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俺を嫌う幼馴染が彼氏との惚気話ばかりするので、仕返しに彼女(二次元)との惚気話したら様子がおかしくなった  作者: せせら木
第三章

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33話 高岸夏太郎

更新、遅れに遅れまくって本当に申し訳ないです!

この作品については色々と思いもありまして、今後も活動報告などで触れていくかもしれません!

時間かある時にでも、活動報告の方もチェックしていただけると嬉しいです!

 雨は嫌いだ。


 例えば悩みを抱えていた時、いつも無責任に寄り添ってくるような真似をするから。


 灰色な心情を表すような雲の色はぜひともやめていただきたい。


 できればもういっそのこと、黄色くらいにでもなってくれと、そんな不毛なことをボーっと考えながら、俺は放課後の雨道をただひたすらに歩いていた。


 あてはない。癖みたいなもんだ。


 考え事があれば、ただひたすらに歩く。歩いていれば、いずれ答えが出てくるんじゃないか、なんてことを思ったりする。


 けどまあ、実際はそんなことはなく、疲労が溜まって終わり、なんてパターンばかりなんだけどな。


というか、こうやって歩くこと、ちょっと前にもあったな。


「………………っ」


 思い出されるのは秋ちゃんの柔らかい表情。


 油断してしまうと、一気に彼女の善意に飲まれてしまいそうになるような、そんな表情だ。


「……くそっ」


 やっぱりダメだ。


 今は何も考えてはいけない。


 ただひたすらに歩く。


 歩いて歩いて、ただひたすらに歩き、疲れた果てに直感で動く。


 今の俺にはそれくらいがちょうどいい。


 その結果として悪手を踏み、誰かに痛くブッ叩かれるのであれば、それはもうそれでいいんだ。


 自虐めいた笑みを浮かべ、ヤケクソになり、俺は傘を差すのをやめた。



 行き着いた先は家の近くの公園だった。


 つい先日、冬香と夏太郎がイチャラブしていた……ように見えたおなじみの公園。


 近頃の思い出で語れば、そんなどうしようもないことしか浮かんでこないが、もっと深く思い出を辿って行けば、ここは俺と冬香が幼い時からずっと遊ぶ時に利用していた場所でもある。


 小さい時は何も考えず、ただ素直に好意を伝え合っていた。


 複雑な駆け引きとか、そんなことを一切しない。だから拗れも勘違いも何もない。本当に平和な、二人だけの世界。


 それだけだったんだ。


「………………」


 雨避けの効いたベンチに座り、ちょうど足元にあった小石を軽く蹴飛ばす。


 小石は暗闇から、一、二本ほどあった街灯の光が灯る場所へコロコロと転がっていく。


 それを見送り、俺はまた視線を下の方へと移した。


 そんな時だ。


「びしょ濡れ、だね」


 背後から、あまり聞き慣れない穏やかな声がした。


 聞き慣れないが、穏やかなのにもかかわらず、その声はどこか俺の背を差してくるかのようで、すぐに誰のものなのかを確認するべく、振り返った。


「……誰だ?」


「ははっ。声かけてみて、『誰だ?』って聞いてくる奴は初めてかも。僕のこと、知らない?」


 問われても、だ。


 姿かたちで、そこに人がいるということはわかる。


 けれど、まだ少しそいつと俺の間には少し距離があったし、夜闇は誰なのかを隠すことくらい容易に行っている。


 表情の様子が掴み取れない。


 だから、「誰だ?」と問うただけだ。笑われるような覚えはまるでなかった。


「距離があるとはいえ、ちょーっと残念だなー。割と有名なことは自覚してんだけど」


「……有名?」


「うん。公立大槻高等学校。ここだと割と有名かな。あ、あと、二年の中だともっと有名かも」


「は?」


 いきなり現れて、俺に声を掛けて、何を言い出すのかと思った。


 大槻高校ってのは確かに俺の通ってる高校の名前だし、二年ってなると俺の属してる学年だ。


 けど、そんな情報を突然出されてクイズ形式みたいに「答えろ」なんて雰囲気出されても困る。さっさと近付いて名前でも明かせばいいのに。面倒くさい。


「いきなりで悪いけど、あいにくクイズとか、そんなことに付き合ってるほど余裕ないんだ。名前教えてくれないか?」


「えー? 案外付き合い悪いね、青山君。もっとこう、乗って来るかと思ったのに」


「俺の名前は知ってるのか……」


「あー、うん。ちょっとズルいって思った?」


「多少は。……俺、どっちかというとそこまで目立たない方だし」


「目立たなくても、普通顔と名前くらいは一致させとくでしょ。一年ならまだしも、僕たちもう二年生だぜ?」


「………………」


 無言の中に、「いいから早く素性を明かせ」という意思を込める。


 どうせなら、気味も悪いし、俺から歩み寄って誰なのか確認してやろうかと思った。


 ――が、それをせずとも、男は「やれやれ」と軽い感じで口にしながら、俺の方に遂に歩み寄ってきた。


「――! あ……!」


「僕のこと、知ってるっしょ? 青山君?」


 こんな雨の降る夜の公園で俺に声を掛けてきた奴。


 それは――


「高岸……夏太郎……」


 彼だった。


っていうか、今思ったけど、前回のあとがきに「マックで会話します!」とか意気揚々と書いてて草生えてしまった。

マックじゃねえじゃん……。公園じゃん……。


どうかお許しをぉ(スライディング土下座)

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― 新着の感想 ―
[一言] まぁ、マックよりはこの公園の方がふさわしい気もするので(笑)
[気になる点] やあ(´・ω・`) 更新お待ちしておりました。そしてナツタロウくんも。 均衡破れるのはこやつしかおらぬ。
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