表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
353/366

何より一番 ―葉月Side

前に活動報告であげた話です。

ゴロンタを拾った直後くらい。

 

「ゴロンタ、ほらこっちだよ~」

「ミャ」


 猫じゃらしをヒョイヒョイっと動かすと、ゴロンタが目を左右にキョロキョロと動かして追っかけてくる。それをまた逃げるように動かして、またゴロンタが忙しなく動き回る。その姿を見ると、こっちも嬉しくなってくる。えへへ、楽しそう。


 尻尾をフリフリさせながら、ゴロンタが狙いをすませるかのように身構えた。おっ、これは特大のジャンプがきますな。


「ミャッ!」

「むむっ! 甘い!」


 ゴロンタが飛びついてきたと同時に、猫じゃらしを持っている手を大きく後ろに動かしたら、勢いがありすぎたのか体が傾いた。ありゃ? これはこのまま転ぶのでは?


 案の定、背中から床にゴロンと寝ころんだ。ゴロンタは構わず私の胸に着地している。器用ですね。


 その時、丁度お風呂から上がってきた花音がドアを開けて入ってきた。


「おかえり」

「楽しそうだね、葉月」


 私とゴロンタの様子を見た花音がクスクス笑いながら、起きた私の隣に座ってくる。「ミャ」とゴロンタが座った花音に擦り寄っていた。ゴロンタも花音が大好きだね。私も大好きです!


「ゴロちゃん、いっぱい遊んでもらってよかったね」


 ゴロゴロと喉を鳴らしながら花音に撫でられているゴロンタは満足そう。その尻尾をツンツンすると、今度は私の膝の上によじ登ってきた。ゴロンタの毛は気持ちいいんだよね~。ふわふわ~。


 気持ちよくてゴロンタの背中の毛を撫でていたら、隣の花音が肩に頭を預けてきた。


「ゴロちゃん、嬉しそう」

「そう?」

「うん、葉月のことが本当に好きなんだなぁ」


 好き。好きか。えへへ。私もゴロンタ好き~。


 ウリウリと人差し指でゴロンタの頭を撫でてあげると、目を細めている。気持ちよさそう。そんなことをして満足していたら、花音が口を開いた。


「葉月もゴロちゃんといて嬉しそう」

「だってゴロンタの毛、ふわふわしてる~」

「ふふ、そうだね」


 ゴロンタが気持ちよさそうに今度はお腹を見せてきた。ほほ~。触ってほしいんだね! うりゃうりゃうりゃ~!


 遠慮なしにお腹を撫でてあげたら、ペシッっと尻尾で叩いてきた。お気に召さなかったらしい。仕方ないから、今度はゆっくり触ってあげた。


「これで満足かね~?」

「みゃっ」

「花音、ゴロンタが返事した!」

「うん、嬉しそう」


 クスクスと花音も楽しそうに笑っている。えへへ。花音も笑ってるから大満足。


「でも」


 ん?

 満足してニコニコしていたら、何故か花音の指が私の顎に触れてきた。ゴロンタの喉を擦るように、今は私の顎をコショコショとくすぐってくる。いきなりどうしたんだろ?


 ついつい花音に視線を向けると、近くに花音の顔があった。


「ちょっとは私にも構ってほしいかな?」


 柔らかい笑みを浮かべて、熱の籠った瞳で見てきて、

 そんなことを言う花音は可愛すぎると思います。


 やっぱり、この笑顔が何より一番好きだから。


 ポカポカと胸の奥が温かくなって、そのまま顔を近づけると、花音もゆっくり目を閉じた。


 その後、全然撫でられない自分のお腹を不思議に思ったのか、ゴロンタが「ミャ」と鳴いて、おかしくなって二人で笑った。


お読み下さり、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ただただ尊い·····⎝。⌓°⎞ ゴロンタが人懐っこい系の猫でかわかわ!それに便乗して構ってしてくる花音の破壊力·····
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ