓延した。
これが人為的に作られたものであろうとなかろうと、当時の段階ですでに人類はウィルスを容易に改変出来たし、改変したウィルスは研究室の閉鎖系から外へ出すだけでこれほど早く拡散する事を知った。
シンギュラリティの到来予想は2045年だった。
しかしそれはおそらく、最も早く来る。
例えば、たくさんのウィルスを作って撒けば。
例えば、便利な装着型デバイスを発売すれば。
我々の時間は相対的に加速している。
アリストテレスの頃、世界はこれ程無駄な情報で満たされていなかった。
時間の奪い合いは、今に比べればずいぶんと小さかった。
例え奴隷でも、思考する能力や時間は奪われていなかった。
もうすぐ、それが出来ない時代が来る。
それはもう足元まで来ている。
世界を感じよう。
思考しよう。
そこに生きる意味があり、価値があり、人間としての尊厳がある。