禍霊列車
どうも皆さん、禍霊汽車運転自動機械人形:キー坊です。皆様には、素敵なお話をご用意しました。
ガタゴトと音がする
「…皆……車、ありがとうございました。」
う…寝てたのかなぁ。電車の中に居た。
私が起き上がると椅子がミシミシと鳴った。
頭が痛い、絶対飲み過ぎだ。普段控えていたから急に入れたからなぁ。今夏休みだから良かった。明日講義だったら終わってたなこれ。
外でも見るか。
「え?!ちょっと…え!!!」
待て待て待て、なんでこんな雲近いの?ちょっと待って。あれは、東京駅!?上からって新鮮。
電車の中を見ると、喉が紅くなっている老人や、片目の無いヤクザっぽい人。
え?、怖い怖い怖いというかなんか木目見えるから木造?もう全部意味わかんない。
さっ、さっ、と音がした。恐る恐る振り返るとそこには、眼帯を付けたタキシードの少年がいた。
「隣いいですか。」
と言ってきた。怖くて何も言えなかった。
「ダメ…ですか?」
再び聞いてくるこの少年。どこかで会ったこと…。
この子を思い出したいし、ここがどこか分からないので私は頷いた。
少年は目の前に座るとまたミシミシと椅子が鳴く。
「あなたの名前を知ってますよ。」
少年はボソッと口にした。
「あの…ここは、何なの?」
「ここですか?ここは、冥界と楽園を繋ぐ路線。禍霊汽車です。」
禍霊汽車?なんなんだそれは、というかなんで浮いてるんだこの線路は。
「それは、死者を乗せる汽車ですから。」
「し、死者?!」
「そう、死者です。」
そういえば、ここら辺にいる人は頭の飛んだ人しかいないし。怖、ここ。
「ただあなたは、生きていますよね。内村凛乃さん。」
「え?」
この子は本当に名前を知っていた。怖い、怖い。
「落ち着いてください。…のーちゃん。」
のーちゃん呼びするのはあの子しかいない。私のために…。
事故死した。秀流くん。ひーくんってよく呼んでいた。
「そうです。秀流ですよ。」
「そうだよね!じゃあ本当にこれは…。」
バァァァァーンと音がした。
窓から下を見ると花火が上がっていた。そうか、今日は、フラれて…呑んでたんだ。
「そうだったんだね。」
秀流くんは居なくなって、眼帯のような白い百合を付けた青年がいた。
「まあ、これがいつもの服装なんですけどね。」
でも声は秀流くんのままだった。
「そう…なんだ。」
私はやっと落ち着いてきた。すると、秀流くんは話し始めた。
「私は、今エンマ様の元で働いているんです。」
「えんま!ってあの閻魔?」
まあ、こんな列車があるくらいだし。
「エンマ様はご存命の方々は、畏れ多く、怖いように描いていますが、…実は漢字も違います。」
漢字が違う。…閻魔じゃないの?みんなそうだけど。
「違うの?」
「ええ、閻魔ではなく、円に真で、円真なんです。」
じゃあ、エンマって何してるんだ?地獄なんてないのか。
「ええ、地獄は人が創った、子供に悪いことをしないよう教育するために創ったものです。」
へぇー。
「本当はあの世と言うのは、冥界と楽園しかありません。」
地獄もないのに天国はあるのか。
「天国ではないです。ただ心地良い気分のする場所です。冥界は、黄泉やら地獄やら言われてますが実際は、浄化した魂を、地に戻す場所です。」
心地いい気分と知っているならなんで乗ってるんだ。
「じゃあなんで乗ってるの?」
「それは、私が、…もう思い残すことがないからです。」
「じゃあ、消えちゃうの?」
私は恐る恐る聞いた。
「ええ、ただあなたのことは絶対に忘れませんよ。楽園でも、来世でも。」
え?そうなると私は…?
「それは大丈夫です。」
え?というか心読んでる?
「ああ…はい読んでます。気持ち悪いですよね。ただ長年こっちに居るので、読めちゃうようになったんですよね魂の揺らぎで。」
そうなんだ…で、帰れるのは。
「もうすぐ来ますよ。」
「楽園切符を、お見せ下さい。」
ウィーンと、音が近づいてきた。木造のロボットが動いている。
「楽園切符を、お見せ下さい。」
「あれ、何?」
「あれは自動機械人形の、キー坊一号君です。」
キキッと音がしている。相当年季が入っているっぽい。
「楽園切符を、お見せ下さい。」
キー坊と呼ばれる木製ロボどんどん近づいてくる。
「楽園切符って?」
「楽園切符は、楽園に入るために冥界で発行される切符です。」
「楽園切符を、お見せ下さい。」
目の前に来た。緑色のライトは二つ付いており目のようだ。足のようなものは一輪車のようなローラーだ。
「持ってないんですけど。」
「モッテイナイ、所持シテナイ。アッテマスカ?」
「…ええ。」
キー坊は、緑色のライトを、赤く点滅させた。
「ヤバイ、ソレ、ヤバイ、オロサナキャ。」
バグった?まずいのでは。だけれど、ひーくんは、微笑んでいる。
「アトラクションです。しっかり捕まっててください。一応手は握っときます。」
「ひーくん、なに?」
パニクってもう訳分からん。どうにでもなれ!
「エマージェンシー、エマージェンシー。失礼デスガ、ゴ住所ハ?」
「え、埼玉の華翠の@#/&())?」
「分カリマセンガ、華翠駅ニ向カイマス。」
「いえ、ここに向かってください。」
ひーくんが紙を渡していた。
「分カリマシタ、向カイマス。」
キー坊は、先頭車両に向かって行った。
「出来るだけ手を離さないでくださいね。」
私は、いつの間にかひーくんの手を握っていた。
「く…、わぁ、なんかいい夢見てたような。」
私は、うつ伏せに寝ていたらしい。時計の針は午前四時を指していた。空を見ると少し四角い何かが見えた。
めっちゃ書くの眠くて辛かった。