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自室に篭もり、ペンとファイルを手に、今日も仕事を始める。モニターには男女2人と彼らの在籍する学校の屋上が写っている。
「おっ?これはもしや告白ムードというやつでは?」学校の屋上、放課後、男女がいい感じの距離で向かい合っている。
この条件下で行われるものといったら告白しかない、そう相場は決まっているものだ。「ぁ、」ヒロインA(仮称)が顔を赤らめ手に力を入れ、スカートにシワを作りながらその台詞の1文字目を口にする。「『あなたのことがずっと好きでした 』」なんてベタな告白か?いや、ここは変化球で「『ILoveYou 』」か?。…それは無いかさすがに変化球すぎる。山下もビックリするレベル。なんて想像をしているとついにその瞬間が訪れる、【主人公】がヒロインAの言葉に備え、身体を硬くする。【主人公】が唾を飲み込み、ヒロインAが目をつぶり、今世紀最大の勇気を振り絞ったその次の瞬間、ヒロインAの口から遂にその言葉が発される。
「ぁ、アナタのことが生理的に無理なんです!
だから、もう関わらないでください!」
あまりに予想外な言葉に一瞬何が起きたかわからず思考が停止する。そしてその後から衝撃が全身を鳥肌となって駆け巡る。え、え、え、え、ええええええええええええええ!?嘘でしょ!?え、いいの?男の方めっちゃ泣いてるよ?え?
あぁ行っちゃった。男子生徒1人となった屋上だけがモニターに映る。
「ま…まぁ、色んな恋愛見てたら
こういう事もたまにはあるよね、
はは…。 さてと、日記の作成に移るかなー」僕はこうして人間たちの恋愛模様を記録し、日記として保管している。
「よし!今日の仕事終わり!そしたら次に観察する人間を決めよーっと」こんな感じで僕の毎日は過ぎていく。
あ、そうそう自己紹介が遅れたね、僕の名前はクピド、「恋のキューピット」とも言われているラブコメの神様さ!